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学科Ⅱ(環境・設備)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問14

問題・正答・学習用解説

問題

給排水衛生設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    排水を再利用した雑用水については、便器洗浄水や修景用水の他に、清掃用水や冷却塔補給水にも使用した。
  2. (2)
    給水設備において、上水系統と別系統にした雑用水系統の受水槽については、雑用水用ポンプを設置した給排水衛生設備機械室の直下にある鉄筋コンクリート造の床下ピットを利用した。
  3. (3)
    雨水を便器洗浄水等で再利用した排水が下水道料金の対象となる地域において、雨水使用量を計測する量水計を設置した。
  4. (4)
    飲食施設を設けない中小規模の事務所ビルの給水設計において、使用水量の比率を、飲料水30 %、雑用水70 %とした。

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

正解は(1)です。雑用水は、飲用ほどの水質を必要としない一定の用途へ使う水です。しかし「飲まない用途なら何にでも再利用水を使える」という意味ではありません。冷却塔や加湿装置への補給水には、水道法の水質基準に適合する水を用いることが求められ、排水を再利用した雑用水をそのまま冷却塔へ補給する本肢は不適当です。
冷却塔では水を散布して空気と接触させるため、細かな水滴が周囲へ飛散する可能性があります。水を直接飲まなくても、人がその飛沫を吸い込む経路があり、水質の管理が重要です。便器の洗浄用水として使えることを理由に、同じ水を空気と接触させる設備へ広げてよいとは判断できません。
また、再利用水の原水が何かによって、散水、修景、清掃などへの使用条件も変わります。し尿を含む原水を処理した水については、特に用途が制限されます。本問では原水の詳細を勝手に補うのではなく、少なくとも冷却塔補給水まで一括して利用可能とする誤りを見抜きます。節水と衛生を両立させるため、原水、処理、水質、使用場所を一組として計画します。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)不適当です。排水を再利用した雑用水を、冷却塔補給水として使用することはできません。冷却塔は細かな水滴が空気へ移る可能性があるため、水道水を前提とした水質の管理が必要です。便器洗浄や修景などに使える水でも、全ての非飲用用途に適するわけではありません。また、散水・修景・清掃についても原水にし尿を含むかなどの条件があります。用途名だけでなく原水と接触の仕方を確認します。

選択肢2

(2)適当です。飲用系統から分離した雑用水槽は、飲用受水槽と同じ構造条件を一律に要求するものではなく、所定の防水・衛生管理などを前提にRC造の床下ピットを利用できます。機械室の直下という配置も本問の計画として適当です。ただし、雑用水だから汚れてよいという意味ではありません。清掃や点検、誤接続防止、漏水防止などを計画し、飲料水系統と混ざらないことを確保します。

選択肢3

(3)適当です。雨水は水道メーターを通らずに建物へ入りますが、便器洗浄などに使った後に下水道へ流れれば、その排水は処理の対象になります。下水道料金の対象となる地域では、使用量を把握するために量水計を設けます。上水道から買った量と、下水道へ流す量が常に一致するわけではないことが要点です。本肢はその地域条件を明示しているので、雨水だから料金計測が不要とは判断しません。

選択肢4

(4)適当です。飲食施設のない事務所では、便器洗浄などの雑用水が多く、飲料系統30%、雑用系統70%という比率は設計上の目安として妥当です。飲料水という名称でも、実際に口から飲む量だけを指す配分ではなく、飲用水質を必要とする用途を含めて考えます。食堂がある、利用人数が変わるなど用途条件が違えば比率も変わるため、この値を全ての建物へ固定して用いないようにします。

周辺知識

水の再利用では、節約できる水量と、人が水に触れる経路の両方を確認します。便器洗浄水は排せつ物を流す水ですが、便器に併設された手洗いや温水洗浄便座の水まで同じ雑用水でよいわけではありません。直接皮膚に触れる、飛沫を吸い込む、誤って飲むなど、利用方法によって求める水質が変わります。
設備上は、飲用と雑用の配管、槽、ポンプを分け、表示や接続の管理で誤使用を防ぎます。上水を雑用水槽へ補給する場合も、吐水口空間などで逆流を防ぎ、飲用系統を汚染しないようにします。雑用水の利用が増えるほど、配管を見分けやすくすることも重要です。
また、雨水は降らない期間には得られず、再生水の量は建物の使用状況に左右されます。必要な水量を安定して確保する仕組みと、水を長くためすぎない管理の両方が必要です。原水を集める、処理する、ためる、使う、排水するという流れをたどると、節水、水質、槽の容量、量水計の役割を一続きで理解できます。