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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和2年度 学科Ⅲ(法規) 問2

問題・正答・学習用解説

問題

面積、高さ又は階数に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    物品販売業を営む店舗の用途に供する建築物の屋上部分に設ける階段室の水平投影面積の合計が、当該建築物の建築面積の\(\frac{1}{8}\)以下であっても、当該階段室の床面積は、当該建築物の延べ面積に算入する。
  2. (2)
    日影による中高層の建築物の高さの制限に関する規定において、建築物の軒の高さを算定する場合の地盤面は、建築物が周囲の地面と接する位置の高低差が3mを超える場合においては、その高低差3m以内ごとの平均の高さにおける水平面とする。
  3. (3)
    隣地との関係についての建築物の各部分の高さの制限の緩和の規定において、建築物の敷地の地盤面が隣地の地盤面より1m以上低い場合においては、その建築物の敷地の地盤面は、当該高低差の\(\frac{1}{2}\)だけ高い位置にあるものとみなす。
  4. (4)
    建築物の一部が吹抜きとなっている場合、建築物の敷地が斜面又は段地である場合その他建築物の部分によって階数を異にする場合においては、これらの階数のうち最大なものを、当該建築物の階数とする。

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

正解は3です。隣地より低い敷地の高さを補正するときは、高低差全体の半分ではなく、『高低差から1mを引いた残りの半分』だけ地盤面が高いとみなします。
隣地斜線制限は、隣の敷地に一定の空間を確保するため、建物の各部分の高さを斜めの限界面で制限する仕組みです。自分の敷地が隣地より低い場合に、低い地面からの高さをそのまま使うと、地形による不利が大きくなります。そこで、一定の場合に計算の出発点である地盤面を持ち上げる緩和があります。ただし、隣地と同じ高さへそろえる制度ではありません。
高低差をd m\displaystyle d\,\mathrm{m}とすると、d≥1\displaystyle d\geq1の場合の補正量はd−12 m\displaystyle \frac{d-1}{2}\,\mathrm{m}です。例えば高低差が3mなら、3−12=1 m\displaystyle \frac{3-1}{2}=1\,\mathrm{m}だけ高い位置とみなします。本肢の式では次のとおりです。
32=1.5 m\frac{3}{2}=1.5\,\mathrm{m}
認められる以上に出発点を高くしてしまいます。高低差がちょうど1mなら補正量は0mです。この境界の例でも、『高低差の半分』という説明が誤っていることを確認できます。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。延べ面積は、原則として各階の床面積を合計したものです。屋上の階段室にも床があるため、その床面積を含めます。水平投影面積が建築面積の8分の1以下という条件は、所定の屋上部分を階数に数えないことなどに関係する特例です。『階数に数えない』ことから『床面積も存在しない』とはなりません。例えば屋上階段室を建物の階数に加えない場合でも、その階段室の床面積は別に測ります。何を算定するための特例なのかを先に確認することがポイントです。

選択肢2

(2)適当です。軒の高さを測る地盤面は、建物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにある水平面です。斜面では接する高さが場所によって違うため、その高低差が3mを超えると、3m以内ごとに分けて平均を求めます。建物全体を一つの平均高さだけで扱うわけではありません。本肢は『軒の高さ』の算定を尋ねているので、この方法で適当です。日影規制には影を測定する面を定める別の扱いもありますが、それを軒の高さの算定へそのまま当てはめないようにします。

選択肢3

(3)不適当です。施行令第135条の3の緩和では、自分の敷地が隣地より1m以上低い場合、地盤面を高低差から1mを差し引いた値の半分だけ高い位置とみなします。『1mを差し引く』手順が本肢では抜けています。高低差3mなら、まず1mを引いて2m、次に半分にして1mが補正量です。この1mを建物そのものの寸法へ足すのではなく、高さ制限を計算する基準の地盤面を1m持ち上げると理解しましょう。実際に土を盛ることを求める規定ではありません。

選択肢4

(4)適当です。建物の部分ごとに階数が違う場合は、最も大きい階数を建物全体の階数とします。例えば、片側が3階建て、もう片側が2階分を吹抜けにして2層になっていても、建物全体を2階建てにはできません。大きい方の3階を採ります。階数は、防火や避難などの基準を選ぶ条件にもなるため、最も少ない部分だけを基準にすると危険な側の条件を見落とします。吹抜け、斜面、段地のいずれでも、部分ごとの階数を確認して最大値を選ぶという説明が適当です。

周辺知識

建物の大きさを表す言葉を、最初に分けておきましょう。床面積は各階の床の広さで、延べ面積はその合計です。建築面積は、建物を真上から見たときの占める広さを法令の方法で測ったものです。平らな図へ垂直に写して測ることを水平投影といいます。3階が同じ広さの建物なら、上から見える広さと、全ての階の床を足した広さは当然違います。
高さも、どこから測るかが大切です。平坦な敷地なら地面を基準にしやすいのですが、斜面では建物の周りで地面の高さが変わります。そのため、法令で平均や区分の方法を定めています。さらに、道路や隣地との高さの関係によって、基準面を計算上ずらす特例があります。図を見るときは『実際の地面』『高さを測る基準面』『建物の上端』を別々に描くと、何を足し引きするかが明確になります。
本問に共通する注意点は、ある算定で使える特例を別の算定へ広げないことです。屋上部分を階数から除く扱いと延べ面積の算定、軒の高さの地盤面と影を測定する面は、それぞれ目的が違います。まず求める量を決め、対応する定義を選び、それから面積や高低差の条件を当てはめる順で読みましょう。解説中の3mの高低差などは、令和2年度の規定を理解するための計算例です。