学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅲ(法規) 問18
問題・正答・学習用解説
問題
図のような敷地において、建築物を新築する場合、建築基準法上、A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度は、次のうちどれか。ただし、敷地は平坦で、敷地、隣地及び道路の相互間に高低差はなく、門、塀等はないものとする。また、図に記載されているものを除き、地域、地区等及び特定行政庁による指定、許可等並びに日影による中高層の建築物の高さの制限及び天空率に関する規定は考慮しないものとする。なお、建築物は、全ての部分において、高さの最高限度まで建築されるものとする。
選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
正解は3で、A点の高さの最高限度は37.5mです。南側道路からの道路斜線を、二つの前面道路がある場合の緩和を用いて計算します。
幅の最大の道路は北側16mです。その境界から 以内、かつ35m以内の範囲では、南側道路も16m幅とみなせます。南側敷地境界からA点までの距離は次のとおりです。
北側境界から にあり、32m以内です。したがって南側の実幅5mを、そのまま使ってはいけません。
南側の建物の後退距離は3mです。道路斜線の起点も反対側へ3m移るので、起点からA点までの水平距離は次のとおりです。
商業地域の勾配1.5を掛け、次のように計算します。
西側の隣地斜線は、A点が境界から2m、建物の後退距離1mなので、次のように計算します。
こちらより道路斜線の37.5mが低く、他方向もこれを下回らないため、A点では37.5mが上限になります。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)16.5mは、南側道路の実幅5mと境界からA点までの6mだけを足し、勾配1.5を掛けた値です。起点を後退させる3mの加算を落としています。何よりA点は、北側16m道路による二道路の緩和の範囲にあるので、南側を実幅5mのまま扱う前提が合いません。まず北側境界から29mで、幅16mの2倍32m以内と確認します。そのうえで南側道路を16mとみなし、起点の後退も含めた水平距離を求めます。選択肢の数値だけに合わせて図の距離を足さないようにします。
選択肢2
(2)21.0mは、南側を実幅5mとして、と計算すると出ます。建物の後退3mやA点まで6mは読めていますが、二道路の緩和が抜けています。A点は北側境界から29mで、16m幅道路の2倍32m以内なので、南側も16m幅として計算できます。特例を使える場所かどうかは、建物全体の印象ではなく、その点と道路境界との水平距離で確認します。緩和の対象範囲を図に描くと、5mを9mや16mへ恣意的に変える誤りを防げます。
選択肢3
(3)37.5mが正しい上限です。南側を16m幅とみなし、建物の後退3mにより斜線の起点も3m外へ動かし、敷地境界からA点まで6mを加えます。その25mに商業地域の勾配1.5を掛けると37.5mです。西側隣地斜線の38.5mより低いため、道路側の規制がA点を制限します。図のA点は壁面上ではなく、南壁から3m、西壁から1m内側なので、壁までの距離と点までの距離を区別することも重要です。
選択肢4
(4)38.5mは、西側の隣地斜線から得られる限度です。商業地域の立上がり31mに、A点の隣地境界からの距離2mと、建物の後退1mの合計3mへ勾配2.5を掛けた7.5mを足します。ただし建物は道路斜線にも適合しなければならず、南側の道路斜線が37.5mまでと制限します。複数の高さ制限があるときは、計算した上限の大きい方を選ぶのではなく、全てを満たすため最も低い上限を採用します。
周辺知識
斜線制限は、道路や隣地に光や空間を確保するため、境界等からの距離に応じて建てられる高さを制限する仕組みです。道路斜線は道路の反対側を起点にし、隣地斜線は所定の高さまで垂直に立ち上がったところから斜めに上がります。どちらも『』を用いますが、起点と立上がりの有無が違います。
建物を道路境界から後退させると、敷地側に空間が増えるため、道路の反対側の起点も同じだけ外へ移せる緩和があります。A点までの距離には既に建物の後退を含む場合があるので、図のどこから測った距離かを明確にします。本問では南側境界からA点まで6mに、起点側へ加える3mを別に足しています。
二つ以上の道路に面する場合には、広い道路の効果を他の道路側へ反映できる範囲があります。本問は北側16m道路から32m以内が重要で、A点は29mの位置です。まず緩和の範囲を確かめ、それぞれの道路・隣地から上限を計算し、最後に最も低い値を選びます。これは容積率のように平均する計算ではありません。高さは一つの点が全ての規制の内側に収まる必要があります。