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学科Ⅱ(環境・設備)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問15

問題・正答・学習用解説

問題

排水設備等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    飲食店の厨房の排水系統に設けるグリース阻集器は、一般に、油脂分を取ることのみを目的としているので、下流に臭気等を防止するトラップを別に設ける必要がある。
  2. (2)
    公共下水道へ排水する場合には、原則として、排水温度を45 ℃未満にしなければならない。
  3. (3)
    ディスポーザ排水処理システムは、ディスポーザ、専用の排水配管及び排水処理装置により構成されており、一般に、排水中のBOD等を基準値以下にして、下水道に放流するものである。
  4. (4)
    即時排水型ビルピット設備は、排水の貯留時間を短くすることにより、硫化水素等の悪臭物質の発生を抑制することができる。

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

正解は(1)です。グリース阻集器は、厨房排水に含まれる油脂や固形物を分離して、下流の管へ流れ込みにくくする設備です。一般に臭気や害虫が排水管側から戻るのを防ぐトラップの機能も備えています。そのため、油脂を取ることだけが目的だから下流に別のトラップが必要という本肢は不適当です。
トラップは、水をためた封水によって排水管内の空気の通り道をふさぎます。これを一つの排水経路へ二重に設けると、二つの水のふたの間に空気が閉じ込められ、排水を流すときに逃げにくくなります。その結果、流れが悪くなったり封水へ悪影響が出たりする原因となります。臭いを防ぐ装置は多く付けるほどよい、とはいえません。
グリース阻集器では、油が水より軽く浮く性質などを利用し、浮いた油や沈んだ固形物を定期的に取り除きます。取った油を再び下流へ流すのでは、設けた意味がなくなります。トラップ機能があることと、清掃しなくても臭わないことも別です。構造の働きと維持管理を合わせて理解する必要があります。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)不適当です。グリース阻集器は通常トラップ機能も備えるため、下流へさらにトラップを設ける必要はありません。二重トラップになると間に空気が閉じ込められ、排水不良を起こすおそれがあります。油脂分離と臭気の逆流防止を一つの装置が兼ねていることを確認します。ただし、装置内の油や残さを放置すればそこから臭気が発生するため、下水側からの臭いを止める機能と、内部の清掃は別に必要です。

選択肢2

(2)適当です。公共下水道へ流す排水は、原則として45℃未満とします。高温のままでは配管や下水処理の働きに悪影響を及ぼすため、必要に応じて冷却などを行います。「未満」は45℃そのものを含まないので、「45℃以下」とは境界の扱いが違います。厨房で熱い湯を大量に流す場合などは、排水の量だけでなく温度の条件も確認する必要があります。流せる水なら温度は問わないということではありません。

選択肢3

(3)適当です。ディスポーザ排水処理システムは、生ごみを砕く機器だけではなく、専用配管と排水処理装置まで含みます。BODなどの汚濁の指標を基準以下にして下水へ流す仕組みです。BODは、水中の有機物を微生物が分解するときに必要な酸素量の尺度で、値が大きいほど一般に有機汚濁が大きいことを示します。細かく砕けば汚れが消えるわけではなく、その後の処理が必要です。

選択肢4

(4)適当です。地下などのビルピットに排水を長時間ためると、酸素が乏しくなって腐敗が進み、硫化水素などの悪臭物質が発生しやすくなります。即時排水型は貯留時間を短くし、汚水が長く停滞する状態を抑えるため、臭気発生の低減に有効です。槽を大きくして余裕を持たせれば、衛生上も常に有利というわけではありません。必要容量と、速やかに入れ替わる運転を両立することが重要です。

周辺知識

排水設備は、水を流すだけでなく、油や固形物を止め、臭気を戻さず、汚れを適切に処理する役割を持ちます。油脂は管に付着して詰まりの原因となるため、厨房では流す前に分離します。トラップは封水で空気の通り道をふさぎますが、排水自体は通さなければなりません。二重に水のふたを設けると流れにくくなることが、この二つの目的の両立を示しています。
汚れの量は見た目だけでは分かりません。ディスポーザで細かくした有機物も、水中では微生物によって分解され、その際に酸素を消費します。BODはその負担を数値化したものです。処理装置を含むシステムと、粉砕するだけの装置を区別する必要があります。
排水が長くたまると、酸素不足による腐敗や臭気が進む場合があります。槽の形、ポンプの起動水位、残る水の量などを工夫して滞留時間を抑え、定期的に清掃します。排水の温度、水質、流量、貯留時間を合わせて見ると、詰まりや臭気の原因を一つの対策だけで済ませられない理由が理解できます。