学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅲ(法規) 問16
問題・正答・学習用解説
問題
図のような敷地において、準耐火建築物を新築する場合、建築基準法上、建築することができる建築面積の最大のものは、次のうちどれか。ただし、図に記載されているものを除き、地域、地区等及び特定行政庁の指定、許可等は考慮しないものとする。
選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
正解は3の437m²です。道路後退で使えなくなる敷地を先に除き、二つの地域それぞれに緩和後の建蔽率を掛けて合計します。
南側の幅2mの道は、法第42条第2項の道路です。道路中心から2mの線を境界とみなすため、現在の敷地側へ後退します。南北の有効な奥行きは次のとおりです。
西側の準住居地域の部分は次のとおりです。
東側の第一種住居地域は次のとおりです。
図の敷地は特定行政庁が指定する角地なので、建蔽率を10ポイント加えられます。また、敷地は準防火地域の内外にまたがりますが、全ての建物を準耐火建築物とする本問では、建蔽率の緩和上、敷地全体を準防火地域内とみなせます。防火性能による10ポイントも加え、西側は次のとおりです。
東側は次のとおりです。
よって最大建築面積は次のとおりです。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)の323m²は、道路後退後の面積に指定建蔽率だけを掛けた値です。
ただし、本問には角地指定と準耐火建築物という緩和条件が与えられています。それらを使わない計算は、建てられる面積を過小に見積もっています。敷地面積を正しく修正していても、適用する建蔽率が修正前のままでは最大値になりません。図中の地域名や寸法だけでなく、敷地中央の角地指定に関する文章も計算条件として読む必要があります。
選択肢2
(2)の380m²は、指定建蔽率へ10ポイントずつ一つだけ緩和を加えた場合の値です。
本問では角地と防火性能の二つの緩和を合わせて使えるため、これでも最大値には足りません。防火性能の緩和については、準防火地域外の東側を含めて敷地全体に適用するみなし規定があります。二つの緩和が独立に成立することを確認し、片方を落とさないよう、加算の根拠を一つずつ書き出します。
選択肢3
(3)の437m²が最大値です。幅2mの道路に沿って1m後退するので、計算に使う敷地の奥行きは19mです。地域別面積は西380m²、東190m²となります。角地と防火性能の緩和を適用した建蔽率は、それぞれ80%と70%です。
これは建築面積、つまり建物が敷地を覆う広さの上限であり、全ての階を合計した延べ面積ではありません。何階建てにできるかの面積へ、そのまま読み替えないことも大切です。
選択肢4
(4)の460m²は、道路後退をせずに元の敷地面積を使った値です。
ただし、南側の後退部分は建築基準法上の敷地面積に算入できません。自分が所有する土地でも、建蔽率の計算上使える範囲とは一致しない場合があります。本問では幅1m・長さ30mの30m²を除く必要があります。緩和後の割合が正しくても、掛ける面積が大きすぎれば許される建築面積も過大になるため、この値は採用できません。
周辺知識
建蔽率は、敷地のうち建物で覆う部分の割合です。建物の周りに空地を残すことで、採光・通風や火災時の安全などを確保します。建築面積を敷地面積で割った値で、各階の床を足した延べ面積を使う容積率とは異なります。例えば同じ建築面積でも、階数が増えれば延べ面積は増えます。
敷地が二つの用途地域にまたがる場合は、敷地の大部分を占める地域の建蔽率を全体へ使うのではありません。地域ごとの面積にその地域の上限を掛けて足します。本問の西380m²と東190m²を分ける計算は、その方法を直接使っています。用途制限には敷地の過半による扱いもありますが、建蔽率へ同じ方法を持ち込まないことが重要です。
道路後退は、狭い道路の沿道で将来必要な道路空間を確保するための扱いです。まず後退部分を除き、その後で割合を掛けます。また、10ポイントの加算は60%を66%にする意味ではなく、60%に10%を足して70%にすることです。本問では二つ分を加えて80%と70%になります。敷地の修正、地域別の面積、緩和の条件、最後の掛け算という順序を守ると、計算過程を見失わずに済みます。