資格ナビ一級建築士の演習へ

学科Ⅰ(計画)

一級建築士 令和2年度 学科Ⅰ(計画) 問19

問題・正答・学習用解説

問題

建築積算に関する次の記述のうち、建築工事建築数量積算研究会「建築数量積算基準」に照らして、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    屋外施設において、芝類の数量は種類及び工法ごとに面積を計測・計算するが、芝類の範囲にある排水桝等の面積が1 箇所当たり0.5 m2\displaystyle m^{2}以下のときは、その欠除は、原則としてないものとする。
  2. (2)
    窓、出入口等の開口部による型枠の欠除は、原則として建具類等の開口部の内法寸法で計算するが、開口部の内法の見付面積が1 箇所当たり0.5 m2\displaystyle m^{2}以下の場合は、原則として型枠の欠除はないものとする。
  3. (3)
    鉄筋の所要数量は、その設計数量の5 %割増しを標準とする。
  4. (4)
    耐火被覆は、耐火被覆材の材種、材質、形状、寸法、工法、耐火時間及び部位(柱、梁)ごとに区分して計測・計算する。

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

正解は3です。鉄筋の所要数量は、設計数量に4%を割り増すのが標準です。選択肢の5%という数値を4%へ直します。所要数量は、完成した建物に残る鉄筋の量だけでなく、材料を加工する際の切り落とし等も含めて、必要とする量を考えたものです。
鉄筋は定められた長さの材料から、図面に必要な長さへ切り、曲げて使います。すべてを無駄なく使い切れるとは限らないため、図面から計算した設計数量と、準備する材料の数量に差が生じます。例えば設計数量が10tなら、所要数量は 10×1.04=10.4 t\displaystyle 10\times1.04=10.4\,\mathrm{t} です。4%を足すとは元の104%にすることで、 10×0.04=0.4 t\displaystyle 10\times0.04=0.4\,\mathrm{t} は追加分だけです。
継手で重ねる部分や、端を部材へ埋め込んで固定する定着部分は、完成後に必要な鉄筋であり、所定の方法で設計数量へ算入します。これらをすべて4%の中で賄うという意味ではありません。芝や型枠の小さな欠けを引かないルールは面積の数え方、鉄筋の割増しは材料をどれだけ必要とするかのルールなので、理由を分けて理解します。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適切です。芝は種類と施工方法ごとに面積を求めますが、範囲内の排水桝等が一か所当たり0.5 m2\displaystyle 0.5\,\mathrm{m^2}以下なら、原則としてその面積を引きません。例えば100 m2\displaystyle 100\,\mathrm{m^2}の芝の範囲に0.4 m2\displaystyle 0.4\,\mathrm{m^2}の桝が一つあっても、この扱いでは100 m2\displaystyle 100\,\mathrm{m^2}のままです。桝にも芝を張るという施工指示ではなく、積算上の数量の決め方です。小さな穴の合計が0.5 m2\displaystyle 0.5\,\mathrm{m^2}以下かを見るのではなく、一か所ごとの面積で判定する点が重要です。

選択肢2

(2)適切です。型枠は固まる前のコンクリートを所定の形に保つための枠です。窓等の開口による欠けは内法寸法、つまり開口の内側の寸法で計算しますが、正面から見た面積が一か所0.5 m2\displaystyle 0.5\,\mathrm{m^2}以下なら原則として差し引きません。小さな開口を設けても周囲の加工や施工の手間がなくなるわけではなく、数量算定を統一する扱いです。壁全体の面積、開口の寸法、基準の例外という順に確認します。

選択肢3

(3)不適当です。鉄筋は設計数量の4%割増しを標準とするので、5%は誤りです。設計数量10tなら所要数量10.4tで、選択肢の計算では10.5tとなり0.1tの差が出ます。この割増しは切り無駄等を見込むもので、図面で必要な鉄筋を増やして配筋する指示ではありません。継手や定着等の必要量を先に設計数量へ含め、その量を基に材料の所要数量を求めることを区別します。

選択肢4

(4)適切です。耐火被覆は、火災の熱で鉄骨等が早く強度を失わないよう覆う材料です。同じ面積を覆う場合でも、材料の種類、吹付けか板状材かといった工法、必要な耐火時間、柱か梁か等によって厚さや作業内容が変わります。そのため条件ごとに分けて数量を計測します。すべてをまとめて一つの面積にすると、必要な材料や単価を正しく対応させにくくなるため、区分が積算の精度につながります。

周辺知識

積算は、図面等から必要な工事の数量を求め、単価を対応させて工事費を組み立てる作業です。同じ建物でも、何を一単位とし、どの欠けを引き、材料の無駄をどこに見込むかが人によって違えば、金額を比較できません。数量積算基準は、その数え方をそろえるための約束です。
設計数量は設計図書の寸法や個数から求める量、所要数量は切り無駄等も含めた量です。ほかに、足場等のように施工の計画に基づいて求める計画数量もあります。完成後に残る建物の量と、施工のために必要な量を同じ言葉で扱わないようにします。材料のロスを数量と単価の両方へ重複して見込まないことも大切です。
小開口を差し引かない規定は、穴の存在を図面から消す意味ではありません。数量を計算する段階で所定の扱いをするものです。また0.5 m2\displaystyle 0.5\,\mathrm{m^2}という基準が別の工種にも無条件に使えるとは限りません。本問では芝と型枠のそれぞれの規定を確認し、鉄筋は所要数量4%という別の規定を使います。材料・工種と、どの段階の数量かを組にして読むと、似た数値の取り違えを防げます。