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学科Ⅱ(環境・設備)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問7

問題・正答・学習用解説

問題

照明に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    ある視対象面の明るさは、その面に入射する光から求められる照度のみからでは、予測することができない。
  2. (2)
    CIE標準曇天空では、天頂に対する相対的な輝度分布は、方位にかかわらず、高度のみにより決まる。
  3. (3)
    配光曲線は、光源の各方向に対する照度の分布を示すものである。
  4. (4)
    平均演色評価数(Ra)は、相関色温度が同じ光源であっても異なる場合がある。

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

正解は(3)です。配光曲線は、照明器具や光源が各方向へどれほどの強さで光を出すか、すなわち光度の分布を示す図です。照度の分布ではありません。光度の単位はcd、照度の単位はlxで、光度は光源側の方向別の性質、照度は受ける面へ届く光の密度です。
点光源なら、受照面の照度は次の式で求めます。
E=Icos⁡θr2E=\frac{I\cos\theta}{r^2}
I\displaystyle Iがその方向の光度、r\displaystyle rが距離、θ\displaystyle \thetaが面の法線と光のなす角です。同じ方向の光度が同じでも、受ける面を2倍遠くへ置けば照度は14\displaystyle \frac{1}{4}になり、斜めに置けば余弦の影響も加わります。配光曲線だけで任意の場所の照度が決まらない理由が、この式から分かります。
例えばスポットライトは狭い方向へ強い光度を持ち、拡散形の照明は広い方向へ光を配ります。その配光を知り、器具の位置や高さ、照らす面の向きを組み合わせて初めて照度を求められます。さらに実際の室内では壁や天井からの反射光も加わるので、光源の出し方と受照面の条件を区別して計画します。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。同じ照度が当たっても、白い紙と黒い紙では反射する光が違うため、見える明るさは変わります。均等拡散反射面なら輝度はL=ρEπ\displaystyle L=\frac{\rho E}{\pi}で、照度Eに加えて反射率ρ\displaystyle \rhoが必要です。また光沢があれば見る方向にも影響されます。照度は入ってくる光の量であり、対象から目へ向かう光や主観的な明るさそのものではありません。受けた光を表面がどう返すかまで確認します。

選択肢2

(2)適当です。CIE標準曇天空は、雲に覆われた空の明るさを理想化したモデルで、同じ高度なら方位による輝度の差はないとします。ただし空全体が均一な明るさではなく、一般に天頂側ほど明るくなる高度方向の分布を持ちます。「方位に依存しない」と「高度にも依存しない」を混同しないようにします。現実の曇り空が毎回完全にこの分布となるという意味ではなく、採光計算の共通条件として使うモデルです。

選択肢3

(3)不適当です。配光曲線は方向別の光度を表します。照度を求めるには、その方向の光度に加えて光源からの距離と受照面の角度が必要です。懐中電灯の光の広がり方は器具の配光ですが、壁へ近づけたときと遠ざけたときの明るさの違いは照度の変化です。配光曲線の目盛がcdなどで示されることを確認し、lxで表す面上の明るさの分布図と区別します。

選択肢4

(4)適当です。相関色温度が同じでも、光に含まれる波長ごとの強さが同じとは限りません。そのため、物体が反射する光の組合せが変わり、色の見え方を評価するRaが異なる場合があります。同じ白っぽさの照明で服を見ても、ある色だけ印象が変わることがあります。相関色温度は光色の尺度、Raは基準光との物体色のずれに関する尺度であり、片方から他方が一意に決まるわけではありません。

周辺知識

照明の量は、光束、光度、照度、輝度を分けると整理できます。光束lmは人の目の感度で評価した光の量、光度cdは特定方向への光の強さ、照度lxは面に入射する単位面積当たりの光、輝度cd/m2\displaystyle \mathrm{cd/m^2}はある方向から見た発光面・反射面の明るさに関係する量です。
照明器具のカタログでは、光束と配光が示されます。光束が同じでも、狭い範囲へ集めるか広く配るかで光度が変わります。器具を配置すると距離や角度に応じて照度が決まり、さらに床や壁の反射で輝度が決まります。この順にたどると、それぞれの量が光の流れのどの段階を表すか分かります。
室内の見え方には、光の量に加えて色も関わります。色温度が同じでも演色性が違えば、内装や商品の印象は変わります。必要な照度を確保し、まぶしさを抑え、用途に合った色の見え方を整えることが照明計画です。単一の数値が大きい照明を選ぶだけでは、目的に合った視環境になるとは限りません。