学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問14
問題・正答・学習用解説
問題
上水のみ供給される建築物の給水設備について、1 日当たりの給水量の算定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、空調用及びプール等の特別な用途に使用される給水は考慮しないものとする。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正解は(4)です。総合病院で1床当たりとするのは、一般的な計画値として小さすぎます。病院の「1床当たり」は、患者一人が直接飲んだり洗ったりする水だけではなく、病院全体の使用を病床数で割って表す単位です。診療、処置、器具や施設の洗浄、給食、職員や外来患者などの使用も関係するため、住宅一人分と同じ感覚では見積もれません。
一般的な設計資料では、総合病院は1,500〜程度を目安とし、診療機能や設備内容に応じて詳しく検討します。例えば100床でなら、 、すなわち150 です。では30 にしかならず、大きな差が生じます。
ただし目安をすべての病院の実測値や一律の法定使用量と考えるのも誤りです。施設の機能、稼働率、節水器具、洗濯の外部委託などで変わります。本問では、上水だけで一般的な用途をまかなうという条件に照らし、病院の値の規模が不適切だと判断します。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。集合住宅では飲食、入浴、洗濯、便所洗浄など生活全体の水を見込みます。居住者一人当たりは一般的な計画範囲にある値です。例えば4人世帯なら 、つまり1 です。これを全員が飲む水の量と思うと多すぎるように感じますが、大部分は入浴や洗浄などに使われます。実際の計画では居住人数の設定、節水設備や地域の実績も確認します。
選択肢2
(2)適当です。食堂のない事務所では、主に便所、手洗い、給湯室、清掃などの水を使い、住宅のように日常の入浴や洗濯を行うわけではありません。そのため在勤者一人当たりは計画値として妥当です。100人ならです。社員食堂があれば調理や食器洗浄などの水を別途考える必要があり、本問の「社員食堂のない」という条件が重要です。用途を無視して住宅のをそのまま当てはめません。
選択肢3
(3)適当です。客室主体のホテルでも宿泊者の入浴、便所、洗面、客室清掃などの使用があり、ホテル全体をベッド数で見積もる計画値としては妥当です。「客室主体のホテル」と「客室内だけの給水量」は同じではありません。宴会場、大きな飲食施設、ランドリーなどが多いホテルでは、これより大きな使用量になる場合があります。ベッド1台を計算単位としていても、ベッドの利用者一人の手元だけの水量を表すわけではありません。
選択肢4
(4)不適当です。総合病院は入院者の生活用水に加え、診療や洗浄、職員・外来者など多様な水使用を伴います。1床当たりはこれらを含む計画値として小さく、一般的には1,500〜程度などを基に詳細検討します。病院はベッドが並ぶ建物だからホテルと同程度、と考えてはいけません。病床数は施設規模を表す基準であり、その背後にある医療活動全体の使用を見込むための単位です。
周辺知識
給水の計算では、まず「一日全体でどれだけ使うか」と「短時間にどれだけ集中して流れるか」を分けます。一日給水量は受水槽や引込み計画の基礎になりますが、配管やポンプは同時使用による瞬間的な流量も満たす必要があります。一日量を24時間で単純に割った平均だけでは、朝の入浴や昼休みの便所利用などの集中に対応できません。
単位にも注意します。1 は1,000 Lです。なら人数、なら病床数やベッド数、なら対象面積を掛けます。同じ数字でも分母が違えば意味は大きく変わります。病院の1床当たりの値を、そのまま在院者一人当たりと読み替えることはできません。
本問は上水のみの条件なので、便所用水なども上水量に含まれます。雑用水を別系統で供給する建物なら、上水で負担する範囲を改めて整理します。また空調用やプールなどの特別用途を除くという指定も守ります。設計資料の目安を使う際には、数字と一緒に「何を含む量か」という備考を確認することが重要です。