学科Ⅰ(計画)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅰ(計画) 問7
問題・正答・学習用解説
問題
30 階建ての事務所ビルの計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1) または (4)(いずれか一つ)
公式の採点に関する注記:学科ⅠNo.7については、肢1を正答肢と想定していたが、別紙のとおり、肢1及び肢4を正答肢とする措置を講じている。
正答の考え方
この問題は公式の採点措置により、1または4のどちらか一つを選べば正答です。もともと1を正答と想定していましたが、4にも不適当な内容があるため、公式に正答として追加されています。二つを同時に選ぶ問題へ変更されたわけではありません。
1のコアは、階段・エレベーター・便所・設備用の縦の空間などをまとめた部分です。日射の熱負荷を抑えるため窓の少ないコアを配置するなら、朝夕に低い角度の強い日射を受ける東西面が代表的です。東西の日射は水平の庇で遮りにくく、南北面へコアを置けばよいとする説明は不適当です。
4は、『荷物用エレベーター』との兼用が問題です。公式の説明では、荷物用は専ら荷物を運ぶもので、荷扱者または運転者以外は利用できません。消防隊が活動に使用する非常用エレベーターとの兼用は不適当となります。『人荷用』のように人も運べる用途のものとは区別します。なお、所定の条件で乗降ロビーと特別避難階段の付室を兼用すること自体が誤りの理由ではありません。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)不適当で、公式正答の一つです。窓からの日射熱を抑えるためのコア配置では、東西面の窓を減らすことが代表的です。朝夕の日射は低い角度で深く入り、水平の庇で遮りにくいためです。南面の日射は太陽高度によって庇等で調整しやすく、北面は直達日射が比較的少ないという違いがあります。実際の敷地条件や景色も設計に関係しますが、本問の熱負荷軽減という説明では南北面の配置が適切に対応していません。
選択肢2
(2)適切です。執務室から廊下へ、さらに特別避難階段の付室へ、そして階段へというように、より保護された区画へ段階的に移動する計画です。付室は階段と廊下の間に設ける空間で、煙が階段へ直接流れ込むことを抑える役割があります。日常の動線と避難経路が分かりやすくつながっていれば、非常時も経路を選びやすくなります。区画の名称を覚えるだけでなく、煙から段階的に離れる動きとして理解します。
選択肢3
(3)適切です。コンベンショナルゾーニングは、高層建物を上下の階のまとまりに分け、それぞれを担当するエレベーター群を割り当てる方式です。本問の30階を10層ずつ三群に分ける計画は、この考え方に対応します。すべてのかごが全階に停止するより、担当階を限定して運行を整理できます。低層・中層・高層のどこへ行くかに応じて利用する群を選ぶため、乗場の案内や必要な台数の計画も重要です。
選択肢4
(4)不適当で、公式に追加された正答です。荷物用エレベーターは、荷扱者または運転者以外の利用が認められないため、消防隊が使用する非常用エレベーターとの兼用は不適当です。荷物も人も運べる人荷用とは言葉が似ていても用途区分が違います。後半の乗降ロビーと特別避難階段の付室の兼用は、所定条件を満たせば可能なので、そこを理由に誤りとしません。本問は1・4のどちらか一つを選べば正答として扱います。
正答として認められる選択肢の説明
選択肢1
(1)不適当で、公式正答の一つです。窓からの日射熱を抑えるためのコア配置では、東西面の窓を減らすことが代表的です。朝夕の日射は低い角度で深く入り、水平の庇で遮りにくいためです。南面の日射は太陽高度によって庇等で調整しやすく、北面は直達日射が比較的少ないという違いがあります。実際の敷地条件や景色も設計に関係しますが、本問の熱負荷軽減という説明では南北面の配置が適切に対応していません。
選択肢4
(4)不適当で、公式に追加された正答です。荷物用エレベーターは、荷扱者または運転者以外の利用が認められないため、消防隊が使用する非常用エレベーターとの兼用は不適当です。荷物も人も運べる人荷用とは言葉が似ていても用途区分が違います。後半の乗降ロビーと特別避難階段の付室の兼用は、所定条件を満たせば可能なので、そこを理由に誤りとしません。本問は1・4のどちらか一つを選べば正答として扱います。
周辺知識
高層事務所の計画では、窓から入る熱、縦方向の移動、火災時の避難が関係し合います。コアを一か所にまとめると設備や動線を整理しやすくなりますが、執務室への光、日射、避難距離、構造のバランスにも影響します。南北・東西のどちらへ置くかは、単に方位を暗記するのでなく、日射が窓へ入る角度を想像して考えます。
エレベーターは、人を運ぶ乗用、荷物を運ぶ荷物用、人と荷物を運べる人荷用などで用途の扱いが異なります。非常用は、火災時に消防隊が活動するための所定の機能を備える設備です。大型の荷物が載るから非常時にも人を乗せてよいという推測はできません。計画時は正式な用途区分を確認します。
この問題の複数正答は、原文の言葉の違いが採点へ影響した例です。4の前半と後半のうちどちらが問題なのかを分けることも大切です。学習では公式の措置をそのまま扱い、1の日射とコアの知識、4のエレベーターの用途の知識をそれぞれ理解します。二つの正答があることを、どちらの記述も適切という意味に取り違えないようにします。