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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和3年度 学科Ⅴ(施工) 問3

問題・正答・学習用解説

問題

材料管理及び品質管理に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    工事現場に仮置きする既製コンクリート杭については、仮置きするための場所が狭かったので、所定の措置を講じたうえで、同径のものを平置きで2段まで積み重ねる計画とした。
  2. (2)
    コンクリート工事において、計画供用期間の級が「標準」のコンクリートの練混ぜ水として、レディーミクストコンクリート工場で発生するコンクリートの洗浄排水を処理して得られる回収水で、JISに適合することが確認されたものを用いた。
  3. (3)
    シーリング工事で用いるバックアップ材は、合成樹脂製でシーリング材に変色等の悪影響を及ぼさず、かつ、シーリング材との接着性がよいものを用いた。
  4. (4)
    木工事に用いる造作材の工事現場搬入時の含水率は、特記がなかったので、15%以下であることを確認した。

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

最も不適当なのは選択肢3です。シーリング工事のバックアップ材は、シーリング材に悪影響を及ぼさず、かつ接着しないものを用います。「接着性がよい」ものを選ぶ点が逆です。一般の動く目地では、底面へ接着させず、両側の二面に接着させて変形の余地を確保します。
シーリング材は、建材同士の隙間を塞ぐ柔らかい材料です。気温の変化などで両側の部材が動くと、目地の幅が広がったり狭まったりします。このとき底面まで接着する三面接着では、材料が自由に伸縮しにくくなり、局部的に大きな力が生じて、破断や剥離につながるおそれがあります。
バックアップ材には、シーリング材を充填する深さを整え、奥へ入りすぎないように支える役割もあります。しっかり支えることと、接着させることを混同しないようにします。他の肢は、杭を保管中に損傷させない措置、用途の条件を満たす練混ぜ水、木材の含水率を確認する内容です。材料が規格品であることだけでなく、置き方、組合せ、使用時の状態まで品質に関係します。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:同じ径の既製コンクリート杭を、所定の措置のうえ平置きで2段まで積む本肢は適当です。杭は長く重い部材であり、支持位置が不適切だと、自重による曲げでひび割れるおそれがあります。上下段の支持位置を整え、転がりや崩れを防ぐ措置を講じます。保管場所が狭いことだけを理由に、多段積みしてよいわけではありません。工場で合格した杭でも、運搬や仮置きで傷めれば施工時の品質に影響するため、保管計画も材料管理の一部です。

選択肢2

選択肢2:計画供用期間の級が標準のコンクリートに、JISへの適合を確認した回収水を使う本肢は適当です。回収水は、工場で生じる洗浄排水を処理して得る水で、未処理の汚れた水をそのまま混ぜるという意味ではありません。含まれる成分やスラッジなどがコンクリートへ与える影響を管理し、用途に必要な品質を確保します。計画供用期間や適用仕様によって水の使用条件は異なるため、回収水なら全てのコンクリートへ無条件で使えるとは考えません。

選択肢3

選択肢3:バックアップ材とシーリング材の接着性をよくする点が不適当です。バックアップ材は非接着性のものとし、一般の動く目地で底面を接着させないようにします。両側と底面の三面へ接着すると、目地幅が変わった際に伸縮を拘束し、シーリング材を傷めやすくなります。材料の変色などを起こさない相性も必要です。接着面を増やせば丈夫になるという単純な考えではなく、水を止めながら必要な動きに追従できる断面をつくります。

選択肢4

選択肢4:造作材の搬入時の含水率を15%以下と確認する本肢は適当です。造作材は、敷居、鴨居、枠など、仕上げや建具の納まりに関わる木材です。水分が多いまま取り付けると、その後に乾燥して縮んだり反ったりし、隙間や建具の動きの不具合につながります。含水率は木材に含まれる水分の割合を表し、用途に合う乾燥状態を確認する指標です。搬入後も雨や湿気で状態が変わらないように保管し、取付けまでの管理を行います。

周辺知識

材料管理は、届いた品物の数量と品名を確認するだけではありません。長い杭なら仮置き時の支持、練混ぜ水なら成分と適用条件、木材なら含水率、シーリングなら接する材料との相性を確認します。材料ごとに、性能を損なう原因が異なります。
シーリング目地を考えると、接着させる面と縁を切る面の使い分けがよく分かります。両側には確実に付着させて水の通り道を塞ぎ、底面は非接着として伸縮しやすくします。目地の動きが小さい場合などの別仕様はありますが、一般の動く目地の基本は、この二面接着の考え方です。
木材やコンクリート材料では、水分は常に少ないほどよい、または多いほどよいというものではありません。木材は使用後の乾燥変形を抑える状態にし、コンクリートの水は硬化反応と施工性に必要な量・品質を管理します。材料が建物の中でどう働き、施工後にどう変化するかを考えると、検査する項目の意味を理解しやすくなります。