学科Ⅰ(計画)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅰ(計画) 問18
問題・正答・学習用解説
問題
建築関係の資格者に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
正解は1です。管理建築士に必要な3年以上の対象業務の経験は、一級建築士の免許を取得した後だけに限定されません。二級建築士として設計・工事監理等に従事した経験も算入できるため、一級取得後に改めて3年を積み直さなければならないとする点が誤りです。
管理建築士は、建築士事務所の業務を技術面から統括し、適切に設計や工事監理が行われる体制を管理する建築士です。事務所に名札を置くためだけの資格者ではなく、担当者の配置等を含む実際の管理を担うので、建築士としての業務経験と所定の管理建築士講習の修了が求められます。
例えば二級建築士として対象業務を既に3年以上経験し、必要な講習も修了している人が一級免許を取得した場合、『経験がすべてゼロに戻り、さらに3年待つ』という扱いにはなりません。ただし一級建築士事務所を管理するには一級の資格が必要であり、二級のままでよいという意味でもありません。経験を数え始める資格と、これから管理する事務所に必要な資格を分けて読むことが、本問の判断の要点です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)不適当です。管理建築士の要件における実務経験は『建築士として』の対象業務を数えるもので、一級免許取得後に限りません。二級建築士として積んだ対象経験も利用でき、一級への資格変更で3年間の計算が初めからになるわけではありません。一方、一級事務所の管理建築士には一級の資格が必要です。事務所の種別に合う免許、対象業務の経験、管理建築士講習の修了という別々の要件を確認します。
選択肢2
(2)適切です。重要事項説明は設計や工事監理を依頼する人が、契約の内容を理解してから判断できるように行います。その事務所に属する建築士が担当できるため、一級事務所に所属する一級建築士も説明できます。管理建築士だけに独占される仕事ではありません。ただし建築士でない営業担当者が代わりに法定の説明を済ませればよいわけではなく、資格をもつ担当者が所定の事項を書面を交付して説明します。
選択肢3
(3)適切です。監理技術者は施工を行う側の立場で、工事をどう進めるかという施工計画、順序や日程を調整する工程管理、要求された性能を確保する品質管理等を担います。現場で作業する人への技術上の指導監督も職務です。例えば材料の確認や試験の体制、他の工種との作業順を調整し、適正に工事を実施します。名称に『監理』が付いていても、建築士の工事監理者と同じ役割だと思わないようにします。
選択肢4
(4)適切です。施工管理技士は、建設工事に関する技術検定に合格した資格者です。施工方法、工程、品質等を管理する技術力を確認する制度であり、設計等を担う建築士の免許とは目的が異なります。本問は令和2年の制度を前提とします。その後の令和3年度からは第一次検定の合格者を技士補、第二次検定の合格者を技士とする制度になったので、現在の第一次検定だけの合格と、本問の技士を混同しません。
周辺知識
建築には似た名称の担当者がいるため、『どこで、誰の立場で、何を確認するか』で整理すると分かりやすくなります。管理建築士は設計事務所等の業務を管理する人です。工事監理者は、工事が設計図書どおりに実施されているかを照合・確認する立場です。監理技術者は、施工を行う側で施工の技術上の管理を担います。
例えば図面に定めた鉄筋が適切に配置されているかを、工事監理者は設計図書と照らして確認します。一方、施工側では、鉄筋をどの順に組み、他の作業とどう調整し、品質をどう確かめるかを管理します。同じ現場で同じ部分を見ることがあっても、制度上の立場や目的は異なります。
資格の要件では、免許を取るための経験、特定の役割に就くための経験、定期的な学び直しの講習を区別します。本問の3年は管理建築士になるための対象経験で、一級事務所に変えるたびに新しく要求される待機期間ではありません。数字を単独で覚えるより、何の能力を確かめるための要件か、どの資格での経験を数えるかを対応させて理解します。