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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和2年度 学科Ⅲ(法規) 問19

問題・正答・学習用解説

問題

次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    小学校の教室の窓その他の開口部で採光に有効な部分の面積の算定に当たっては、原則として、用途地域等の区分に応じ、計算した採光補正係数を用いる。
  2. (2)
    一団地内に建築される1又は2以上の構えを成す建築物のうち、特定行政庁がその位置及び構造が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものに対する用途地域等の規定の適用については、当該一団地を当該1又は2以上の建築物の一の敷地とみなす。
  3. (3)
    特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可した歩廊の柱は、壁面線を越えて建築することができる。
  4. (4)
    建築主は、指定確認検査機関から建築物の用途の変更に係る確認済証の交付を受けた場合において、工事を完了したときは、工事完了届を建築主事に届け出なければならない。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は2です。一団地の認定によって、団地全体を一つの敷地とみなせる規定は限定されており、用途地域による用途制限はその対象に含まれません。
通常、建物の敷地は一つの建物又は用途上切り離せない建物のまとまりごとに考えます。しかし、複数の建物を一体の計画として配置し、共通の空地などを確保した方が合理的な場合もあります。そこで法第86条は、位置や構造が安全・防火・衛生上支障がないと認められた一団地について、接道、建蔽率、容積率など、列挙した規定の適用上、一つの敷地として扱う制度を設けています。
このみなしは、対象の法律上の計算や判断をまとめるためのものです。土地の権利を全て一つに変えたり、あらゆる建築規制を解除したりするものではありません。用途地域による用途制限は、住宅・店舗・工場などの使い方を配置する規定で、一団地認定の特例対象には含まれません。したがって、認定されたことを根拠に用途制限まで一敷地として扱う(2)は誤りです。『一つとみなす』と出たら、何の規定についてそう扱うのかまで読むことが重要です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。採光に有効な面積は、窓の実際の面積だけでなく、隣の建物などに光を遮られやすいかも反映して算定します。そのため、窓の面積に採光補正係数を掛けます。この係数を計算する際は、用途地域等の区分に応じた方法を用います。小学校の教室だから、窓の実面積だけでよいとはなりません。学校の教室に必要な採光面積の割合と、窓がどれだけ採光に有効かを評価する補正係数は別の要素です。住宅と学校で必要割合が違っても、補正係数を使う仕組み自体はあります。

選択肢2

(2)不適当です。一団地の位置・構造が安全上など支障がないと認められた場合でも、一敷地とみなせるのは法令に列挙された特例対象規定だけです。用途地域の用途制限は含まれていません。例えば、建蔽率を団地全体の空地との関係で判断することと、住宅地に認められない用途の建物を認めることは別の問題です。前者のための認定を後者へ広げるのが本肢の誤りです。認定、許可、みなしなどの特例は、対象規定を限定して読む必要があります。

選択肢3

(3)適当です。壁面線は、街並みや通行などのため、建物の壁・柱等をこれより前へ出さないよう指定する線です。歩廊は歩行のための通路部分で、その柱については特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可した場合に、壁面線を越える例外が認められます。本肢はこの許可と同意の条件を満たしています。歩廊という名称だけで無条件に出せるのではなく、公共的な通行の利便等も踏まえて行政が審査する仕組みです。原則禁止と、所定の許可による例外を区別します。

選択肢4

(4)適当です。用途変更の確認を受けた後、その工事を完了した場合の工事完了届は、建築主事へ提出します。指定確認検査機関は国や都道府県の指定を受けて確認・検査を行う機関ですが、事前の確認をそこへ申請したことから、全ての事後の届出先も同じになるわけではありません。建築主事は行政側の担当者です。用途変更の完了時の手続を、新築の完了検査と同じものとして処理しないことも大切です。申請を受けた相手を覚えるだけでなく、各手続の法定の提出先を確認します。

周辺知識

この問題には採光、一団地認定、壁面線、用途変更の届出という異なる制度が並んでいます。共通する読み方は、『一般的な意味で似ていること』と『法律上同じ扱いになること』を区別することです。学校の採光と住宅の採光は必要割合に違いがあっても補正係数を使います。確認を受ける相手と工事完了届の相手は、関連する手続でも一致するとは限りません。
特例の言葉には特に注意しましょう。認定は一定の基準に適合することを行政が認めること、許可は原則禁止される行為などについて所定の条件で認めること、みなしは特定の法的な判断で別の状態として扱うことです。名称だけでその効果を決めず、認められる行為や対象の条文を確認します。一団地を一敷地とみなす場合にも、その効果は法令が列挙した規定に限られます。
実際の学習では、各肢について『対象』『条件』『効果』を短く書き出すと理解しやすくなります。(2)なら対象は一団地、条件は安全・防火・衛生上の認定、効果は列挙規定に限った一敷地みなしです。最後の効果へ用途制限を加えてしまっているため誤り、と文章のどこが変わったかを説明できます。単に正答番号を覚えるより、特例の広げ過ぎを見抜く力につながります。