学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅴ(施工) 問23
問題・正答・学習用解説
問題
各種改修工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢3です。かぶせ工法で新しいアルミニウム製建具を既存枠へ小ねじ留めする場合、端部は100mm以下、中間の留付け間隔は400mm以下とします。本肢の端部100mmは適当ですが、中間500mmが広すぎます。
かぶせ工法は、既存の枠を残し、その内側などへ新しい枠を取り付ける改修方法です。周囲の壁の解体を減らせる利点がありますが、新しい建具の重さや風の力は、取付けねじから既存枠へ伝わります。ねじの間隔が広すぎると、枠が局部的に変形し、開閉や気密・水密の性能を損なうおそれがあります。
新しい製品が良好でも、それを支える既存枠が劣化していたり、固定が不足していたりすれば十分ではありません。既存部分の健全さ、必要な固定位置、取合い部の防水などを確認します。他の肢は、既存躯体を傷めにくい撤去機械、ルーフドレンまわりの段差処理、天井を支える既存インサートの再利用試験を述べています。改修では、残す部分と新しくする部分の接続が特に重要です。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:保護コンクリートの撤去に質量10kgのハンドブレーカーを使う本肢は適当です。ハンドブレーカーは手で扱う打撃式のはつり機械です。大型機械の強い打撃で、残す防水下地や躯体、周囲の仕上げを傷めないように、適切な小型機械を使います。ただし、10kgの機械なら乱暴に扱っても安全という意味ではありません。撤去する厚さ、境界、鉄筋や設備の位置を確認し、残す部分へ過度な振動や衝撃を与えない手順で進めます。
選択肢2
選択肢2:ルーフドレンまわりの防水層・保護層の撤去端部を、ポリマーセメントモルタルで約の勾配に仕上げる本肢は適当です。ルーフドレンは屋根の水を排水管へ集める部分です。急な段差を残すと、新しい防水層をなじませにくく、角へ無理な力が集中します。の勾配は、高さ1に対して水平2の傾斜をつくることです。屋根全体の排水勾配をにする意味ではなく、局部の撤去端部を滑らかにつなぐ処理である点を区別します。
選択肢3
選択肢3:既存枠へ留める小ねじの中間間隔を500mmとする点が不適当です。中間は400mm以下、端部は100mm以下とします。端部100mmが正しいので文章全体も正しいと判断しないようにします。かぶせ工法では、新しい枠から既存枠へ荷重や風圧などを伝える必要があり、所定の位置で確実に固定します。ねじの本数を減らすと、部材の間が変形しやすくなります。既存枠の腐食や変形も確認し、固定方法と取合いのシーリングを計画します。
選択肢4
選択肢4:本問の非特定天井で、吊り材間隔900mm程度以下、面の質量20以内という条件なら、当該階3か所へ400Nをかけて既存インサートを確認する本肢は適当です。インサートは、コンクリート内へ埋め込んで吊りボルトを取り付ける部品です。再利用する際は、見た目だけで健全と判断せず、所定の引抜き確認を行います。この試験条件を、重量の大きな天井や特定天井へ無条件に適用しません。新設天井の仕様と既存支持部の性能を対応させます。
周辺知識
改修工事では、残す既存部分を新しい材料や設備の支持に使うことがあります。建具のかぶせ工法は既存枠、天井の更新は既存インサートが新しい部分を支えます。新品の品質確認に加え、古い支持部の状態と、接続方法の性能を確認する必要があります。
撤去作業では、取り除く部分と残す部分の境界を明確にします。保護コンクリートを撤去するときは下の躯体を傷めず、ドレンまわりでは新しい防水層を無理なくつなげる形に整えます。解体の速さだけを優先すると、残した部分の補修が増えたり、完成後の漏水につながったりします。
留付け間隔や試験荷重は、その工法と部材の条件に対応しています。ねじ端部100mmと中間400mmは測る箇所が違い、インサートの400Nは所定の天井条件の確認値です。数字の一部だけを覚えるのではなく、既存部材が何を支えるのか、新しい工事がどんな力を伝えるのかを考え、条件を一つずつ照合することが大切です。