資格ナビ一級建築士の演習へ

学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅲ(法規) 問15

問題・正答・学習用解説

問題

都市計画区域内の道路等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    土地を建築物の敷地として利用するため、道路法等によらないで、特定行政庁からその位置の指定を受けて築造する道の縦断勾配は、原則として、12%以下としなければならない。
  2. (2)
    地区整備計画で道の配置及び規模又はその区域が定められている地区計画の区域内において、土地を建築物の敷地として利用するため、道路法等によらないで、特定行政庁からその位置の指定を受けて築造する道は、原則として、当該地区計画に定められた道の配置等に即したものでなければならない。
  3. (3)
    港湾管理者が管理する幅員10mの公共の用に供する道に2m以上接する敷地においては、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可した場合には、建築物を建築することができる。
  4. (4)
    壁面線を越えるひさしを設ける建築物を建築する場合には、特定行政庁の許可が必要である。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

正解は4です。壁面線を越えてはならない対象は、建物の壁、それに代わる柱、高さ2mを超える門や塀などです。ひさしはこの壁面線による制限の対象に含まれないため、線を越えるひさしを設けるという理由だけで特定行政庁の許可が必要になるわけではありません。
壁面線は、街並みの環境や通行等を考えて、建物の壁等をどこまで出せるかをそろえる線です。道路の境界線そのものとは別で、敷地内に壁の位置を制限する線が定められる場合があります。建物の外形が少しでも線を越えれば一律に禁止するという規定ではなく、対象となる部分が法文で列挙されています。
ひさしは窓や出入口の上などに設ける小さな屋根状の部分です。雨や日射を遮る役割がありますが、本条の壁・柱等と同じ対象にはなりません。ただし、ひさしが道路の上まで突き出す場合や、別の地区計画等の制限がある場合は、別の規定を確認する必要があります。本問では壁面線に関する許可を問うているため、規制対象にひさしがあるかを確認して答えます。『制限の対象外』と『例外の許可を受けて設置するもの』の区別が要点です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。道路法等によらず土地を建築敷地として利用するために造る位置指定道路は、原則として縦断勾配12%以下とします。縦断勾配は道を進む方向の傾きで、12%は水平距離100mに対して高さが12m変わる傾斜です。12度という角度ではありません。急な坂や階段状の道では車両の通行や避難が難しくなるため、道路として機能する条件を設けています。幅が足りるだけで位置指定を受けられるのではなく、勾配や排水なども確認します。

選択肢2

(2)適当です。地区整備計画に道の配置や規模等が定められている場合、位置指定道路も原則としてその計画に沿う必要があります。地区整備計画は、地区計画のうち、道路や公園、建物の建て方などを具体的に定める部分です。一つの分譲地の都合だけで道を造ると、将来予定する道路につながらなかったり、地区全体の通行を妨げたりする可能性があります。個別の道路の安全基準とともに、地域全体の道路網の計画に整合することを求めています。

選択肢3

(3)適当です。建築基準法上の道路に直接接していない場合でも、港湾管理者が管理する公共の道などに接し、所定の許可により建築できる場合があります。本肢は幅10mの公共の道に2m以上接し、交通・安全・防火・衛生上の支障がないと特定行政庁が認めて許可する条件を明記しています。そのため建築可能です。公共に使われている道というだけで自動的に通常の接道義務を満たすのではなく、この例外の条件と許可を経る点が重要です。

選択肢4

(4)誤りです。壁面線による制限の対象にひさしは含まれないので、ひさしが壁面線を越えることだけを理由とした許可は不要です。壁面線の規定には、壁・柱や高さ2mを超える門・塀など、対象となる部分が定められています。建物全体を包む見えない壁のように、全ての突出物を一律に禁止する線だと考えると誤ります。また、道路内の建築制限など別の制限は残るため、許可不要という結論を『ひさしならどこへでも突き出せる』と広げないようにします。

周辺知識

建築基準法の道路は、単に人や車が通れる場所という日常的な意味より範囲が明確です。建物を利用する人が安全に出入りし、火災時には避難や消防活動ができるよう、敷地は原則として法上の道路に2m以上接する必要があります。幅や成立の経緯などにより道路の種類が分かれ、位置指定道路もその一つです。
位置指定道路は、民間の土地利用等のために造る道を、法令の構造基準に適合させ、行政から位置の指定を受けたものです。袋路の扱い、曲がり角の隅切り、ぬかるまない構造、勾配、排水などの条件があります。道が土地の所有者だけのものでも、複数の建物の利用や防災を支える役割があるので、一定の公的な基準が必要になります。
道路境界、壁面線、地区計画の壁面位置の制限は、似た線で描かれても根拠と効果が違います。道路境界は道路と敷地の境、壁面線は法が指定する壁等の限界、地区計画の制限は地域ごとの計画に基づく建て方のルールです。図面で線を見るときは、何の制度の線なのか、どの部位が対象なのか、例外には許可等が必要なのかを順番に確かめます。