学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅴ(施工) 問11
問題・正答・学習用解説
問題
コンクリート工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢4です。棒形振動機は、原則として60cm以下の間隔で挿入し、締固めが行き渡るようにします。型枠振動機や木槌を併用したことを理由に、挿入間隔を80cmへ広げることはできません。内部に振動が届きにくい部分が残るおそれがあります。
コンクリートを型枠へ入れただけでは、鉄筋の下や型枠の隅などに大きな空隙が残ることがあります。棒形振動機を内部へ挿入して流動しやすくし、余分な空気を排出して密実にします。ただし、一か所の振動が無限に遠くへ届くわけではないので、所定の間隔でむらなく挿入する必要があります。
型枠振動機や木槌は側面や細部の充填を助けますが、内部の必要な締固めを省く代わりではありません。長時間振動させれば全て解決するわけでもなく、過度な加振は材料分離につながります。他の肢は、スランプの許容差、鋼管内への落下高さ、高強度コンクリートに適用する時間の限度について、それぞれの条件に合う管理を述べています。受入れから打込み・締固めまで品質を続けて管理します。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:指定スランプ18cmの許容差は±2.5cmなので、許容範囲は15.5〜20.5cmです。測定値15.5cmは下限と等しいため、本肢の許容は適当です。スランプはコンクリートの軟らかさを表す指標で、円すい形の型を引き上げた後の沈下量を測ります。境界値と等しいことを、下限未満と取り違えないようにします。スランプが合格でも、空気量、温度、塩化物量など必要な他の品質確認が全て済んだことにはなりません。
選択肢2
選択肢2:鋼管へ落し込みで充填する際、打込み当初の自由落下高さを1m以内に抑える本肢は適当です。高い位置から自由に落とすと、石粒とモルタルが分かれるなど材料分離の原因になります。特に鋼管内には、床や梁の接合に関わる部材などがあり、落下時の衝突にも配慮します。コンクリートを送る管を適切な位置まで入れ、必要な高さを管理します。鋼管に囲まれているから分離してもよいわけではなく、内部を均質に充填することが必要です。
選択肢3
選択肢3:設計基準強度60で高性能AE減水剤を使う本問の高強度コンクリートについて、練混ぜから打込み終了までの限度を原則120分とする本肢は適当です。高強度コンクリートに適用する条件で判断し、普通コンクリートの外気温別の時間区分をそのまま当てはめません。ただし、120分まで放置しても品質が必ず保たれるという意味ではありません。施工中の温度、流動性、材料分離などを管理し、試し練りや施工計画に従って打込みを完了させます。
選択肢4
選択肢4:棒形振動機の挿入間隔を80cmとする点が不適当です。60cm以下を基本とし、振動が行き渡るように挿入します。型枠を外から振動させたり木槌でたたいたりする補助作業があっても、内部に振動の届かない区間を残してよいわけではありません。棒をほぼ鉛直に入れ、所定の深さと時間で加振し、引き抜いた跡が残らないようにします。密な鉄筋や隅部では充填しにくさが変わるため、機器の径や作業方法も施工条件に合わせます。
周辺知識
コンクリートの品質は、工場で練った時点だけで決まりません。運搬中には時間と温度の影響を受け、打込み中には落下や流動による分離、締固め中には空隙の残り方が変わります。受入れで規格を満たす材料を確認し、その後の施工でも性能を保つ必要があります。
材料分離は、粗骨材とモルタルなどが均一でなくなることです。高すぎる落下や過度な振動は分離を招くことがあります。一方、振動を控えすぎると大きな空隙が残ります。締固めは、できる限り強く長く行う作業ではなく、必要な範囲へ適切に振動を伝える作業です。
時間や寸法の基準は、対象のコンクリートと工法を先に確認します。普通、高強度、鋼管充填では、調合や施工条件が違います。許容差は指定値の上下へ計算し、時間の限度はどの時点からどの時点までかを確認します。数値とその目的を結び付けることで、別の区分から持ってきた条件を見分けられるようになります。