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学科Ⅳ(構造)

一級建築士 令和2年度 学科Ⅳ(構造) 問2

問題・正答・学習用解説

問題

図に示す交差梁のA材とB材の交点に集中荷重Pが作用したときのA材、B材の支点の反力をそれぞれRA\displaystyle R_A、RB\displaystyle R_Bとするとき、その比として、正しいものは、次のうちどれか。なお、A材とB材は等質等断面とし、梁の重量は無視するものとする。問2の図1
RA\displaystyle R_ARB\displaystyle R_B
1.11
2.12
3.14
4.18

選択肢

  1. (1)
    1:1
  2. (2)
    1:2
  3. (3)
    1:4
  4. (4)
    1:8

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

交点は一つの点なので、A材とB材の中央たわみは同じです。この変形の条件と、梁のたわみが長さの3乗に比例することから、反力の比はRA:RB=1:8\displaystyle R_A:R_B=1:8となります。A材は交点の両側が各2l\displaystyle 2lで全長4l\displaystyle 4l、B材は各lで全長2l\displaystyle 2lです。
各梁の左右反力は等しいので、A材が中央で分担する荷重はPA=2RA\displaystyle P_A=2R_A、B材はPB=2RB\displaystyle P_B=2R_Bです。全体ではPA+PB=P\displaystyle P_A+P_B=Pですが、この力のつり合いだけでは分担を一つに決められません。中央荷重を受ける単純梁のたわみδ=WL348EI\displaystyle \delta=\frac{WL^3}{48EI}を使い、δA=δB\displaystyle \delta_A=\delta_Bと置きます。
同じ断面・材料なのでEIは共通です。
(2RA)(4l)348EI=(2RB)(2l)348EI\begin{aligned}&\frac{(2R_A)(4l)^3}{48EI}\\[4pt]&\quad=\frac{(2R_B)(2l)^3}{48EI}\end{aligned}
より、64RA=8RB\displaystyle 64R_A=8R_B、すなわちRB=8RA\displaystyle R_B=8R_Aです。全体の2RA+2RB=P\displaystyle 2R_A+2R_B=Pへ代入すればRA=P18\displaystyle R_A=\frac{P}{18}、RB=4P9\displaystyle R_B=\frac{4P}{9}となり、四つの反力の合計もPになります。
長いA材は同じ荷重なら8倍たわみやすいため、交点で同じだけ下がるには小さい荷重を分担します。短く硬いB材へ多くの力が集まることが、この問題の本質です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)1:1\displaystyle 1:1とすると各梁の中央荷重も等しくなりますが、AはBの2倍のスパンなので、たわみは23=8\displaystyle 2^3=8倍になります。同じ交点がAの側では大きく下がり、Bの側では小さく下がるという矛盾が生じます。交差して一緒に荷重を支えるためには、中央の変位が一致しなければなりません。荷重が交点に作用し、各梁が左右対称であることは左右の反力を等しくする条件ですが、長さの違う二つの梁の分担を等しくする条件ではありません。

選択肢2

(2)1:2\displaystyle 1:2はスパン比だけを反力へ使った値ですが、梁の曲げたわみはスパンの1乗ではなく3乗に比例します。Aの長さが2倍なら柔らかさは8倍なので、同じ変位を生じる荷重は8分の1にしなければなりません。反力比1:2\displaystyle 1:2では、たわみ比は(12)×8=4\displaystyle (\frac{1}{2})\times8=4となり、交点が同じ高さになりません。力のつり合いだけでなく、曲げによる変形の式を用いて比を決める必要があります。

選択肢3

(3)1:4\displaystyle 1:4とするとAの荷重はBの4分の1ですが、長さによるたわみやすさが8倍なので、AのたわみはBの2倍となってしまいます。梁の断面や材質は共通であり、比較する違いはスパンの3乗です。長さの2乗で比較したような比1:4\displaystyle 1:4では、交点の変形が適合しません。式の係数48EI\displaystyle 48EIが共通でも、長さの指数は消えないため、4l\displaystyle 4lと2l\displaystyle 2lをそれぞれ3乗してから簡単にします。

選択肢4

(4)Aの全長4l\displaystyle 4lはBの2l\displaystyle 2lの2倍で、中央荷重に対する柔らかさは8倍です。したがって同じたわみとなる分担荷重はAがBの8分の1、各梁の左右反力も同じ比1:8\displaystyle 1:8です。具体的には各A反力P18\displaystyle \frac{P}{18}、各B反力4P9\displaystyle \frac{4P}{9}で、
2(P18)+2(4P9)=P2(\frac{P}{18})+2(\frac{4P}{9})=P
と全体のつり合いを満たします。短い梁へ多くの荷重が流れることと、両梁の中央が同じ高さまで下がることが両立した答えです。

周辺知識

複数の部材が一緒に荷重を支える問題では、つり合いだけで未知の分担を決められないことがあります。その場合、つながる点の変位が一致するという変形の適合条件と、力を受けた部材がどれだけ変形するかという材料・部材の関係を加えます。
中央荷重を受ける単純梁のばねとしての硬さは、次のとおりです。
k=Wδ=48EIL3\begin{aligned}k&=\frac{W}{\delta}\\[4pt]&=\frac{48EI}{L^3}\end{aligned}
交差する二本の梁は、同じ点を二つのばねで支えるように働き、荷重は剛性の比に応じて分かれます。BはAの8倍硬いので、Bの分担が8倍です。
梁の曲げは、各位置の曲率が傾きへ、傾きがたわみへ積み重なるため、荷重点のたわみには長さの3乗が現れます。軸方向の棒の伸びNLEA\displaystyle \frac{NL}{EA}とは長さへの依存が異なります。どの変形を扱う問題かを選び、全スパンと半スパン、分担荷重と支点反力の違いを図に対応させることで、係数や長さの取り違えを防げます。