学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅲ(法規) 問6
問題・正答・学習用解説
問題
次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
正解は1です。防火区画検証法が対象とするのは、建築物の『屋内』で発生が予測される火災です。『屋内及び建築物の周囲』の火災を対象にするとした点が誤っています。隣の建物などから受ける火災の影響と、建物内部で起きる火災を区画で閉じ込める検討を混同しています。
防火区画は、耐火性能を持つ壁や床などで建物を区切り、ある場所の火災が次々に広がらないようにする仕組みです。出入口のような開口部は壁が途切れるため、防火戸などの防火設備で補います。防火区画検証法では、屋内の火災が続く時間を想定し、その火熱を受ける間、設備の反対側へ炎を出さず耐えられるかを確かめます。
ここで確認する遮炎性は、炎を通過させない性能です。火災に関する性能には、柱が荷重を支え続ける非損傷性、反対側へ熱を伝えにくくする遮熱性などもあり、全て同じではありません。本問の第1肢は遮炎性を述べる部分よりも、火災を想定する場所の範囲が問題です。一方、準防火地域の屋根は周囲から飛来する火の粉を考えるなど、部材と規定によって想定する火災が異なります。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)誤りです。防火区画検証法では、屋内で発生が予測される火災に対する開口部の防火設備の性能を検証します。例えば一室で火災が起きたとき、その火災が続く間、区画の戸が隣の室へ炎を通さないかを確認します。周辺建物の火災まで検証対象に含めるという説明は、この方法の定義と一致しません。『屋内及び建築物の周囲』を『屋内』へ直す必要があります。火災が続く時間に応じて性能を確かめる方法であり、火災の発生場所を無制限に拡大した方法ではありません。
選択肢2
(2)適当です。準防火地域の屋根は、市街地火災で飛んでくる火の粉により有害に燃え出さず、屋内まで火を通すような溶けや亀裂等を生じない性能が必要です。火の粉は風で運ばれ、火元と直接接していない建物の屋根にも落ちます。表面が燃えないだけでも、熱で穴が開けば屋根裏へ火が入るおそれがあります。そのため発炎を抑えることと、屋内に達する有害な損傷を生じないことの両方を確認します。内部火災を区画する第1肢とは想定場面が異なります。
選択肢3
(3)適当です。柱は上階や屋根の重さを地面へ伝える部材なので、火災中も必要な力を支える性能が重要です。非損傷性とは、単に表面が無傷という意味ではなく、構造上支障のある変形・溶融・破壊などを生じないことです。例えば燃えにくい材料であっても、加熱で強度が落ちて柱が大きく変形すれば、建物を支える役割を果たせません。耐火構造の柱について所定の時間この性能を求める本肢は正しく、材料の燃えやすさだけでは柱の安全性を判断できません。
選択肢4
(4)適当です。不燃材料は、通常の火災の火熱を受けても20分間、燃焼せず、防火上有害な損傷を生じない等の性能を持つものです。建物外部の仕上げに用いる材料では、本肢に挙げた二つの性能が適用されます。一般の不燃性能にある避難上有害な煙・ガスを発生しないという条件には、外部仕上げについての適用除外があります。『不燃ならどの場所でも全く同じ三条件』と覚えるのでなく、使用場所が屋内か外部仕上げかを確認して基準を読みます。
周辺知識
火災に対する性能を理解するには、『燃えるか』『炎を通すか』『熱を伝えるか』『重さを支えられるか』を分けると役立ちます。不燃材料は材料自体の燃焼など、防火設備は開口部からの火炎の拡大、柱などの耐火構造は火災中の構造上の安全も扱います。材料が燃えないという一つの性質だけで、建物の全ての火災対策が完了するわけではありません。
遮炎性は炎を反対側へ出さないこと、遮熱性は反対側の温度上昇を抑えること、非損傷性は構造を支えるうえで有害な損傷を生じないことです。例えば金属板は燃えにくくても熱をよく伝えるため、それだけで壁に必要な遮熱性能まで備わるとは限りません。求める性能と、材料や構造が備える性能を対応させます。
さらに火災の位置と時間を確認します。屋根には外からの火の粉、防火区画には屋内火災、柱には所定の時間の火熱が関係します。検証法は、その建物に想定する条件を計算等により確かめる方法です。単なる規制の免除ではなく、定められた条件と方法で必要な性能を示す仕組みです。名称に『防火』が共通していても、何をどの火災から守る検証なのかまで区別することが重要です。