学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅲ(法規) 問24
問題・正答・学習用解説
問題
次の記述のうち、都市計画法上、誤っているものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
正解は1です。地区整備計画のある地区計画区域内でも、仮設建築物の建築は、本問の行為の届出の適用除外です。そのため、6か月使用する仮設建築物について30日前までの届出を必ず求める記述は誤りです。
地区計画は、道路や街区などの小さな範囲について、建物の用途や形、敷地の使い方などを地域の実情に合わせて定めるまちづくりの計画です。その具体的な整備内容を定める地区整備計画がある区域では、一定の土地の変更や建築などをする際、原則として着手の30日前までに市町村長へ届け出ます。計画に合う行為かを、工事前に確認するためです。
しかし、日常的な管理や軽易な行為などには例外があり、仮設建築物の建築も含まれます。本肢はイベント用の仮設建築物であり、6か月という使用期間の記載があっても、この届出が必要になるという結論にはなりません。仮設建築物に関する建築基準法上の許可などは別の手続なので、この届出が不要なことから一切の手続がなくなると考えないようにします。『都市計画法の地区計画の届出』という対象を限定して判断する問題です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)不適当です。地区計画区域内の一定の行為は、原則として着手30日前までに市町村長へ届け出ますが、仮設建築物の建築はこの届出の適用除外です。したがって、本肢のイベント用仮設建築物についても、6か月使うという理由だけで届出を義務付けることはできません。30日前という原則の数字が正しくても、例外となる行為へ適用した結論が誤っています。期間や仮設という言葉は、建築基準法上の別の許可でも登場するため、どの法律のどの手続かを取り違えないようにします。
選択肢2
(2)適当です。市街地開発事業の施行区域では、事業の実施を妨げないよう、土地の形質の変更や建物の建築などについて原則として都道府県知事等の許可が必要です。改築も建築に含まれるため、本肢の住宅も対象となります。地下がなく2階建ての鉄骨造という条件を見て、都市計画施設区域の別の規定にある小規模建築の扱いと混同しないことが大切です。本肢は事業の施行区域での行為であり、実際に進めるまちづくり事業へ影響しないかを確認する手続です。
選択肢3
(3)適当です。市街化調整区域は、市街化を抑えることを基本とする区域ですが、全ての建築・開発を永久に禁止する区域ではありません。地区整備計画が定められた地区計画に適合するなど、法令の要件を満たす場合には、開発許可を受けられる扱いがあります。本肢の病院も、その計画への適合と所定の要件を満たすと指定されているので、許可を受けることができます。病院という用途なら無条件でよいのではなく、区域の計画と許可基準の両方を満たす点を確認します。
選択肢4
(4)適当です。一定規模の開発行為の設計は、道路、排水、地盤など広い範囲の安全に関わるため、法令が定める資格・経験を持つ者が設計図書を作成する必要があります。一級建築士で、宅地開発に関する技術の実務経験が2年以上ある者は、本問の10haの開発についての資格要件を満たします。1haは10,000m²なので、10haは100,000m²の広さです。建築士の資格だけで全ての開発を設計できるのではなく、宅地開発の実務経験という追加条件も必要になると理解しましょう。
周辺知識
都市計画法では、区域や計画の名前に応じて手続が違います。市街化区域は市街化を進める区域、市街化調整区域は市街化を抑える区域です。地区計画は、ある地区の建物や道路などの整備・保全の方針を定めます。市街地開発事業は、区画整理や再開発などによって実際に市街地を整備する事業です。どれもまちづくりに関係しますが、同じ範囲の規制ではありません。
開発行為は、主に建物を建てるなどのために土地の区画や形を変える行為です。建物の新築だけを意味する言葉ではありません。造成して道路や排水施設を整える行為と、その土地に建物を建てる行為は関連していても、別の許可や確認が関係することがあります。まず何をする行為なのかを読み、次に区域の名前と対象規模を確認します。
届出と許可も違います。届出は、法令で定めた事項を行政へ知らせる手続です。許可は、原則制限される行為を行政の審査によって認める手続です。本問の30日前は地区計画の届出の時期で、全ての開発や仮設建築の共通期限ではありません。数字を単独で覚えず、『地区計画のどの行為の届出か』まで一組にすると、別制度の条件を移してしまう誤りを防げます。