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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和2年度 学科Ⅲ(法規) 問13

問題・正答・学習用解説

問題

建築物を新築する場合において、建築基準法上、構造計算適合性判定の対象となるものは、次のうちどれか。

選択肢

  1. (1)
    高さが60mを超える鉄骨造の建築物で、荷重及び外力によって建築物の各部分に連続的に生ずる力及び変形を把握すること等の所定の基準に従った構造計算を行ったもの
  2. (2)
    高さが20mの鉄筋コンクリート造の建築物で、構造耐力上主要な部分ごとに応力度が許容応力度を超えないこと等の所定の基準に従った構造計算を行ったもの
  3. (3)
    高さが15mの鉄骨造の建築物で、許容応力度等計算により構造計算を行ったもので、特定建築基準適合判定資格者である建築主事が審査を行ったもの
  4. (4)
    高さが15mの鉄筋コンクリート造の建築物で、保有水平耐力計算又はこれと同等以上に安全性を確かめることができる所定の基準に従った構造計算を行ったもの

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

正解は4です。高さ15mの鉄筋コンクリート造であっても、保有水平耐力計算などの指定された計算方法を用いる場合は、構造計算適合性判定の対象になります。高いか低いかだけで判定してはいけません。
構造計算適合性判定は、建築確認に加えて、一定の構造計算の内容が基準に合っているかを専門的に審査する手続です。構造計算書には、建物にかかる力や部材の強さをどう計算したかが記載されます。高度な計算を用いる場合などに、その妥当性を別の専門的な審査で確認します。
本問では、各肢が採用している計算方法が違います。(4)は、大地震時に建物が持つ横方向の抵抗能力を確かめる保有水平耐力計算、いわゆるルート3です。この方法を採用する建物は本問の判定対象です。高さが15mしかないという理由で省略できません。一方、60mを超える超高層建築物は大臣認定の別の仕組みで扱い、簡易な範囲の許容応力度計算や、所定の資格者による審査には別の扱いがあります。審査が厳しい建物ほど必ず同じ判定を重ねる、という制度ではないことも押さえましょう。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)は本問の判定対象ではありません。高さ60mを超える超高層建築物は、時間とともに変わる力や変形を連続的に把握するなど、所定の高度な構造計算によって安全性を確かめ、国土交通大臣の認定を受ける区分です。時間を追って地震時の動きを調べる計算は、揺れの大きさだけでなく、その変化も考えます。この別の安全確認の仕組みで扱うため、通常の構造計算適合性判定を受ける対象にはなりません。高い建物なので審査が不要なのではなく、審査の制度が異なるという意味です。

選択肢2

(2)は本問の判定対象ではありません。高さ20mの鉄筋コンクリート造で、本肢が示す所定の許容応力度計算によって確認する区分は、いわゆるルート1です。各部材に生じる応力度が許容値を超えないことなどを、定められた条件の範囲で確かめます。この場合、通常の構造計算適合性判定は要求されません。構造計算をしている建物は全て追加判定が必要、というわけではありません。計算があるかどうかだけでなく、どの計算方法・区分で安全確認をしているかを見ます。

選択肢3

(3)は判定を省略できる場合です。許容応力度等計算による区分、いわゆるルート2では、通常の扱いに加え、所定の専門能力を持つ特定建築基準適合判定資格者が確認審査を行う場合の例外があります。本肢は、その資格を持つ建築主事が審査したと明記しているため、この例外を使えます。単に一級建築士ならよいという条件ではなく、法令が定めた審査能力に関する資格が必要です。建物の高さ15mだけを理由に省略する肢ではなく、審査する人の条件が判断を変えています。

選択肢4

(4)が判定対象です。保有水平耐力計算は、大地震の横向きの力に対して建物がどれだけ抵抗できるかを確かめる計算です。本肢はその計算又は同等以上の所定の計算方法を用いる鉄筋コンクリート造で、構造計算適合性判定の対象となります。高さ15mという規模でも、採用した計算方法によって対象になる点が重要です。(2)も鉄筋コンクリート造ですが、計算方法が違うので結果が異なります。構造種別と高さを読んだあと、最後まで計算方法を確認して判定します。

周辺知識

構造に関する手続を理解するには、『設計者が行う計算』と『その計算を審査する手続』を分けます。設計者は、建物にかかる荷重、柱や梁に生じる力、変形などを計算します。建築確認では、その計画が法令に合うかを調べます。一定の計算にはさらに構造計算適合性判定が関係し、超高層などでは大臣認定の制度を使います。全部の建物が同じ手続を順番に全て通るわけではありません。
試験ではルート1・2・3という呼び方も使われますが、まず中身を理解しましょう。ルート1は一定条件内での許容応力度計算、ルート2は許容応力度に加えて建物の変形や剛性などを調べる計算、ルート3は保有水平耐力を確かめる計算です。剛性は変形しにくさのことで、強さと完全に同じではありません。大きく曲がるが壊れない部材も、変形しにくいが限度を超えると急に壊れる部材も考えられます。
判定の問題では、①高さや構造からどの区分か、②実際に採用した計算方法は何か、③特別な審査資格者などの省略条件があるかを順に読みます。『低いから不要』『高度な計算だから全て必要』という一言の覚え方では、本問の違いを説明できません。