学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅴ(施工) 問8
問題・正答・学習用解説
問題
図に示す鉄筋工事に関する寸法について、最も不適当なものは、次のうちどれか。ただし、鉄筋はSD345、コンクリートの設計基準強度は24N/mm²とし、コンクリートの粗骨材の最大寸法は20mmとする。また、設計図書には特記がないものとし、図に記載のない鉄筋は適切に配筋されているものとする。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢2です。地上の耐力壁の鉄筋の重ね継手は、本問のSD345、設計基準強度24という条件では以上が必要です。D13の計算ではを用いるので、次のように計算します。
図の500mmは20mm不足します。
重ね継手は、二本の鉄筋を重ね、周囲のコンクリートとの付着を介して一方の力を他方へ伝える方法です。端を並べただけで鉄筋同士が直接一体化するわけではありません。必要な長さを確保して、周囲のコンクリートへ無理なく力を受け渡します。図の500mmが十分長そうに見えても、指定された径と倍率で計算して判断します。
一方、図1のあき30mmは必要な28.5mm以上を満たします。図3の投影定着650mmは、20dの640mmと柱せいの4分の3の600mmをともに満たします。図4の圧接継手のずらし400mmも適当です。同じ長さの問題でも、石粒を通す隙間、付着で力を伝える重ね長さ、柱へ力を渡す定着、継手の集中を避ける位置という目的が異なります。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:D19同士のあきは、25mm、鉄筋径の1.5倍、粗骨材最大寸法の1.25倍のうち最大値以上とします。本問では、なので、必要値は28.5mmです。図の30mmは適当です。あきは鉄筋の中心間距離ではなく、鉄筋表面間の隙間です。コンクリートの石粒が通り、周囲へ十分に充填できるように設けます。複数条件の平均ではなく、最も厳しい値を選ぶことに注意します。
選択肢2
選択肢2:D13の耐力壁鉄筋に対する40dはです。図の500mmは20mm足りないため不適当です。SD345とコンクリート強度24の組合せを確認し、耐力壁の重ね継手に必要な長さを適用します。重ねた鉄筋の力は周囲のコンクリートを介して伝わるため、必要な付着長さを確保します。打継ぎ位置の上に鉄筋が見えているから十分という判断ではなく、図に示された実際の重ね長さを数値で照合します。
選択肢3
選択肢3:大梁下端筋D32の柱内折曲げ定着は、投影長さ20dと柱せいの4分の3を確認します。、なので、両方を満たすには640mm以上必要です。図の650mmは適当です。投影長さは、折れ曲がった鉄筋を全部たどる長さではなく、所定の方向へ測る長さです。折曲げ後の余長や全長にも別の条件がありますが、本問は図にない配筋が適切という前提で投影寸法を判断します。
選択肢4
選択肢4:隣り合うD25のガス圧接継手を400mmずらす図の配置は適当です。圧接継手は、鉄筋の端部を加熱して圧力を加え、接合する方法です。多数の継手を同じ断面へ集中させることを避けるため、隣り合う鉄筋の継手位置をずらします。400mmは、鉄筋同士の横方向のあきでも、重ね継手の長さでもありません。図の黒丸で示された圧接部の、鉄筋の長手方向に沿った位置の差です。どの点間の寸法を示しているかを確認して読み取ります。
周辺知識
鉄筋コンクリートでは、鉄筋とコンクリートが互いに力を伝えて働きます。鉄筋は引張りに抵抗しますが、どこまでも一本で通せるわけではないので継手を設け、部材の端では適切に定着します。鉄筋を入れてある事実だけでなく、その力が次の部材へ伝わる長さと納まりが必要です。
あきは施工時にコンクリートを充填するための隙間です。重ね継手は二本の鉄筋の力の受渡し、定着は鉄筋端部の力を周囲へ伝えるための長さです。圧接位置のずらしは、継手が一か所へ集中することを避けます。目的を分けると、同じmmの数値を別の条件へ流用する間違いを防げます。
図の問題は、材種、鉄筋径、コンクリート強度を先に拾い、次に寸法線の両端を確認します。dを使う式なら該当する鉄筋径を代入し、複数の下限がある場合は全てを満たす大きい値を採用します。図の長さと必要値の差まで求めると、適否の根拠を自分で説明できるようになります。



