学科Ⅳ(構造)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅳ(構造) 問2
問題・正答・学習用解説
問題
図に示す交差梁のA材とB材の交点に集中荷重Pが作用したときのA材、B材の支点の反力をそれぞれ、とするとき、その比として、正しいものは、次のうちどれか。なお、A材とB材は等質等断面とし、梁の重量は無視するものとする。
| 1. | 1 | 1 |
|---|---|---|
| 2. | 1 | 2 |
| 3. | 1 | 4 |
| 4. | 1 | 8 |
選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
交点は一つの点なので、A材とB材の中央たわみは同じです。この変形の条件と、梁のたわみが長さの3乗に比例することから、反力の比はとなります。A材は交点の両側が各で全長、B材は各lで全長です。
各梁の左右反力は等しいので、A材が中央で分担する荷重は、B材はです。全体ではですが、この力のつり合いだけでは分担を一つに決められません。中央荷重を受ける単純梁のたわみを使い、と置きます。
同じ断面・材料なのでEIは共通です。
より、、すなわちです。全体のへ代入すれば、となり、四つの反力の合計もPになります。
長いA材は同じ荷重なら8倍たわみやすいため、交点で同じだけ下がるには小さい荷重を分担します。短く硬いB材へ多くの力が集まることが、この問題の本質です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)とすると各梁の中央荷重も等しくなりますが、AはBの2倍のスパンなので、たわみは倍になります。同じ交点がAの側では大きく下がり、Bの側では小さく下がるという矛盾が生じます。交差して一緒に荷重を支えるためには、中央の変位が一致しなければなりません。荷重が交点に作用し、各梁が左右対称であることは左右の反力を等しくする条件ですが、長さの違う二つの梁の分担を等しくする条件ではありません。
選択肢2
(2)はスパン比だけを反力へ使った値ですが、梁の曲げたわみはスパンの1乗ではなく3乗に比例します。Aの長さが2倍なら柔らかさは8倍なので、同じ変位を生じる荷重は8分の1にしなければなりません。反力比では、たわみ比はとなり、交点が同じ高さになりません。力のつり合いだけでなく、曲げによる変形の式を用いて比を決める必要があります。
選択肢3
(3)とするとAの荷重はBの4分の1ですが、長さによるたわみやすさが8倍なので、AのたわみはBの2倍となってしまいます。梁の断面や材質は共通であり、比較する違いはスパンの3乗です。長さの2乗で比較したような比では、交点の変形が適合しません。式の係数が共通でも、長さの指数は消えないため、とをそれぞれ3乗してから簡単にします。
選択肢4
(4)Aの全長はBのの2倍で、中央荷重に対する柔らかさは8倍です。したがって同じたわみとなる分担荷重はAがBの8分の1、各梁の左右反力も同じ比です。具体的には各A反力、各B反力で、
と全体のつり合いを満たします。短い梁へ多くの荷重が流れることと、両梁の中央が同じ高さまで下がることが両立した答えです。
周辺知識
複数の部材が一緒に荷重を支える問題では、つり合いだけで未知の分担を決められないことがあります。その場合、つながる点の変位が一致するという変形の適合条件と、力を受けた部材がどれだけ変形するかという材料・部材の関係を加えます。
中央荷重を受ける単純梁のばねとしての硬さは、次のとおりです。
交差する二本の梁は、同じ点を二つのばねで支えるように働き、荷重は剛性の比に応じて分かれます。BはAの8倍硬いので、Bの分担が8倍です。
梁の曲げは、各位置の曲率が傾きへ、傾きがたわみへ積み重なるため、荷重点のたわみには長さの3乗が現れます。軸方向の棒の伸びとは長さへの依存が異なります。どの変形を扱う問題かを選び、全スパンと半スパン、分担荷重と支点反力の違いを図に対応させることで、係数や長さの取り違えを防げます。