学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問13
問題・正答・学習用解説
問題
機械換気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
- (1)
200m2の一般的な事務室(40 席)の換気量を、1,200 m3/hとした。 - (2)
100m2の喫茶店の客席(40 席)の換気量を、1,200 m3/hとした。 - (3)
500m2の劇場の客席(400 席)の換気量を、6,000 m3/hとした。 - (4)
1,000 m2の自走式屋内地下駐車場の換気量を、14,000 m3/hとした。
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
正解は(3)です。人が利用する室の換気量を比較するときは、総量を人数で割って、一人当たりの新鮮な空気量へ直すと判断しやすくなります。劇場は400席に対して6000m3/hなので、一人当たりの換気量は次のとおりです。 4006000=15m3/(h⋅人) 人が密に集まる客席の計画値として少なく、不適当です。
劇場の客席では一人当たり20m3/h程度以上を目安として考えると、400人では400×20=8000m3/h程度以上となります。設問の6000m3/hではこれに届きません。一方、事務室と喫茶店はどちらも40席・1200m3/hなので、一人当たり30m3/hとなり、妥当な計画値です。 駐車場は人の呼吸だけでなく自動車の排出ガスを処理することが目的なので、同じ一人当たりの考え方では評価しません。14000m3/hを1000m2で割ると14m3/(h⋅m2)で、床面積に対する換気量として適当です。本問では、面積、人数、用途のどれを基準に比較するかを先に決め、総換気量の数字の大きさだけで判断しないことが大切です。 各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。40席に対して1200m3/hなので、一人当たり401200=30 m3/hです。一般的な事務室の換気計画として妥当な値になります。床面積200m2という情報だけでなく、何人が使うかが人体からの二酸化炭素発生量などを決めます。同じ面積でも席数を増やせば一人当たりの換気量は減るため、レイアウト変更時にも換気の確認が必要です。総量だけでなく人数で割って比較します。 選択肢2
(2)適当です。100m2・40席の喫茶店で1200m3/hなら、一人当たり30m3/hで、客席の計画値として適当です。事務室より面積が小さくても、席数は同じなので人に対する換気量は同じになります。ただし、この値は客席の換気としての判断です。厨房の火気、調理による熱や臭気、喫煙の条件などがあれば別途対応が必要で、客席換気量だけで店舗の全ての排気を処理できるとは限りません。 選択肢3
(3)不適当です。400席に6000m3/hは一人当たり15m3/hで少なすぎます。総量はほかの小規模な室より大きく見えても、人数が大幅に多いため不足します。一人20m3/hを目安とすれば8000m3/h程度以上が必要です。劇場は人が一度に密集し、呼吸に伴う二酸化炭素や体臭などが発生します。部屋が大きいから少ない一人当たり換気でもよい、とは判断できません。 選択肢4
(4)適当です。自走式屋内地下駐車場の14000m3/hは、床面積1000m2に対して14m3/(h⋅m2)です。自動車の排出ガスを滞留させない換気の計画値として適当です。これは換気回数14回/hという意味ではありません。換気回数は室容積で割るため、天井高さの情報も必要です。m2当たりの風量とm3当たりの風量の単位を区別し、用途に対応した基準で比較します。 周辺知識
換気量には、一人当たり、一平方メートル当たり、室容積に対する換気回数など、異なる表し方があります。人から生じる汚染は人数、駐車場の排出ガスは面積と利用状況、燃焼器具の排ガスは燃料消費量などに対応して見積もります。まず汚染の発生源を確認し、それに合う単位で必要量を求めます。
二酸化炭素について単純な定常・完全混合のモデルでは、室内外の濃度差は、次の式で求められます。
室内外の濃度差=発生量換気量 人数が2倍で換気量が同じなら、外気との差は2倍になります。室容積が大きいと濃度が変化するまでの時間には影響しますが、定常濃度を十分低く保つには継続的な換気量が必要です。
また、空調機から吹き出す総風量と、外から入れる換気量は同じとは限りません。室内空気を戻して再循環する分があれば、温度調整のための風量が大きくても、新鮮外気の量は別に確認します。人数、外気量、排気経路をそろえて確認することが、室内の空気環境を適切に保つ基礎です。