学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問18
問題・正答・学習用解説
問題
消防用設備等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
正解は(3)です。屋外消火栓は、建築物の各部分からホース接続口までの水平距離が40 m以下となるように配置します。50 m以下ではこの条件を満たさない部分を許してしまいます。例えば建物の端が接続口から45 m離れているなら、設問の50 m基準には入っても、屋外消火栓の40 m基準からは外れます。
消火設備はどれも水を使うように見えますが、使用する人、ホースや放水の条件、設置する場所が異なります。本問では、1号屋内消火栓は25 m、補助散水栓は15 m、屋外消火栓は40 m、事務所の連結送水管の放水口は50 mと、設備名と距離を組にして区別します。連結送水管の50 mを屋外消火栓へ移してはいけません。
また水平距離は平面上の配置基準であり、ホースを壁や障害物に関係なく直線で伸ばせる保証ではありません。実際にはホースを延ばす経路と有効な放水も確認します。接続口を中心に円を描いて終わるのではなく、そこで人が操作し、水が火元へ届くかまで考えることが設備配置の目的です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。1号屋内消火栓は、各階の各部分からホース接続口までの水平距離が25 m以下となるように配置します。屋内で人がホースを延ばして初期消火などを行う設備であり、廊下や出入口との関係も考えます。25 mは消火栓同士を必ず25 m間隔にするという意味ではなく、守る場所から接続口までの距離です。平面が細長いか、折れ曲がっているかによって必要な台数や配置は変わります。
選択肢2
(2)適当です。補助散水栓は、スプリンクラーヘッドが設けられていない部分などを補い、人がホースを使って散水する設備です。対象部分からホース接続口までの水平距離を15 m以下とする記述は適切です。スプリンクラーが自動散水だから、補助散水栓も天井から自動で水を出す機器というわけではありません。また1号屋内消火栓の25 mと数値が異なるので、同じ箱入りのホース設備という外観だけで混同しないようにします。
選択肢3
(3)不適当です。屋外消火栓の配置は水平距離40 m以下が基準です。50 mへ広げると、本来の対象範囲から外れる場所が生じます。屋外なので大きな距離でよい、と印象で決めることはできません。屋外消火栓は建物の外に設ける設備ですが、建築物の各部分へ有効に放水するため、ホースの経路、障害物、操作する場所も必要です。ここではまず40 mという配置条件に直し、その条件だけで全ての施工計画が決まるわけではないと理解します。
選択肢4
(4)適当です。連結送水管は、消防隊が建物内で放水するために、消防車などから送った水を各階へ届ける配管設備です。事務所では3階以上の各階に、各部分から放水口までの水平距離50 m以下となるよう設ける記述が適切です。一般の利用者が初期消火で使う屋内消火栓とは役割が違います。消防隊が階段や乗降ロビーなどから有効に活動できる位置に設けることと、対象範囲を水で守ることを併せて考えます。
周辺知識
消防用の水設備を学ぶときは、水の入口から出口までを追います。屋内・屋外消火栓は、建物側の水源や加圧送水装置からホースへ水を供給する設備です。スプリンクラーは火災の熱などで作動したヘッドから散水し、補助散水栓はその構成の中で人が操作する散水を担います。連結送水管は消防隊の活動を支えるため、水を各階へ送る経路をあらかじめ建物に設けるものです。
設置距離の数字は、放水量や水圧の数字とは別です。配置が良くても水圧が不足すれば有効に放水できず、十分なポンプがあってもホースが届かなければ役立ちません。消防活動の設備計画は、位置、経路、水量、水圧、操作性を一体で確認します。
平面図上の水平距離と、人が実際に進む歩行距離も区別します。壁の向こうの点まで直線で近くても、ホースを延ばすには遠回りが必要な場合があります。本問の25・15・40・50 mを覚える際には、どの設備のどこから、どの部分までを測るのかを文章で説明できるようにすると、別の数値問題にも対応しやすくなります。