学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和3年度 学科Ⅴ(施工) 問2
問題・正答・学習用解説
問題
工事現場の管理等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢3です。令和3年の本問では、各現場へ専任の監理技術者補佐を置くなど、所定の条件を満たす場合、監理技術者が2現場まで兼務できる制度があります。補佐を置いても他の現場を一切兼務できないという断定が誤りです。
監理技術者は、施工計画や工程・品質管理など、元請工事の技術上の管理を担う技術者です。一定の工事には現場ごとの専任が求められますが、資格要件を満たす補佐を各現場へ専任で配置する場合の例外が、令和2年10月から設けられています。専任という原則を知っているだけでは、この例外を見落とします。
ただし、補佐という名前の人を置けば無制限に兼務できるわけではありません。補佐の資格、各現場への配置、兼務できる現場数などの条件を満たす必要があります。また、本肢の7,000万円は出題時の専任配置に関する条件です。現在の改正後の金額を問題文へ置き換えず、出題年の制度で判断します。他の肢は、設計図書の優先順位、材料価格の著しい変動への契約上の対応、廃棄物の処理確認を述べています。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:設計図書間で内容が違うとき、一般に質問回答書の適用順位を最も高くする本肢は適当です。質問回答書は、入札や契約に際して設計図書の疑問点に答え、条件を明確にする資料です。元の図面や仕様書の曖昧な部分を補足・修正した回答があるのに、古い記載だけを優先すると契約条件を誤解します。ただし、現場で矛盾を見つけた施工者が都合のよい資料を選ぶのではなく、契約で定める優先順位と協議手順に従って適用内容を確認します。
選択肢2
選択肢2:公共工事で主要材料の国内価格が特別な要因により著しく変動し、請負代金額が不適当になった場合、発注者または受注者が変更を請求できる本肢は適当です。契約時には予想しにくい大幅な価格変化へ、約款の条件に従って対応する仕組みです。材料が少し値上がりしただけで、請求した額が自動的に全て認められるという意味ではありません。対象材料や変動の状況、契約上の適用条件を確認して金額を協議します。値下がりの影響も含めて制度を考えます。
選択肢3
選択肢3:本問の制度では、所定の監理技術者補佐を各現場へ専任で置くなどの条件により、監理技術者は2現場まで兼務できます。したがって、一切兼務できないとする本肢は不適当です。現場ごとの技術的な管理体制を確保しながら、監理技術者を活用するための例外です。補佐には必要な資格・能力が求められ、誰でも名目上配置すればよいわけではありません。専任の原則、補佐を置く例外、当時の兼務現場数を分けて整理します。
選択肢4
選択肢4:元請業者が、原則として廃棄物の種類ごと、車両ごとのマニフェストで、運搬から最終処分まで確認する本肢は適当です。マニフェストは産業廃棄物の引渡しと処理の流れを追跡する管理票です。少量なら処理確認をしなくてよいという制度ではありません。許可業者へ渡した時点で確認を終わらせず、運搬、処分、最終処分が行われたことを把握します。委託する業者の選定や契約の適正さと、実際に処理されたかの確認は、両方必要です。
周辺知識
現場管理では、原則と例外をセットで読むことが重要です。監理技術者の専任配置には、現場の技術管理を継続して行わせる目的があります。その目的を補佐の配置などで確保できる場合に、所定の兼務を認める制度が設けられています。例外を覚える際も、条件を省いて一般化しないようにします。
契約の管理では、何を施工する約束だったかを示す設計図書と、価格変動などが起きたときの取扱いを示す約款を確認します。図書に食い違いがあれば優先順位と協議手順を、材料価格に大きな変化があれば変更請求の条件を調べます。現場の判断だけで契約内容を自由に変えるわけではありません。
廃棄物の管理は、現場から搬出した後まで続きます。マニフェストによって処理の段階を追い、最終的な処分を確認します。施工の技術体制、契約条件、現場外へ出した廃棄物という異なる対象でも、誰がどこまで確認する責任を持つかを明確にすることが共通の考え方です。