学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅲ(法規) 問25
問題・正答・学習用解説
問題
次の記述のうち、消防法上、誤っているものはどれか。ただし、建築物は、いずれも無窓階を有しないものとし、指定可燃物の貯蔵又は取扱いは行わないものとする。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は2です。消防用設備等の基準の適用上、区画した部分をそれぞれ別の防火対象物とみなすためには、開口部のない『耐火構造』の床又は壁が必要です。『準耐火構造』へ性能を置き換えたところが誤りです。
防火対象物は、消防法上の火災予防や設備の規制対象になる建物などです。一つの建物に事務所とホテルなど複数の用途がある場合には、用途の違いも考慮して必要な消防設備を判断します。しかし、火災が相互に広がらないよう十分な性能で区画されている場合には、一定の設備基準について別々の建物のように扱える規定があります。
本肢は区画に開口部がないという条件は満たしていますが、床又は壁が準耐火構造なので、必要な耐火構造の条件を満たしていません。耐火と準耐火はどちらも火に対する性能を示す言葉ですが、法令上同じ性能区分ではありません。『窓や戸がないから十分』と一つの条件だけで判断することはできません。正しくは、開口部のない耐火構造の床又は壁で区画された場合に、当該規定の適用上、それぞれ別の防火対象物とみなす扱いが可能です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。飲食店を含む本問の複合用途の建物では、建物全体の収容人員を合計して防火管理者の要否を判定します。飲食店10人と共同住宅30人を合わせると40人で、この用途の基準である30人以上に該当します。防火管理者は、消防計画、消火・避難の訓練、火気管理など、建物の火災予防を担当する責任者です。客が使う飲食店の10人だけを見て、基準未満だから不要とはできません。火災の影響は用途境界で止まらないため、複合用途全体の条件を確認します。
選択肢2
(2)不適当です。別の防火対象物とみなすための区画は、開口部がない耐火構造の床又は壁である必要があります。準耐火構造では、本問のこの条件を満たしません。開口部がないとは、通常の戸や窓などで隣の部分へつながる穴がない状態をいいます。壁が連続していても、その壁自体の耐火性能の区分が不足すれば別扱いにはできません。建築基準法の一般的な防火区画で準耐火構造が用いられる場合の知識を、消防法上の別対象物みなしへそのまま広げないようにします。
選択肢3
(3)適当です。図書館は、延べ面積300m²以上で原則として消火器又は簡易消火用具の設置対象です。本肢の300m²は境界値を含む『以上』に該当します。消火器などは、火災がまだ小さい段階で消火を試みるための設備です。平屋で避難しやすそうなことだけでは、初期消火用の設備を省略できません。無窓階や指定可燃物などの別の加重条件は問題から除かれているので、ここでは図書館という用途と延べ面積を、通常の設置基準へ当てはめて判断します。
選択肢4
(4)適当です。展示場の屋内消火栓設備の通常の面積基準は700m²以上ですが、主要構造部を耐火構造とし、壁・天井の内装を準不燃材料とする本肢の条件では、基準面積を3倍にできる扱いがあります。となり、延べ2,000m²はそれより小さいので、この面積基準による設置は不要です。骨組の耐火と内装の準不燃の両方をそろえた緩和であり、片方だけでも3倍としないことが大切です。問題から除かれた無窓階等の条件も追加しません。
周辺知識
消防法の問題では、誰が使う建物か、何人入るか、どれだけ広いか、どんな構造かによって必要な管理や設備を決めます。防火管理者は人による管理体制、消火器や消火栓は消火の設備、自動火災報知設備は火を早く知らせる設備です。同じ建物でも、ある設備が不要だから他の設備も不要になるわけではありません。
収容人員は、建物の用途ごとに定める方法で求める利用者等の人数です。複合用途の場合、ある店だけの人数と建物全体の人数を混同しないようにします。また、設備の設置面積には、構造や内装の性能に応じて基準を緩和できる場合があります。本問では展示場の700m²という元の基準を確認し、条件をそろえて3倍の2,100m²とした後、2,000m²と比べます。
建築基準法と消防法は、どちらも火災安全に関係しますが、同じ言葉が出ても適用する条件を別々に確認します。防火区画を設けたことと、消防設備の判断上別の防火対象物として扱えることは同じではありません。本問は、開口部なしという条件に加えて、耐火構造が必要です。火や煙がどこを通るか、誰がどの設備を使うかを想像しながら、用途と性能の条件を一つずつ当てはめましょう。