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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和2年度 学科Ⅲ(法規) 問17

問題・正答・学習用解説

問題

図のような敷地において、建築物を新築する場合、建築基準法上、A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度は、次のうちどれか。ただし、敷地は平坦で、敷地、隣地及び道路の相互間に高低差はなく、門、塀等はないものとする。また、図に記載されているものを除き、地域、地区等及び特定行政庁による指定、許可等並びに日影による中高層の建築物の高さの制限及び天空率に関する規定は考慮しないものとする。なお、建築物は、全ての部分において、高さの最高限度まで建築されるものとする。問17の図1

選択肢

  1. (1)
    30.0m
  2. (2)
    31.5m
  3. (3)
    33.0m
  4. (4)
    36.0m

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

正解は4の36.0mです。A点にかかる高さ制限を方向ごとに計算し、最も低い限度を採用します。本問は商業地域なので道路斜線の勾配は1.5です。
東側道路の反対側には幅5mの川があります。水面の向こう側を道路の反対側境界とみなす緩和により、道路6mと川5mを合わせた11mを使います。建物は東側道路境界から2m後退しているので、反対側の基準線も2m外へ移した扱いになります。東側道路境界からA点までの距離は、敷地幅15mから西側後退1mとA点までの3mを引き、次のように計算します。
15−1−3=11 m15-1-3=11\,\mathrm{m}
したがって東側の限度は次のとおりです。
(11+2+11)×1.5=36.0 m(11+2+11)\times1.5=36.0\,\mathrm{m}
川と二つの道路に関する緩和を南側にも適用でき、南側からは次のとおりです。
(11+2+12)×1.5=37.5 m(11+2+12)\times1.5=37.5\,\mathrm{m}
隣地斜線は商業地域の立上り高さ31mと勾配2.5を用い、北側41.0m、西側43.5mとなり、いずれも36.0mより高い値です。全ての方向の制限を同時に満たす必要があるので、最小の36.0mがA点の最高限度です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)の30.0mは最高限度として適切ではありません。東側の道路だけでなく、反対側にある幅5mの川と、建物が道路から後退している条件を反映する必要があります。川は将来建物でふさがれる敷地と違い、広い空間として扱う緩和の対象です。図に川が描かれているのは景色の説明ではなく、高さの基準線を動かすための条件です。道路幅6mだけから限界を決めず、基準線、後退、A点までの距離を図へ順に書き込み、36.0mまで認められることを確認します。

選択肢2

(2)の31.5mも最高限度ではありません。A点については道路斜線と隣地斜線を別々に計算し、東側の川によるみなしと二以上の道路の緩和を組み合わせます。本問の東側計算に使う水平距離は、道路と川の11m、反対側へ移す後退分2m、敷地内のA点まで11mの合計24mです。そこへ勾配1.5を掛けて36.0mとなるため、31.5mはこの条件を正しく反映した限界ではありません。距離の一部だけを選んで掛けるのではなく、起点からA点までを連続した長さとして追いましょう。

選択肢3

(3)の33.0mは、南側道路幅8mをそのまま独立に使い、(8+2+12)×1.5\displaystyle (8+2+12)\times1.5とすると出る値です。しかし本問は、東側の道路と川による緩和を他の前面道路にも適用できる位置関係です。東側の合計11mの2倍である22m以内の範囲に敷地が入るので、南側も11m相当として計算できます。すると南側の限度は37.5mとなります。南側だけの33.0mを最終値にせず、二道路に関する緩和を使ったうえで東側の36.0mと比較します。

選択肢4

(4)の36.0mが正しい最高限度です。東側道路と川の合計11mに、後退による基準線移動2mと、道路境界からA点まで11mを加え、24×1.5=36.0 m\displaystyle 24\times1.5=36.0\,\mathrm{m}です。南側の道路斜線は37.5m、北・西の隣地斜線は41.0m・43.5mとなり、最も厳しいのは東側です。『最高限度』なので計算値の最大を選びたくなりますが、建物は全ての制限を守らなければなりません。複数の上限のうち最小値を選ぶことで、どの方向から見ても適合する高さを得られます。

周辺知識

斜線制限は、道路や隣の敷地の側から斜めに立ち上がる見えない面を想像すると理解できます。建物はその面の下に収まるように計画します。道路斜線では原則として道路の反対側が出発点となり、そこから離れるほど高くできます。隣地斜線では用途地域に応じた一定の高さまで立ち上がってから斜めに制限するため、式に立上り高さが加わります。
建物を道路から後退させると、道路側に空地が増えます。これを反映して、反対側の基準線を後退距離分だけ外へ動かす緩和があります。実際に建物が下がった距離と、反対側へ動く基準線の距離は図の両側に現れるため、どの寸法に含まれているかを確認することが大切です。同じ2mを無意識に二回足したり、必要な2mを落としたりしないようにします。
川や公園が道路の反対側にある場合にも空間の広さを反映する特例があります。本問では川幅5mを使いますが、一般の隣地を川と同じように扱うことはできません。また、二つの道路に接するときの緩和は、その適用範囲も確認します。図の条件を式へ置き換えたら、最後に道路と隣地の全方向を一覧にして最小を選ぶと、計算値と最終解答の関係が明確になります。