学科Ⅰ(計画)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅰ(計画) 問17
問題・正答・学習用解説
問題
子どもに関わる施設に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は2です。総合病院の小児患者の病床は、診療科ごとに大人の病棟へ分散させるのではなく、子どもの生活や発達に対応した小児病棟等へまとめることが基本です。病気の種類への専門的な対応は必要ですが、それだけを理由に子どもの生活環境を分けてしまう計画は不適当です。
子どもは入院している間も成長します。治療や睡眠だけでなく、遊び、学習、保護者との関わり、同じ年代の子どもとの交流を支える必要があります。小児の看護や保育に対応する職員、プレイルーム、学習の場所、付き添う家族のための空間等をまとめることで、こうした生活を支えやすくなります。
例えば手術を受けた子どもが小児病棟に入院しても、必要な診療科の医師が治療に関わることはできます。病床をまとめることと、診療の専門性を失うことは同じではありません。ただし年齢や病状、感染対策等に応じて病室を分ける配慮は必要です。本問全体では、幼保の共用、学校との連携、9年間の一貫した支援のように、組織の区切りだけで施設を分けず、子どもの生活のつながりを支えることが共通しています。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適切です。認定こども園では、幼稚園と保育所の機能を結び付け、共用できる遊戯室、調理室、管理諸室や屋外空間等を計画します。遊びや行事で子どもが触れ合う場所をつくり、運営の連携にもつながります。ただし利用する年齢や滞在時間、昼寝と活動の時間は同じとは限りません。共用するという理由で区別なく一室へ集めるのではなく、必要な面積と安全性を確保し、同時利用や時間帯の違いまで調整します。
選択肢2
(2)不適当です。小児病床は子どもの生活・発達を支える病棟としてまとめることが基本です。診療科別に散らすと、小児に適した遊びや学習、保護者の付き添い等の環境をそれぞれで整えにくくなります。専門の医師が治療する仕組みは保ちながら、入院生活の場所を子どもに合わせて計画します。まとめることは全員を同じ病室へ入れることではなく、感染対策や年齢・病状に応じた区分は別に確保します。
選択肢3
(3)適切です。放課後等デイサービスは、障害のある就学児等の発達や生活を放課後・学校休業日に支えるサービスです。屋外で体を動かし、遊ぶ機会を増やすため、学校と連携して校庭を利用する方法は有効です。事業所だけで広い庭を確保する方法に限定しません。安全に移動できる経路、利用時間、見守りの役割などを学校と調整することで、地域にある施設を子どもの活動の場としてつなげます。
選択肢4
(4)適切です。義務教育学校では、小学校に当たる6年間と中学校に当たる3年間を通して、教育と支援を連続させます。特別支援学級の関係室も、前後の段階を切り離して配置するのでなく、子どもの成長に応じた指導や職員の連携を支える構成とします。年齢による体格や活動の違いを尊重しつつ、慣れた支援が急に途切れないことが重要です。単に同じ敷地へ置くだけでなく、室同士のつながりや使い方を考えます。
周辺知識
子どもの施設では、提供するサービスの名前だけで部屋割りを決めず、子どもが一日をどう過ごすかを追います。学ぶ、遊ぶ、食べる、休む、トイレへ行く、安心できる大人と話すという活動を支える必要があります。体格の小ささだけでなく、発達段階、見通しの持ちやすさ、音や人の多さへの感じ方等も一人ひとり異なります。
共用や連携には、活動の幅を広げ、職員や設備を有効に使う利点があります。一方で静かに休む場所と活発に遊ぶ場所がぶつかったり、異なる年齢の子どもが狭い通路へ集中したりすると使いにくくなります。全部を一緒にするのではなく、共同で使う場所と落ち着いて過ごす場所を組み合わせることが重要です。
小児病棟をまとめる、幼稚園と保育所で施設を共用する、デイサービスから学校の校庭を使うという選択肢は、いずれも組織を越えて生活を支える例です。建築では、その連携を出入口、移動経路、部屋の近さ、見守れる範囲などで実現します。大人の管理のしやすさとともに、子どもが安心して成長を続けられる環境かを確かめます。