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学科Ⅱ(環境・設備)

一級建築士 令和2年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問16

問題・正答・学習用解説

問題

電気設備に関する以下のA~Cの電気方式について、電圧降下(電線に電流が流れると損失が発生し、受電端の電圧が送電端の電圧よりも低くなること)の大きさの大小関係として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、負荷電流、こう長(電線上の2 点間の長さ)及び電線の断面積は同じとし、いずれも200 V配電とする。A:単相2 線式B:単相3 線式C:三相3 線式

選択肢

  1. (1)
    A>B>C
  2. (2)
    A>C>B
  3. (3)
    C>A>B
  4. (4)
    C>B>A

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は(2)のA>C>Bです。本問で用いる平衡した配線方式の標準的な電圧降下計算では、単相2線式Aの係数は2、三相3線式Cは3\displaystyle \sqrt{3}、単相3線式Bは1です。電流、こう長、断面積が共通なので、この係数を比べれば2>3≃1.73>1\displaystyle 2>\sqrt{3}\simeq1.73>1となります。
電線1本の抵抗をR\displaystyle R、負荷電流をI\displaystyle Iとした抵抗分だけの説明では、Aは電気が往復する2本の線に電圧降下が生じるので2IR\displaystyle 2IRです。Cは位相が120度ずれた3相の関係から、線間の電圧降下が3IR\displaystyle \sqrt{3}IRになります。Bは左右の負荷が平衡すると中性線の電流が打ち消し合うため、電圧線と中性線の間の電圧降下をIR\displaystyle IRとして扱います。
ここで特に注意したいのは、Bの係数1が中性線との間を対象とするという計算上の約束です。単相3線式の外側2線間に接続した200 Vの負荷の電圧降下まで、常に単相2線式の半分になるわけではありません。本問の比較と、実際にどの二点間の電圧を計算するかを区別して理解しましょう。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)不適当です。Aが最大という点は合っていますが、BとCの順序が逆です。標準的な配線方式の係数は、Bが1、Cが3≃1.73\displaystyle \sqrt{3}\simeq1.73なので、Cの方が大きくなります。線の本数が3本ならどちらも同じ、あるいは単相だから必ず三相より大きい、と判断することはできません。中性線に電流が流れるか、交流の位相がどうずれるか、どの線間の電圧を対象にするかによって係数が変わります。

選択肢2

(2)適当です。共通の電流と1本分の抵抗の積をx=IR\displaystyle x=IRと置くと、本問の計算はAが2x\displaystyle 2x、Cが3x\displaystyle \sqrt{3}x、Bがx\displaystyle xです。例えばx=1\displaystyle x=1 Vなら、それぞれ2 V、約1.73 V、1 VなのでA>C>Bとなります。この数値例は比の理解のためのもので、問題に実際の抵抗1 Ωなどが与えられているわけではありません。共通条件をいったん一つの文字へまとめ、方式による部分だけを比較するのが有効です。

選択肢3

(3)不適当です。CとAを逆にしています。三相3線式の係数は3\displaystyle \sqrt{3}で約1.73、単相2線式は2なので、Aの方が大きくなります。三相には3本の電線があるから電圧降下も3倍、と足し合わせてはいけません。三相電圧や電流は位相がずれており、その関係をベクトルとして合成するため3\displaystyle \sqrt{3}が現れます。Bが最小という部分は合っていますが、選択肢全体としては正しい順序ではありません。

選択肢4

(4)不適当です。Aを最小にしていますが、Aは往復2本分を考える係数2なので、本問では最大です。またCを最大にしていますが、その係数は約1.73でAより小さくなります。負荷電流、長さ、断面積が同じという条件を無視し、三相の方が大きな電力を扱えそうだという印象で判断しないようにします。この問題は供給できる電力や電線量の比較ではなく、指定条件の電圧降下の比較です。

周辺知識

電圧は電気を流す駆動力に関係する量、電流は流れる電気の量に関係する量です。電線には抵抗があるので、電流を流すと電線自体でも電圧が消費され、遠い機器に届く電圧が下がります。抵抗だけを考えれば電圧降下は電流と抵抗の積です。電線を長くすると抵抗が増え、断面積を大きくすると抵抗が減ります。
電圧降下と電力損失も区別します。電圧降下はIR\displaystyle IRに比例し、発熱としての電力損失はI2R\displaystyle I^2Rに比例します。同じ電線で電流を2倍にすると、電圧降下は2倍ですが発熱損失は4倍です。交流回路では、抵抗だけでなくリアクタンスや力率の影響も加わります。
単相3線式の中性線電流がゼロとなるのは、左右の負荷が平衡している場合です。不平衡なら中性線にも電流が流れ、その電圧降下を加味する必要があります。また200 V配電という名称だけでは、測る二点間が線間なのか中性線との間なのかは決まりません。方式別の公式を使う前に、平衡条件と対象の電圧を確認することが、公式の正しい使い方です。