資格ナビ一級建築士の演習へ

学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅲ(法規) 問3

問題・正答・学習用解説

問題

準防火地域内における次の行為のうち、建築基準法上、確認済証の交付を受ける必要がないものはどれか。ただし、建築等に関する確認済証の交付を受ける必要がない区域の指定はないものとする。

選択肢

  1. (1)
    鉄骨造、延べ面積100m²、平家建ての一戸建ての住宅における、床面積8m²の増築
  2. (2)
    木造、高さ8m、地上2階建ての飲食店で、その用途に供する部分の床面積の合計が300m²のものにおける、屋根の過半の模様替
  3. (3)
    第一種住居地域内にある鉄筋コンクリート造、延べ面積2,000m²、地上2階建ての水泳場の、体育館への用途の変更(大規模の修繕又は大規模の模様替を伴わないもの)
  4. (4)
    鉄筋コンクリート造、延べ面積300m²、地上3階建ての事務所内における、エレベーターの設置

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

正解は3です。水泳場から体育館への変更は、政令で定める類似の用途相互間の変更に当たります。大規模の修繕や大規模の模様替を伴わない本問では、用途変更に伴う確認済証の交付を受ける必要がありません。
用途変更の確認は、建物の使い方が変わることで必要な安全対策も変わるため、行政等が計画を事前に確認する仕組みです。店舗や病院など所定の特殊建築物へ変える部分が200m²を超える場合などに必要となりますが、法令は使用の性質が近い用途の間について例外を設けています。水泳場と体育館は、いずれも運動施設として同じ類似用途のグループに入ります。
2,000m²という大きさだけを見れば通常の用途変更確認の面積を超えますが、ここでは類似用途の例外を先に適切に確認する必要があります。また、第一種住居地域にあることや、準防火地域にあることは、用途規制や防火の検討に関係しますが、類似用途相互間の変更に必要な確認を新たに発生させる条件ではありません。確認不要という結論は、新しい用途として守るべき法令の基準が全てなくなることを意味しない点も区別します。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)確認が必要です。防火地域・準防火地域の外では、増築等の部分が10m²以内なら確認を不要とする特例がありますが、本問は準防火地域の中です。したがって床面積8m²という小規模な増築でも、その特例は使えません。周辺へ火が広がる危険を抑える地域では、小さな増築でも防火上の条件を確認します。100m²の既存住宅が小さいことや平家であることと、増築確認の10m²特例の適用区域を混ぜて判断しないことが要点です。

選択肢2

(2)確認が必要です。飲食店の用途に使う部分が300m²なので、特殊建築物として確認対象の規模に該当します。屋根は主要構造部の一つで、その過半を模様替することは大規模の模様替です。過半とは半分を超えることです。したがって床面積を増やさなくても、対象建物の主要構造部を大きく変える工事として確認が必要になります。『木造2階建てだから大規模な工事も確認不要』という、一般の小規模住宅を念頭に置いた判断は当てはまりません。

選択肢3

(3)確認は不要です。水泳場と体育館は、法令で定められた類似用途の同じグループです。設問は大規模修繕・模様替も伴わないので、用途変更の確認を省けます。ここでの類似は、設計者が感覚的に『似ている』と決める意味ではなく、政令の列挙に当てはまるかで判断します。同じ地域で同じ面積の建物でも、別のグループの用途へ変える場合には結論が異なり得ます。確認の手続を省けることと、体育館に適用される用途・避難等の規定を守ることは別です。

選択肢4

(4)確認が必要です。エレベーターは建築設備の一つで、人や物を上下へ運ぶため、落下や挟まれなどを防ぐ構造・安全装置の確認が必要です。本問の3階建て鉄筋コンクリート造事務所に設けるエレベーターは、設備の設置について確認を受ける対象です。建物の床面積を増やさず、内部に装置を入れるだけであっても、確認対象になり得ます。建物本体の新築や増築の手続だけを調べるのでなく、昇降機など設備固有の手続も確認します。

周辺知識

確認済証は、申請した計画が建築基準関係規定に適合すると確認されたことを示す書類です。全ての工事で同じ手続が必要なわけではなく、何をするか、建物の用途と規模、所在する区域によって対象が決まります。本問の四つは、増築、大規模の模様替、用途変更、設備の設置という異なる行為なので、同じ面積の境目だけで比較できません。
判断するときは、まず行為を特定し、その行為に関する原則の対象条件を確かめ、最後に例外の適用を確認します。8m²増築では10m²の特例があっても準防火地域なので使えず、水泳場から体育館への用途変更では2,000m²でも類似用途の例外が使えます。数字の大小だけで答えが決まらない理由はここにあります。
大規模の修繕と模様替は、主要構造部の一種以上について過半を扱う場合です。修繕は元に近い状態へ直すこと、模様替は材料や仕様等を変えることと考えると入り口を理解できます。ただし、実際の工事がどの行為に当たるかは具体的な内容で判断します。申請不要の特例は、法律の安全水準を自由に無視できる免除ではなく、事前確認という手続の範囲を調整する仕組みです。