学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問17
問題・正答・学習用解説
問題
照明率に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は(2)です。照明率は、光源から出た光束のうち、作業面へ実際に到達する割合です。器具効率が同じでも、光を広い方向へ配ると壁や天井へ向かう分が増え、作業面へ直接届く割合が小さくなる場合があります。一般に配光が広がるほど照明率が高いという本肢は不適当です。
下向きに光を集める器具なら、光は机などの作業面へ直接届きやすくなります。広く配る器具では、一部が壁などで反射してから作業面へ届き、その間に吸収される分も生じます。反射率が低い室では特に、その損失が大きくなります。「広い範囲を照らせる」ことと、「光源の光を高い割合で作業面へ届ける」ことは別です。
ただし、狭い配光が常に照明計画として優れるわけではありません。照明率が高くても、直下だけが明るく、器具間が暗くなる場合があります。室内の均斉度、壁の明るさ、まぶしさなども含めて器具と配置を選びます。本問では照明率という特定の割合の傾向を判断し、照明の総合的な良否まで一つの数値で決めないことが大切です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。器具効率は、ランプなどの光源が出した光のうち、器具の外へ出る割合です。同じ配光なら、器具内部で吸収されて失われる光が少ないほど、作業面へ届く光も増え、照明率は高くなります。器具効率と照明率は、どちらも光の割合ですが分子の到達位置が違います。まず器具から出る段階、その後室内を通って作業面へ届く段階と、光の流れを分けて読むと理解できます。
選択肢2
(2)不適当です。配光が広いほど壁などへ向かう割合が増えるため、作業面へ利用できる光の割合が必ず高くなるとはいえません。一般に下向きの狭い配光のほうが直接作業面へ届きやすくなります。ただし、照明率だけを上げることが目的ではなく、明るさのむらやまぶしさも確認します。広配光が空間全体を明るく見せる利点と、作業面への利用割合の高低を混同しないことが要点です。
選択肢3
(3)適当です。同じ形の室で壁や天井の反射率が高いと、一度当たった光が吸収されずに反射し、最終的に作業面へ届く割合が増えます。そのため照明率は高くなります。白い内装の室が、暗い内装の室より反射光を利用しやすいことに対応します。ただし、光沢面で強い映込みが生じる場合もあるので、反射率の高さと視覚的な快適さは別に確認します。本肢は室指数を同じにして反射率だけを比較しています。
選択肢4
(4)適当です。室指数は、照明器具から作業面までの高さに対し、室の幅や奥行がどれほど大きいかを表します。指数が大きい広く浅い形の室では、壁へ当たる前に作業面へ届く割合が増えやすく、照明率が高くなります。反射率を同じとした形状の比較です。天井が高く細長い室では側壁とのやり取りが増えることを考えると、室指数が光の利用に関わる理由が分かります。
周辺知識
光束法による平均照度の基本式はです。Fは一灯当たりの光束、Nは灯数、Uは照明率、Mは保守率、Aは作業面の面積です。光源が出す総光束FNのうち、室内で作業面へ届く割合Uを掛け、経年の低下などを見込むMを掛けて、面積で割ります。照明率がどの段階の損失を扱うかが分かります。
室指数は、長さl、幅w、器具から作業面までの高さhを使い、と表します。同じ床面積でも細長さや高さが違えば指数は変わり、照明率にも影響します。ただし、指数自体に単位はなく、室容積そのものを表す量ではありません。
平均照度を満たしても、机の一部が暗い、壁が暗く圧迫感がある、光源がまぶしいといった問題が残る場合があります。光束法は平均を見積もる方法なので、配光や器具間隔による分布も別に確かめます。光源の効率、器具の効率、室内での利用率、経年維持、見え方を順に整理すると、照明計画の各数値を使い分けられます。