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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅲ(法規) 問16

問題・正答・学習用解説

問題

都市計画区域内の建築物の用途の制限に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、用途地域以外の地域、地区、都市施設等の指定はなく、また、特定行政庁の許可等は考慮しないものとする。

選択肢

  1. (1)
    第一種住居地域内において、「延べ面積4,000m²、地上5階建ての保健所」は、新築することができる。
  2. (2)
    準住居地域内において、「延べ面積300m²、平家建ての水素ステーション(燃料電池自動車用の圧縮ガスを所定の設備により貯蔵・処理する建築物)」は、新築することができる。
  3. (3)
    田園住居地域内において、「延べ面積100m²、平家建ての喫茶店」は、新築することができる。
  4. (4)
    工業地域内において、「延べ面積1,000m²、平家建ての産業廃棄物処理施設の用途に供する建築物(がれき類の破砕施設で、1日当たりの処理能力が120tのもの)」は、新築することができる。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

正解は4です。工業地域であっても、一定の廃棄物処理施設は、用途地域の規制とは別に、敷地の位置に関する規制を受けます。本問のがれき類の破砕施設は処理能力120t/日\displaystyle \mathrm{t}/\text{日}で、100t/日\displaystyle \mathrm{t}/\text{日}以下という新築の規模の例外を超えています。都市計画による位置の決定や所定の許可を考慮しない条件では、新築できません。
がれき類の破砕施設は、解体等で生じたコンクリート片などを砕く施設です。大きな能力の施設では、搬出入の車両、騒音、粉じんなどが周辺へ影響するため、建築基準法第51条は都市計画区域内で敷地の位置を確認する仕組みを設けています。工場が建てられる地域だから、この位置の審査も不要になるという関係ではありません。
本問は用途地域以外の指定や行政の許可を考慮しないと明示しています。120は100を超えるので、小規模の例外は使えず、敷地位置の都市計画決定も許可もない条件では新築できないと判断します。建物の延べ面積1,000m²や平家建てという規模よりも、この施設について法令が用いる1日当たりの処理能力が重要です。土地利用の可否は、一つの用途地域表だけで完結しないことを示す問題です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。保健所は地域の公衆衛生を担う施設で、第一種住居地域で認められます。一般の店舗や事務所等について使う3,000m²という制限を、そのまま保健所へ当てはめて4,000m²だから禁止とすることはできません。用途地域の表は、施設を法律上どの用途に分類するかを先に確認して読みます。5階建てという条件だけで用途制限に違反するわけでもありません。本問は高さや容積率等の別の制限ではなく、保健所という用途の建築可否を判断しています。

選択肢2

(2)適当です。燃料電池自動車等へ圧縮ガスを充塡するための所定の安全な設備で貯蔵・処理するものには、危険物の貯蔵等の用途制限で例外があります。本肢はその設備条件を満たす水素ステーションなので、準住居地域に新築できます。水素は燃料として有用ですが、漏れや着火等に対する安全対策が必要です。例外はその対策を備えた自動車用施設に関するもので、水素を扱う倉庫や工場を全て同じように建てられるという意味ではありません。

選択肢3

(3)適当です。田園住居地域は農地と低層住宅が調和する環境を守る用途地域ですが、一定の小規模な店舗も認められます。喫茶店は認められる店舗の種類に入り、本問の延べ面積100m²・平家建ては、その用途と規模の条件に収まります。田園という名称から、住宅と農業施設以外は一切建てられないと判断してはいけません。店舗なら何でも同じではなく、喫茶店等の列挙された用途か、用途部分の面積や階の条件を満たすかを確認します。

選択肢4

(4)誤りです。がれき類の破砕施設120t/日\displaystyle \mathrm{t}/\text{日}は、法第51条に関係する100t/日\displaystyle \mathrm{t}/\text{日}以下の新築の例外を超えます。工業地域の用途規制を満たし得る施設でも、別途、都市計画における敷地の位置の決定や、都市計画上支障がないことについて所定の許可が必要です。本問はそれらを考慮しない条件なので新築できません。面積1,000m²ではなく処理能力で比較する点、100ちょうどなら以下に含まれるが120は含まれない点を区別します。

周辺知識

用途地域は、住宅、商業、工業などの土地利用を大きく分け、相互の活動が周辺環境を著しく妨げないようにする制度です。ただし『住居地域だから公共施設も全て小さくしなければならない』『工業地域だから処理施設は全て自由』という一括した理解では、個別の用途や別の規制を見落とします。保健所、喫茶店、水素ステーション、廃棄物処理施設はそれぞれ異なる条件で判定します。
特に廃棄物処理施設等の位置の規制は、周辺の交通や環境、都市全体の施設配置に関係します。その用途を置ける地域であることと、具体的な敷地にその規模の施設を置けることは別です。法第48条の用途地域の規制と、第51条の位置の規制の両方を満たす必要があります。
法律の規模の測り方も施設ごとに違います。店舗は床面積、危険物は貯蔵量等、処理施設は1日当たりの処理能力などを使います。建物の大きさだけでは、周辺への影響の大きさを十分に表せないためです。問題文の数値を全て同じ面積基準へ当てはめるのではなく、その用途の条文が採用する物差しを選び、原則・例外・許可の条件を確認しましょう。