学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問8
問題・正答・学習用解説
問題
色彩に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は(2)です。複数の色光を重ねて明るくするのは、加法混色です。減法混色は、色材やフィルターが光の一部を吸収し、残る光の波長成分を変えることで色をつくる方法です。重ねるほど吸収される成分が増え、一般に暗くなる方向です。本肢は加法混色の説明を減法混色と呼んでいます。
例えば、画面は赤・緑・青の発光を組み合わせ、光を足してさまざまな色をつくります。一方、白い紙に印刷するインクは、照明の光から特定の成分を吸収し、紙から戻る光を変えます。インクを重ねると戻る光が少なくなるため、光を重ねた場合と同じ結果にはなりません。
「赤と緑を混ぜる」といった言葉だけでは、光源を重ねるのか、絵の具やインクを混ぜるのかが分かりません。混色問題では、まず何を混ぜるのかを確かめます。加法は光を加える、減法は元の光から吸収によって減らすという物理的な仕組みです。ただし実際の絵の具は散乱なども関わるため、理想的な三原色の単純な図だけで全ての混色結果を予測できるわけではありません。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。マンセルバリューは人が感じる明るさを段階として整理した明度であり、5だから光を50%反射するという意味ではありません。バリュー5の視感反射率はおおよそ20%です。感覚の等間隔と、物理的な反射率の等間隔は違います。明度を2倍にしたら反射光量も2倍、という比例は成り立ちません。色票の明度と照明計算に使う反射率は、対応を確認して使い分けます。
選択肢2
(2)不適当です。色光を重ねて光の量を増やすのは加法混色です。減法混色では色材などが一部の波長を吸収するため、重ねるほど一般に暗くなります。発光する画面と、照明を受けて見える印刷物では、色をつくる仕組みが違います。RGBは光を足す代表、CMYは光を差し引く代表として整理できます。ただし名称だけを対で覚えるより、目に入る光が増えるのか、吸収で減るのかを考えることが重要です。
選択肢3
(3)適当です。相関色温度は、光色に最も近い黒体放射の色を温度で近似する一つの数値です。同じ相関色温度でも、基準となる色の軌跡から緑側や赤紫側へずれるなど、色度が完全には一致しない場合があります。そのため、同じ表示のLEDでも光色が違って見えることがあります。色温度が同じなら光の全ての性質が同じという意味ではなく、色度や波長の分布、演色性も別に確認します。
選択肢4
(4)適当です。XYZ表色系のYは視覚の明るさへの感度と対応する量です。反射物体の色を、完全反射拡散面を100とする尺度で表すと、Yは視感反射率の百分率に対応します。X、Y、Zを単純に赤・緑・青の量と置き換えないことが重要です。特にYは、色度座標の小文字yとは別の量であり、という正規化した比と、元の三刺激値を区別して読みます。
周辺知識
色を数値で表す際には、感覚を整理した尺度と、光の量に基づく尺度が混在します。マンセルの明度は人の感じる明るさを段階化し、視感反射率は入射した光に対してどれだけ反射するかを表します。両者は関連しますが比例しません。明度5と反射率約20%という関係は、その違いを示す代表例です。
光源の色を表す相関色温度はKで示しますが、LED自体がその温度に加熱されている意味ではありません。理想的な熱放射の色に近付けて表す尺度です。一つの温度で光色を要約するため、同じ値でもわずかな色みの違いが残り得ます。
また、色光の混合と色材の混合では、出発点が違います。暗い画面に光を加える加法混色と、白い紙が返す光をインクで減らす減法混色を比べると理解しやすくなります。建築では、照明の光色、壁や床の物体色、カタログや画面の色の再現を扱います。数値や見本を比較するときは、発光か反射か、照明条件、評価する属性をそろえることが大切です。