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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和2年度 学科Ⅲ(法規) 問5

問題・正答・学習用解説

問題

地上2階建ての事務所(2階の居室の床面積の合計が300m²)に屋内階段(直階段)を設ける場合、図のLの値として、建築基準法に適合する最小のものは、次のうちどれか。問5の図1

選択肢

  1. (1)
    4.80m
  2. (2)
    5.76m
  3. (3)
    6.00m
  4. (4)
    6.24m

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は2の5.76mです。必要な段数だけでなく、途中の踊場が普通の踏面一つに代わることまで考えて、水平長さを求めます。
蹴上げは一段の高さ、踏面は足を載せる部分の奥行きです。本問は2階の居室面積が300m²で200m²を超える事務所の屋内階段なので、蹴上げは20cm以下、踏面は24cm以上という基準を使います。階段を最も短くするため、蹴上げは最大の0.20m、踏面は最小の0.24mとします。階高4.20mを上るのに必要な蹴上げは次のとおりです。
4.200.20=21 段\frac{4.20}{0.20}=21\,\text{段}
さらに、階段の高さが4mを超えるので、途中に踊場が必要です。直階段の踊場は進行方向に1.20m以上を確保します。21段上る場合、2階床に乗る最後の一段には通常の踏面がなく、途中の踊場も一つの足を載せる面を兼ねます。したがって普通の踏面は次のとおりです。
21−1−1=19 個21-1-1=19\,\text{個}
求める長さは次のとおりです。
L=19×0.24+1.20=5.76 m\begin{aligned}L&=19\times0.24+1.20\\&=5.76\,\mathrm{m}\end{aligned}
踊場を普通の踏面と二重に数えないことがポイントです。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)の4.80mでは不足します。これは、21の蹴上げに対し、通常の踏面が20個あるとして20×0.24=4.80 m\displaystyle 20\times0.24=4.80\,\mathrm{m}と求めた場合の値です。しかし本問の階高は4.20mで、途中に踊場を設ける基準の4mを超えます。踊場を設けないままでは、長い階段を連続して上り下りすることになり、休止や転落時の安全を確保するための規定に適合しません。まず段数だけで計算し、その後で踊場の要否を落としてしまうと、この値になります。

選択肢2

(2)の5.76mが適合する最小値です。蹴上げ20cmで21段とし、途中に踏幅1.20mの踊場を一つ入れます。21回高さを上げるうち、最後は2階の床に着き、一か所は広い踊場に着くので、24cmの普通の踏面は19個です。したがって次のように計算します。
19×0.24+1.20=5.76 m19\times0.24+1.20=5.76\,\mathrm{m}
階高4.20mは、途中の踊場の位置を調整すれば、一つの踊場で高さ4m以内ごとという条件を満たせます。段と踊場の両方を最小寸法で組み合わせています。

選択肢3

(3)の6.00mは最小値ではありません。20×0.24+1.20=6.00 m\displaystyle 20\times0.24+1.20=6.00\,\mathrm{m}とすると、もともと20個として数えた足を載せる面に、踊場を別に足したことになります。しかし踊場は、普通の踏面とは別に高さを上げずに付け足す板ではなく、途中の一つの踏面に代わる広い面です。そのため、普通の踏面を19個に減らしてから踊場を足します。法定最小値より長い階段を設計すること自体ではなく、問いが『最小のもの』である点で選びません。

選択肢4

(4)の6.24mも最小値ではありません。これは21×0.24+1.20\displaystyle 21\times0.24+1.20と、蹴上げの数21をそのまま普通の踏面の数へ使うと現れる値です。階段の縦の段数と横の踏面数は一致しません。最後の蹴上げを上ると既に2階床に着くため、そこへもう一つ普通の踏面を付け足す必要はありません。さらに踊場も普通の踏面の一つに代わります。断面図に、縦の線21本と、普通の横線19本・踊場1枚・2階床を描き分けると、二重計上を防げます。

周辺知識

階段の寸法規定は、人が安全に足を運べる形にするためのものです。蹴上げが高いと一歩で大きく脚を持ち上げる必要があり、踏面が浅いと足がはみ出しやすくなります。人が多く使う施設や、子どもが使う学校などでは、より低い蹴上げや広い幅を求める場合があります。本問では事務所の直上階の居室面積を基準の選択に使っています。階高だけを見て、住宅用の寸法を使わないようにしましょう。
踊場は、階段の途中に設ける平らで広い足場です。長い階段を一続きにせず、安全に向きを変えたり一息ついたりできる場所になります。直階段では進行方向の長さを踏幅といい、本問では1.20m以上が必要です。階段の左右の広さである『幅』と、踊場を前へ進む方向の長さは別の寸法です。
計算は、①適用する蹴上げと踏面を選ぶ、②階高から必要な蹴上げ数を求める、③踊場の数を決める、④普通の踏面数を数え直す、⑤水平長さを合計する、という順です。階高を最大の蹴上げで割って整数にならないときは、必要な段数を切り上げます。切り捨てると一段の高さが上限を超えてしまうからです。本問は21段で割り切れるので、そのまま最小長さを求められます。