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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅲ(法規) 問17

問題・正答・学習用解説

問題

図のような敷地において、建築基準法上、新築することができる建築物の容積率(同法第52条に規定する容積率)の最高限度は、次のうちどれか。ただし、図に記載されているものを除き、地域、地区等及び特定行政庁の指定、許可等は考慮しないものとする。問17の図1

選択肢

  1. (1)
    \(\frac{28}{10}\)
  2. (2)
    \(\frac{31}{10}\)
  3. (3)
    \(\frac{37}{10}\)
  4. (4)
    \(\frac{40}{10}\)

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

正解は3で、容積率の最高限度は3710\displaystyle \frac{37}{10}、すなわち370%です。前面道路の幅員の特例を適用したうえで、二つの用途地域ごとに上限を求め、敷地面積の割合で合わせます。
西側の幅6mの道路は、幅18mの特定道路へ接続し、敷地に接する部分までの延長は35mです。特定道路とは、この特例では幅15m以上の道路です。接続道路の幅へ加える値は次のとおりです。
(12−6)(70−35)70=3 m\begin{aligned}&\frac{(12-6)(70-35)}{70}\\&=3\,\mathrm{m}\end{aligned}
計算上の幅は次のとおりです。
6+3=9 m6+3=9\,\mathrm{m}
北側の7mより大きい9mを用います。
第一種住居地域側は、道路による値は次のとおりです。
9×0.4=3.69\times0.4=3.6
ただし、指定容積率2.0の方が小さいので2.0です。商業地域側は次のとおりです。
9×0.6=5.49\times0.6=5.4
指定6.0より小さい5.4を採用します。
敷地は幅20m、各地域の奥行き10mで、どちらも200m²です。面積が等しいので全体の上限は次のとおりです。
2.0+5.42=3.7\frac{2.0+5.4}{2}=3.7
指定容積率だけの平均4.0でも、道路の実幅だけで計算した値でもありません。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)2810\displaystyle \frac{28}{10}は、西側の実幅6mだけから商業地域の上限を3.6とし、住居地域の2.0と平均すると出る値です。しかし本問には北側7m道路があり、さらに西側は特定道路への接続による3mの加算を使えます。6mだけを前面道路の幅として固定した計算では、これらを見落とします。道路を一本選んで直ちに係数を掛けるのではなく、複数の前面道路と、幅員へ加算できる特例を先に調べる必要があります。

選択肢2

(2)3110\displaystyle \frac{31}{10}は、北側の実幅7mを用い、商業側7×0.6=4.2\displaystyle 7\times0.6=4.2と住居側2.0を平均すると出る値です。通常の実幅の比較では7mが6mより広いものの、西側道路には特定道路からの延長に応じた加算があります。その結果の9mの方が大きくなるので、本問では3110\displaystyle \frac{31}{10}にとどまりません。『最大の前面道路』を選ぶときには、法令上適用できる幅員の扱いも確認します。道路の絵を見た見かけの太さだけで決めないことが要点です。

選択肢3

(3)3710\displaystyle \frac{37}{10}が正しい値です。特定道路への接続によって計算幅員を9mとし、住居側は指定容積率200%、商業側は道路による540%を採用します。両地域は200m²ずつなので、全体は370%です。面積を使って確認すると、許容される延べ面積は住居側400m²と商業側1,080m²の合計1,480m²で、敷地400m²で割ると3.7になります。先に各地域で厳しい上限を選び、その後に面積で合わせる順番が重要です。

選択肢4

(4)4010\displaystyle \frac{40}{10}は、都市計画で指定された2.0と6.0を単純に平均した値です。各地域の面積は同じなので平均する方法自体は使えますが、商業側では道路幅員による5.4という上限が指定6.0より厳しく、6.0を採用できません。敷地全体の容積率を求める前に、地域ごとに指定容積率と前面道路による限度の小さい方を選ぶ必要があります。道路が十分広くない場所で、指定された最大値をそのまま使えるとは限りません。

周辺知識

容積率は、敷地面積に対する延べ面積の割合です。容積率200%なら、原則として敷地の2倍の床面積を合計して建てられる意味で、建物が2階建てに限定される意味ではありません。階数や一階の大きさは建ぺい率や高さ等の別の制限も受けます。容積率は地域に集中する建物の量を、道路など都市の受入れ能力と調整する制度です。
前面道路が狭ければ、利用者や車が増えたときの負担も大きくなります。そのため指定容積率とは別に道路幅員による上限があります。幅の広い特定道路へ近距離でつながる場合には、その道路へ交通等がつながる条件を考慮し、接続道路の幅へ所定の値を加えることができます。特定道路までの距離が短いほど加算が大きくなり、70mで加算がゼロとなる式です。
複数の用途地域にまたがる敷地は、地域ごとの上限と面積を使います。面積が違う場合は単純平均ではなく、各部分の面積に各上限を掛けて合計し、敷地全体の面積で割ります。本問はたまたま200m²ずつなので平均になります。道路の特例、各地域で小さい上限を選ぶ操作、面積による合算の三段階に分けると、複雑な図でも順序立てて解けます。