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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅲ(法規) 問2

問題・正答・学習用解説

問題

面積、高さ又は階数に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物については、その端から水平距離1m以内の部分の水平投影面積は、建築面積に算入しない。
  2. (2)
    建築物の宅配ボックス設置部分の床面積は、当該建築物の各階の床面積の合計の\(\frac{1}{100}\)を限度として、当該建築物の建築基準法第52条第1項に規定する容積率の算定の基礎となる延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係るものを除く。)に算入しない。
  3. (3)
    建築物の屋上部分で、水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の\(\frac{1}{8}\)以下の塔屋において、その一部に休憩室を設けたものは、当該建築物の階数に算入する。
  4. (4)
    避雷設備の設置の必要性を検討するに当たっての建築物の高さの算定において、階段室、昇降機塔等の建築物の屋上部分で、その水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の\(\frac{1}{8}\)以内の場合、その部分の高さは、12mまでは当該建築物の高さに算入しない。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

正解は4です。避雷設備の設置の要否を判断する高さには、屋上の階段室や昇降機塔なども算入します。塔屋の面積が建築面積の8分の1以内であっても、その高さを12mまで差し引くことはできません。
塔屋は、屋上に突き出した階段室やエレベーターのための部分などです。道路斜線等の高さ制限では、一定の小さな屋上部分について、所定の高さを算入しない特例があります。これは周囲への圧迫感などを考える規制上の扱いです。しかし避雷設備は、雷の電流を安全に地面へ導き、建物の損傷や火災を防ぐためのものです。屋上に突出する部分が小さくても、実際に高い位置にあることは変わりません。
例えば本体18m、屋上階段室4mの建物なら、避雷設備を検討する高さは22mとして考えます。面積の小さな階段室だから18mでよい、とすると、実際の最上部を判定から落としてしまいます。建築基準法上、高さ20mを超える建物には原則として避雷設備が必要です。高さの測定は一種類ではなく、何の規定に使う数字かを確認してから屋上部分の不算入を適用することが大切です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。国土交通大臣が指定する高い開放性を持つ構造では、端から水平距離1m以内の部分を建築面積に算入しない扱いがあります。建築面積は建物が土地をどれほど覆うかを平面的に表す面積ですが、閉鎖的な外壁を持つ建物と、柱などで支えられ十分に開放された建物では特例の扱いが異なります。『開放的に見える』だけで自己判断して除けるのではなく、指定された構造の条件が必要です。床面積や容積率の不算入とも区別します。

選択肢2

(2)適当です。宅配ボックスの設置部分は、容積率の算定上、各階の床面積合計の100分の1を限度に不算入とできます。例えば床面積の合計が2,000m²なら、除外できる上限は20m²です。設置部分が15m²ならその15m²、30m²なら上限の20m²までとなります。配送物の受取りを便利にする場所を整備しやすくする仕組みですが、宅配用という理由で面積を無制限に除けるわけではありません。また、建物の物理的な床面積そのものが消える扱いではありません。

選択肢3

(3)適当です。小さな塔屋を階数に算入しない特例は、階段室や昇降機塔など、法令が想定する屋上部分について認められます。休憩室を設ければ、人が休むために使う部屋を持つことになり、そのまま階数不算入の対象にはできません。本問は面積が8分の1以下であっても、用途の条件を満たさないため階数へ算入します。面積条件と用途条件の両方が必要で、一つだけ満たせばよいのではありません。小さな部屋でも、使い方が変われば法的な扱いが変わります。

選択肢4

(4)誤りです。避雷設備の判定は、屋上階段室等を含めた高さで行います。『建築面積の8分の1以内』『12mまで』という数字は、別の高さ算定の特例を持ち込んだものです。雷に対する安全では、突出部分の高さを実際より低く扱うと適切に判定できません。まず条文が避雷設備についての高さを求めていると確認し、その目的に使えない不算入を排除します。塔屋の特例を見つけたら、適用できる規定と、適用しない規定の両方を読むことが必要です。

周辺知識

建築面積、延べ面積、高さ、階数は、一見すると図面から一つの数字が決まりそうですが、法令では規制の目的によって算定上の特例があります。建築面積は建ぺい率、延べ面積は容積率などの判定に使いますが、容積率に算入しない部分があっても、他の構造・避難等の規定で使う面積まで減るとは限りません。『何の計算のために除くのか』を常に添えて考えます。
水平投影面積は、真上から見たときに地面へ写した面積です。屋根が傾いていても、その斜面に沿った実面積とは異なります。塔屋の8分の1も、その水平投影面積の合計と建築面積を比べます。例えば建築面積400m²なら境目は50m²ですが、50m²以下であるだけで休憩室まで階数から除けるわけではありません。
特例には、対象の用途・構造、面積の上限、利用できる規定という複数の条件が付いています。本問では開放的な建物、宅配ボックス、塔屋がそれぞれ異なる特例です。図面上で該当部分を示し、『この部分を、この規定の、この上限まで除く』と文章にしてみると、条件の取り違えや他の規定への無断の流用を防げます。