学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅴ(施工) 問9
問題・正答・学習用解説
問題
型枠工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢3です。材齢28日以前に梁下の支保工を外す可否は、現場で所定の養生をした供試体など、実際の部材の強度を判断できる方法で確認します。標準養生した供試体が設計基準強度に達したという結果だけでは、現場の梁が同じ強度に達したとはいえません。
標準養生は、管理された温度と水分の条件でコンクリートの強度を確認するための養生です。現場の梁は外気温や保水状態の影響を受けるので、標準養生より強度の増進が遅い場合があります。暖かい水中で養生した試料だけが十分に強くなっていても、寒い現場の梁が自重を安全に支えられるとは限りません。
支保工を外すと、それまで仮設の支柱が受けていた重さを、梁自身が受け持つようになります。現場水中養生や現場封かん養生など所定の方法による強度確認に加え、施工中の荷重に対して安全かを検討します。柱・壁の側面のせき板を外す場合とは、荷重を支える役割が違います。検査の結果は、養生方法と、何を判断するための試験かを確かめて使います。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:通常のポンプによる打込みで、作業荷重と衝撃荷重を合わせて1.5とする本肢は適当です。打込み中には、作業員や器具の重さ、コンクリートの投入に伴う作用が加わります。型枠とコンクリートの自重だけで計算すると、施工中に増える荷重を見落とします。1.5はこれらの積載荷重としての値で、コンクリート自重を全て含んだ総荷重ではありません。施工方法が特殊な場合は、その条件に応じて必要な荷重を検討します。
選択肢2
選択肢2:開口補強が不要で径200mm以下の壁スリーブを、特記がない場合に紙チューブとする本肢は適当です。スリーブは、後で配管などを通す孔をコンクリートに確保するための部材です。必要な位置と寸法を保ち、打込み時にずれたりつぶれたりしないよう固定します。ここで認める条件は壁の小さな無補強開口であり、大きな開口や補強が必要な部位まで同じ材料でよいという意味ではありません。孔の大きさ、位置、構造上の補強の要否を確認します。
選択肢3
選択肢3:標準養生供試体の強度だけで梁下支保工を外す点が不適当です。所定の現場水中養生や現場封かん養生などにより、現場部材の強度を判断します。封かん養生は、水分が逃げないように封じて養生する方法です。標準養生が材料の性能を確かめるのに適していても、現場の温度履歴をそのまま再現するわけではありません。梁下の支柱を外す際は、必要な強度が発現し、施工中の荷重にも安全であることを確認して、所定の手順で取り外します。
選択肢4
選択肢4:計画供用期間が標準で、普通ポルトランドセメントを使い、平均気温10℃以上15℃未満の条件で柱・壁のせき板を6日存置する本肢の計画は適当です。せき板はコンクリートの側面の形を保持する板で、早く外すと表面や角を傷めるおそれがあります。硬化の進み方は温度とセメント種類で変わるため、材齢による判断にも条件を付けます。梁下の支柱と同じ日数で一律に外すのではなく、施工箇所と支持する役割に応じた期間や強度を確認します。
周辺知識
型枠は、コンクリートを所定の形にするせき板と、それを支える部材などで構成されます。柱・壁の側面の板は形を保持し、床や梁の下の支柱は硬化前の重さを受けます。取り外したときに部材が負担する力が違うため、同じ撤去条件を使うことはできません。
コンクリートの強度は、材齢だけでなく温度と水分にも左右されます。供試体という小さな試料をつくって圧縮試験を行いますが、どのように養生した試料かによって、結果が意味する内容が変わります。工場から届いた材料の強度管理と、現場の支えを今外せるかの判断を区別します。
支保工の計画では、撤去時だけでなく打込み時の荷重も確認します。コンクリート自重、型枠自重、作業と衝撃の荷重を考え、必要な支持を設けます。完成時の建物が安全でも、施工途中は強度や支え方が異なるため、その段階の安全を別に確かめる必要があります。工事の各段階で、誰が重さを受けるかを追うことが基本です。