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学科Ⅱ(環境・設備)

一級建築士 令和2年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問17

問題・正答・学習用解説

問題

再生可能エネルギーに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    太陽光発電システムの構成要素の一つであるパワーコンディショナには、インバータ、系統連系保護装置、制御装置等が組み込まれている。
  2. (2)
    太陽光発電システムに使用される配線は、アレイ(モジュール)からパワーコンディショナまでの交流配線とパワーコンディショナから配電盤までの直流配線とがある。
  3. (3)
    風力発電に用いられる風車は、一般に、水平軸風車(回転軸が地面に対して水平な風車)と垂直軸風車(回転軸が地面に対して垂直な風車)に分類することができ、垂直軸風車は小型風車での採用例が多い。
  4. (4)
    風力発電の系統連系において、DC(直流)リンク方式は、AC(交流)リンク方式に比べて出力変動の影響を受けにくく、安定供給が可能な電力として系統に連系できる。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は(2)です。太陽電池からパワーコンディショナまでが直流、パワーコンディショナから配電盤までが交流であり、記述は前後を逆にしています。太陽電池は光を受けて電気を生みますが、その出力は極性が一定の直流です。建物の一般的な交流配電や電力系統へつなぐには、交流へ変換する必要があります。
パワーコンディショナに含まれるインバータが、この直流を交流へ変える役割を担います。電力系統とつなぐ場合は、単にプラスとマイナスを交互にするだけではなく、系統の電圧・周波数などに合わせて制御し、異常時に切り離す保護も必要です。したがって、電気の流れを「太陽電池→直流配線→パワーコンディショナ→交流配線→配電盤」と追えば判断できます。
直流と交流の区別は、電線の太さや本数の印象で決めるものではありません。発電源がどんな電気を出し、変換装置のどちら側を見ているかで決まります。蓄電池を組み合わせる構成などには様々な接続方法がありますが、本問は一般的な太陽光発電システムの基本的な接続を問うています。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。パワーコンディショナは電気の変換と調整をまとめた装置です。インバータで直流を交流に変え、制御装置で太陽電池の出力を有効に取り出し、系統連系保護装置で異常時に系統との接続を切り離します。例えば電力会社側が停電しているのに勝手に配電線へ送り続けると、作業や復旧に危険を生じます。変換だけでなく、系統と安全に協調するための複数の機能が組み込まれています。

選択肢2

(2)不適当です。太陽電池のモジュールをまとめたアレイから出る電気は直流なので、そこからパワーコンディショナへ入る配線が直流側です。装置内で交流へ変換した後、配電盤へ接続する配線が交流側になります。モジュールはパネル一枚程度のまとまり、アレイはそれらを組み合わせたまとまりと考えられます。機器名をばらばらに暗記するより、発電してから建物で使うまでの経路を順番にたどると前後を間違えません。

選択肢3

(3)適当です。水平軸風車は、プロペラのように回転軸が地面と水平で、垂直軸風車は回転軸が地面に対して縦になります。垂直軸型は構成によって風向に合わせて回転面を向け直す必要がなく、小型風車での採用例が多くあります。ただし垂直軸なら必ず高効率、どこでも発電に適するという意味ではありません。風速の分布、建物周辺の乱れ、騒音や振動、保守などを含めて設置条件を検討します。

選択肢4

(4)適当です。DCリンク方式は、発電機からの交流を一度直流へ変え、さらに系統に合う交流へ変換する方式です。この中間の直流部分を介すことで、風車の回転に伴う発電機側の変動を系統側へそのまま伝えず、電圧や周波数などを制御しやすくなります。ただし変換装置だけで、風がない時間にも同じ電力量を無限に供給できるわけではありません。長い時間の出力変動への対応には蓄電や他電源との調整なども必要です。

周辺知識

直流は電圧や電流の向きが基本的に一定、交流は時間とともに向きが周期的に変わる電気です。乾電池や太陽電池は直流、一般の建物に供給される商用電源は交流です。直流を交流に変える装置がインバータ、交流を直流に変える働きが整流です。再生可能エネルギーでは、発電源の出力をそのまま使うのではなく、こうした変換と制御を介して系統へ接続します。
電力と電力量の区別も重要です。電力kWはその瞬間の出力、電力量kWhは一定時間に発電したエネルギーです。10 kWを1時間保てば10 kWhですが、太陽光や風力は気象によって変わるので、定格出力だけから一日分の発電量を求めることはできません。
インバータで波形や周波数を整えられることと、発電エネルギーの不足を補えることは別です。風が弱まって取り出せるエネルギーが減れば、それを長時間補うには蓄電池などのエネルギー源が要ります。本問の安定化は、変換装置が発電機と系統を制御上分けやすくする利点として理解し、天候の変動そのものが消えるという意味に広げないようにしましょう。