学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅲ(法規) 問20
問題・正答・学習用解説
問題
次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は2です。指定された予定道路を容積率の計算上の前面道路とみなすには、交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないと特定行政庁が認めて許可することが必要です。予定道路に敷地が接しているという事実だけで、自動的に適用できるわけではありません。
予定道路は、地区計画等に定める道路の配置に沿って、将来の道路網を確保するために指定するものです。既に完成し、一般の通行を受け入れている道路と同じ状況とは限りません。容積率は建てられる床面積の総量を規制するため、道路幅員を使う特例を認めると、建物の利用者や交通の量にも影響します。そこで計画上の道を計算に使えるかについて、個別の安全性等の判断を求めます。
本肢は『特定行政庁の許可を受けることなく』と述べている点が誤りです。正しくは、所定の許可を受けた建物について予定道路を前面道路とみなし、容積率の規定を適用できます。もし予定道路の部分が敷地に含まれる場合、その部分を通常の敷地面積に残したまま、道路としても都合よく二重に利用する扱いにはなりません。特例には、適用の条件と面積の算定上の調整が伴うことを確認します。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。田園住居地域などで絶対高さが10mと定められていても、政令で定める空地と敷地規模を確保し、特定行政庁が低層住宅の良好な環境を害さないと認める建物は、12mを限度にできます。絶対高さは基本的に一律の高さ上限ですが、十分な周囲の空間等により環境を守れる場合の特例があります。単に敷地が広そうに見えるだけでは使えず、空地・敷地規模・行政の判断という条件が必要です。無条件に10mを12mへ読み替える制度ではありません。
選択肢2
(2)誤りです。予定道路を容積率の前面道路とみなすには、特定行政庁の所定の許可が必要です。予定道路の指定と、個別の建物についてその道路を計算に使う許可は別の段階です。将来道路になる位置が決まっているからといって、現時点で安全に同じ建築量を受け入れられるとは限りません。『許可を受けることなく』を『所定の許可を受けた建築物について』と直します。また、道路斜線で予定道路を扱う規定等と、容積率の許可の条件を混同しないようにします。
選択肢3
(3)適当です。法第22条第1項の市街地の区域の内外に建物がまたがる場合、その建物全体に区域内の規定を適用します。この区域は、屋根を火の粉などに対して防火上必要な構造とすること等を求め、市街地の延焼を抑えるためのものです。共同住宅の半分以上が区域外であれば適用しない、という過半の判定ではありません。同じ建物の屋根の一部が火の粉に弱ければ、その部分から内部へ火が入るおそれがあるため、全体として扱う規定を確認します。
選択肢4
(4)適当です。建築協定の区域内でも、協定の効力が及んでいない土地の所有者は、認可等の公告後に、特定行政庁へ書面で意思を示して協定に加われます。建築協定は、地域の所有者等が建物の用途や形などについて、法律の最低基準に加えた共通のルールを定める仕組みです。最初の参加者だけで固定され、後から加われない制度ではありません。本肢は区域内の未加入の所有者についての手続で、区域の外へ協定区域を自由に広げる話とは区別します。
周辺知識
土地や建物に関する特例を読むときは、原則の規制、特例を使う客観的な条件、行政の判断や手続を分けると理解しやすくなります。高さ10mの地域で12mとするには空地等の条件があり、予定道路を容積率に使うには所定の許可があります。『例外がある』という知識だけでなく、自分の建物がその条件に入るかを確認する必要があります。
『認める』と『許可する』は、条文の書き方を正確に読むことが重要です。行政の何らかの判断があるから全て同じ許可手続だとまとめると、本問のような差を見落とします。また、予定道路の指定は地区の道路配置を確保すること、個別建物の容積率の許可はその道路を計算に用いても支障がないことを判断することで、対象が異なります。
建築協定は、住民等が地域の環境を保つために自主的に作る約束を、法に基づいて継続的に機能させる仕組みです。地区計画のような都市計画の制度と同一ではありません。地域指定の規制と所有者等の合意による協定、建物の内外への適用範囲、後から参加する手続をそれぞれ区別すると、一つの敷地に重なる複数のルールを整理できます。