学科Ⅰ(計画)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅰ(計画) 問8
問題・正答・学習用解説
問題
建築物等の各部の寸法等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正解は4です。駐車場の車路幅は、車の種類、一方通行か対面通行か、料金徴収施設の近くか、歩行者が通るかなどで区分します。本問は、小型自動車が一方通行し、料金徴収施設に接し、歩行者の通行に使わない部分です。この条件でも必要幅は2.75m以上で、2.5mでは不足します。
2.5mは車一台分の駐車区画などで見かける寸法ですが、車を止める区画と、運転して通過する車路は同じではありません。料金所の脇では低速になるとしても、車体やミラーが接触しない余裕、運転時のずれなどを考える必要があります。2.75mに対して2.5mは25cm狭いことになります。
本問のほかの選択肢は体育施設の寸法です。競技コートにはプレーする線の内側だけでなく、外側へ走り出した人のための余裕が必要です。天井高はボールの軌道、座席幅と前後間隔は人が座って移動する動作に関係します。数値だけを見比べず、何がどのように動く空間の寸法かを考え、車路については法令の該当する区分をそのまま当てはめます。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適切です。成人用バスケットボールコートは基本の競技面がで、二面を配置する際はコート外周の安全な余裕やコートどうしの間隔も必要です。内法という本問の床は、二面と周囲の余地を確保する計画として適切です。内法は壁などの内側で実際に使える寸法をいいます。柱の中心間の寸法だけを見て、壁や柱が占める部分を無視すると実際の有効面積が不足する場合があります。
選択肢2
(2)適切です。テニスでは高く上げるロブなどがあり、ネット上部にもボールの軌道を妨げない高さが必要です。本問の13mの天井高は、屋内の公式試合用コートとして十分な高さを確保する計画です。床にコートの長方形が収まればよいという施設ではありません。照明器具や梁などの低い部分がプレーに干渉しないことも確認します。天井の最高点だけでなく、競技に必要な空間全体の高さを見ることが重要です。
選択肢3
(3)適切です。座席幅45cmと背の前後間隔85cmは、固定観客席の計画で用いる寸法として妥当です。幅は一人分の横方向の間口、前後間隔は椅子の背どうしの距離で、座面の奥行きそのものではありません。膝や足の余裕、列を通るときの空間などを考えます。収容人数を増やすために幅だけ小さくすればよいわけではなく、通路、避難経路、視線も合わせて計画する必要があります。
選択肢4
(4)不適当です。料金徴収施設に接する一方通行の自動車車路で、歩行者が通らない部分でも、幅員は2.75m以上必要です。2.5mでは25cm足りません。通常の一方通行車路や対面通行車路とは別の細かな区分ですが、緩和されたこの条件にも限度があります。駐車区画の幅や自動二輪車用の基準を代わりに使わず、『自動車・一方通行・料金所・歩行者なし』を一組として条文を確認します。
周辺知識
建築の寸法は、物や人体の寸法に動作の余裕を加えて決めます。椅子の幅は座る人の体の幅だけでなく腕の動きなどに、列の間隔は足元や通り抜けに関係します。車路も車体幅にぴったりでは通りにくく、運転者がずれて走る余地やミラーなどを考慮します。動かない物を収納する寸法と、人や車が動く空間の寸法は異なります。
競技施設では、競技線の内側、外周の安全区域、観客や選手の通路、天井までの空間を分けて考えます。バスケットボールでラインを越えて走ったり、テニスで高い球を返したりする動作を想像すると、床の線の大きさだけでは施設が決まらないことが分かります。
寸法の名称にも注意します。内法は内側の実際に使える寸法、有効幅は戸や障害物などを除いて通れる幅、椅子の背の間隔は背どうしの距離です。数字が同じでも測る場所が違えば意味が変わります。問題を読むときは、寸法を図のどこへ書くかを考え、法令の最低限なのか計画上の目安なのかも区別すると、近い数値の取り違えを減らせます。