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学科Ⅱ(環境・設備)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問6

問題・正答・学習用解説

問題

日照・日射に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    夏至の日に終日日影となる部分を、永久日影という。
  2. (2)
    建築物の形状と日影の関係において、4 時間以上日影となる領域の面積は、一般に、建築物の東西方向の幅よりも高さから受ける影響が大きい。
  3. (3)
    南面と西面の外壁条件が同一である建築物の周囲に落葉樹を植える場合は、その落葉樹の位置は、一般に、南側より西側としたほうが、その建築物の冷暖房負荷の軽減に有効である。
  4. (4)
    鉛直壁面の中央付近に設けられる同一面積の窓からの採光においては、一般に、横長窓より縦長窓のほうが、床面の照度の均斉度は高い。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は(2)です。4時間以上日影となる領域は、一つの瞬間の影ではなく、太陽が動く間に影が重なって、長い時間日が当たらなくなる範囲です。一般に、この長時間日影の面積には建物の東西方向の幅が強く影響します。「東西の幅より高さの影響が大きい」という本肢は不適当です。
高さを増せば、ある時刻の影は遠くまで伸びます。しかし細い塔のような建物なら、影が太陽の動きとともに移動して、一つの場所を覆う時間が短い場合があります。一方、東西に長い建物は、太陽が東から西へ動いても、建物の別の部分が次々に日射を遮り、影が長く重なりやすくなります。影の長さと、同じ場所が影になる時間は別なのです。
これは高さが日影へ影響しないという意味ではありません。高さ、幅、方位、季節、測定面の高さなどが組み合わさって結果が決まります。本問では一般的に4時間以上という長い日影の領域を左右する要因を比較しています。日影図を読むときは、一時刻の影を眺めるだけでなく、複数時刻の影を重ねて時間を積み上げる視点が必要です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。永久日影は、夏至の日にも終日影となる部分をいいます。夏至は太陽が高く、日が出ている時間も長いので、その日にも直射日光を得られない場所を、一年を通じて日照を得にくい場所として扱います。日影は直射日光が遮られることを意味し、天空からの明るさまで全く届かないという意味ではありません。終日日影の場所でも散乱した天空光で明るく見える場合があるので、日照と採光を区別します。

選択肢2

(2)不適当です。4時間以上の長時間日影の面積には、一般に東西方向の幅の影響が大きくなります。高さは影を遠くへ伸ばしますが、長く伸びた影が同じ場所にとどまるとは限りません。東西に長い建物は太陽の移動中も遮る幅が続き、日影が重なりやすくなります。「高い建物ほど影が長い」という正しい知識を、そのまま長時間日影の面積の比較へ置き換えないことが解答の要点です。

選択肢3

(3)適当です。西日は低い角度で入るため、水平な庇だけでは遮りにくく、夏の午後の冷房負荷へ影響します。西側の落葉樹は夏に葉で日射を遮り、冬に葉が落ちると日射を取り入れやすくなるため有効です。南側では庇などで季節に応じた遮蔽をしやすく、冬の日射取得も重要です。外壁条件が同じという前提で、方位ごとの日射の入り方と、葉の季節変化を組み合わせて判断します。

選択肢4

(4)適当です。同じ面積で壁の中央付近にある窓を比較すると、縦長窓は上部が高くなり、高い位置から室奥へ光を届けやすくなります。そのため床の近くと奥の明るさの差を抑え、照度の均斉度を高めやすい傾向があります。横長窓は左右へ光を広げる利点がありますが、同じ面積だから奥行方向の分布も同じとは限りません。窓面積だけでなく高さや形、室の奥行が採光を変えると理解します。

周辺知識

日照計画と採光計画は関係しますが、評価しているものが違います。日照は太陽の直射が当たるか、採光は天空光や反射光も含めて室内へ明るさを取り入れられるかを扱います。北側の窓からでも天空光を得られるので、直射日光が当たらないことと、室内が必ず暗いことは同じではありません。
日影の長さは、単純な場合には建物高さを太陽高度の正接で割って求めます。太陽が低いほど影は長くなります。一方、日影の継続時間には建物の幅と太陽の方位の変化も関わります。影の一枚の図と、一日の影を重ねた図を分けて考えましょう。
照度の均斉度は、明るさのむらがどれほど小さいかを示す考え方です。窓際だけ非常に明るく奥が暗い室では、平均照度が高くてもむらが大きくなります。窓上端を高くする、室内の反射を利用する、日射を適切に遮るなどで光の分布を整えます。樹木や庇、窓の形は、熱の負荷と明るさの両方へ影響するため、別々に最適化せず一緒に検討することが大切です。