学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅴ(施工) 問10
問題・正答・学習用解説
問題
表は、コンクリートの計画調合において使用する材料の絶対容積、質量等を記号で表したものである。この表の材料を使用したコンクリートに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、細骨材及び粗骨材は、表面乾燥飽水状態とする。また、化学混和剤としてAE減水剤を使用するものとする。| 単位水量(kg/m³) | 絶対容積(l/m³) | 質量(kg/m³) | AE減水剤の添加率(%) | ||||
| セメント | 細骨材 | 粗骨材 | セメント | 細骨材 | 粗骨材 | ||
| A | B | C | D | E | F | G | H |
選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢1です。表のAは水の質量、Eはセメントの質量なので、は水セメント比です。一般に水セメント比を大きくすると強度は低下する傾向があり、その値に強度が比例して増えるという説明は逆です。
セメントと水は反応して固まりますが、反応に使われずに残る水が多いと、硬化後に空隙が多くなり、強度に不利になります。例えばセメント300kgに水150kgなら水セメント比は50%、水180kgなら60%です。ほかの条件をそろえたとき、後者のほうが強くなると判断することはできません。
強度の関係を表す際は、逆数であるセメント水比との直線関係などを用います。ただし、全ての条件で原点を通る厳密な比例になるという意味ではありません。本問の残る式は、添加率をセメント質量へ掛ける計算、骨材の体積に占める砂の比率、1m³当たりの材料質量の合計です。記号だけを見るのではなく、表から材料名と単位を読み替えると式の意味を判断できます。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:は水の質量をセメントの質量で割った水セメント比で、その増加に強度が比例するという本肢は不適当です。一般に水セメント比が大きいほど、硬化後の空隙が増えて強度に不利になります。強度は逆数のセメント水比との関係で整理されますが、材料や養生条件にも左右されます。水を少なくすれば施工性を無視してよいわけでもありません。必要な強度と流動性を両立する調合を、材料試験や適切な混和剤で検討します。
選択肢2
選択肢2:AE減水剤の添加率H%はセメント質量に対する割合なので、使用量はとなり、本肢は適当です。例えばEが300、Hが1%なら、です。百分率をそのまま掛けず、100で割って小数へ直します。AE減水剤は空気を連行し、必要な施工性を得る水量を減らす働きなどを持つ化学混和剤です。水の質量Aや、骨材の体積Cに添加率を掛ける計算とは区別します。
選択肢3
選択肢3:細骨材率は、骨材全体の絶対容積に占める細骨材の絶対容積の割合なので、で表す本肢は適当です。細骨材は砂、粗骨材は砂利や砕石などの比較的大きな粒です。例えばCが300L、Dが400Lなら、細骨材率は約42.9%です。分母へセメント体積Bや水量Aを加えません。また、質量のFとGで計算する比でもありません。何の全体に対する割合かと、体積で評価する指標であることを確認します。
選択肢4
選択肢4:本問の調合表で扱う単位容積質量は、水A、セメントE、細骨材F、粗骨材Gの1m³当たりの質量を合計するので、とする本肢は適当です。B、C、Dは体積なので、これを質量の代わりに足しません。化学混和剤の微小な量などを簡略化した調合表の取扱いであり、混和剤に質量がないという意味ではありません。実際の製造では製品の添加量や含まれる水分を適切に管理します。表の単位をそろえて加算することが計算の基本です。
周辺知識
コンクリートの調合表は、完成するコンクリート1m³をつくるために、各材料をどれだけ使うかを示します。は材料の質量、は材料の体積です。記号の意味を表の見出しへ戻って確認すれば、質量を足す式へ体積を混ぜるなどの間違いを避けられます。
絶対容積は、材料の粒そのものが占める体積です。砂を容器へ入れたときの、粒同士の隙間を含む見かけの体積とは違います。細骨材率は骨材の絶対容積比であり、水セメント比は水とセメントの質量比です。どちらも百分率で表せますが、割る対象と単位は異なります。
表面乾燥飽水状態は、骨材内部の吸水できる部分が水で満たされ、表面に余分な水が付いていない基準状態です。実際の湿った骨材では表面水を考慮して練混ぜ水量を調整します。計画表で用いる基準状態と、現場・工場で測る材料の状態を区別し、必要な水セメント比や骨材量が実際にも保たれるよう管理します。