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学科Ⅱ(環境・設備)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問19

問題・正答・学習用解説

問題

建築設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    非常用エレベーターの機械室の床面積は、機械の配置及び管理に支障がない場合においては、昇降路の水平投影面積の2 倍以上としなくてもよい。
  2. (2)
    空調用の低圧送風機系統において、同一特性の送風機を2 台並列運転させた場合の風量は、一般に、単独運転時の2 倍にはならない。
  3. (3)
    ヒートポンプ給湯機は、大気中の熱エネルギーを給湯の加熱に利用するもので、冷媒に二酸化炭素を用いたものがある。
  4. (4)
    マルチパッケージ型空調機の屋外機は、屋上に集中設置するよりも各階バルコニーに分散設置するほうが、冷媒管が短く、高低差が少なくなるため、一般に、機器の運転効率は低下する。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

正解は(4)です。マルチパッケージ空調は、一台または一群の室外機と複数の室内機を冷媒管でつなぐ方式です。一般に、冷媒配管が短く、高低差が小さいほうが、圧力損失や熱の出入りなどによる能力・効率の低下を抑えやすくなります。そのため各階バルコニーへ分散して配管条件が改善するのに「運転効率は低下する」とする本肢は逆です。
冷媒は、室内から熱を取り出したり室内へ熱を運んだりするために配管を循環します。長い管では流れる抵抗が増え、周囲との熱交換や冷媒量なども管理する必要があります。高さの差が大きい場合も運転上の条件が厳しくなります。室内機に近い位置へ室外機を置けば、その負担を減らせます。
ただし、バルコニー設置なら必ず屋上より良いとは断定できません。室外機が排出した熱い空気を再び吸い込む、吸排気の空間が不足する、騒音や保守に支障があるといった問題もあります。本問は配管の短さと高低差の小ささによる一般的な効率への影響を問っています。配管上の利点と、設置空間の条件を分けて評価します。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。非常用エレベーターの機械室は、機械の配置や保守管理が可能な空間を確保することが目的です。その条件に支障がなければ、床面積を昇降路水平投影面積の2倍以上としなくてもよい扱いがあります。例外を無視して一律に2倍を必要とするわけではありません。ただし、例外があることは自由に狭くしてよい意味ではなく、機器の納まりと安全に作業できる管理空間を確認することが前提です。

選択肢2

(2)適当です。二台を並列にすると同じ圧力で送れる風量は増えますが、実際に風量が増すとダクトの抵抗も増えます。そのため運転する圧力と風量の組合せが変わり、単独時の風量を単純に2倍した値には一般になりません。送風機の能力曲線とダクトの抵抗曲線の交点が運転点です。台数を足すだけで同じ割合の風量増加を期待せず、接続先の抵抗を含めて確認します。

選択肢3

(3)適当です。ヒートポンプ給湯機は、外気などから熱を取り込み、電力を使って給湯に必要な温度へ移します。冷媒として二酸化炭素を使う機器があります。二酸化炭素が温室効果ガスであることと、機器内部を循環する冷媒として使用できることは別の話です。冷媒の種類によって圧力などの設計条件が変わります。外気の熱を使うため、電気を全て熱へ変えるヒーターとは仕組みが異なります。

選択肢4

(4)不適当です。冷媒管が短く高低差が小さい条件は、一般に損失や能力低下を抑えるため、効率に有利です。「低下する」は逆です。各階へ分散する場合には室内機までの距離を短くできる一方、室外機の吸排気、騒音、点検などを各階で確保する必要があります。配管が短いことによる効果を理解しつつ、それだけで配置の総合的な優劣を決めないようにします。

周辺知識

設備の能力は、機器単体の性能だけでなく、つながる管やダクト、設置場所との組合せで決まります。送風機を増やしてもダクトが細ければ抵抗が増え、期待した風量にならないことがあります。室外機を高効率なものにしても、吸い込む空気が自分の排熱で温まれば性能が下がる場合があります。
低圧ダクトの抵抗は、一般に風量の二乗に近い関係で増えます。風量を2倍にしようとすると、同じ経路で必要な圧力差は約4倍になる方向です。並列運転で台数を増やすと風量側の能力は増えても、この抵抗も同時に変わるため、運転点を確認する必要があります。
冷媒管も、長さ、太さ、高低差、断熱などが性能へ影響します。一方、エレベーター機械室では、必要な機器と作業空間を確保することが重要です。省スペースや分散配置の利点を考える際には、搬送の損失と保守の条件を併せて見る習慣を付けましょう。機器を置けること、必要な性能を出せること、長く点検し続けられることは別々に確認する条件です。