学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問13
問題・正答・学習用解説
問題
換気設備等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
正解は(3)です。屋内駐車場では排気ガスを周囲の部屋へ漏らさないため、駐車場側の空気圧を相対的に低くする考え方が基本です。第二種機械換気は機械で給気し、自然に排気させる方式なので、一般に室内を正圧にします。そのため駐車場に採用すると、隙間や出入口から汚れた空気を周囲へ押し出す方向となり、本問の目的と逆です。
第三種機械換気のように機械排気を用いれば、排出した分を補う空気が外や周囲から入り、室内を負圧にできます。給気と排気の両方にファンがある第一種換気でも、排気を多くするなど適切な風量収支で負圧を計画できます。重要なのは方式名だけではなく、空気が清浄な側から汚染源側へ流れることです。
例えば廊下を清浄側、駐車場を汚染側とすると、扉を開けたとき廊下から駐車場へ空気が流れる方が、廊下を守れます。厨房のにおいを客席へ漏らさない計画も同じ原理です。負圧にするだけで有害物質の濃度が十分下がるわけではないので、必要な換気量の確保も併せて行います。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。厨房には調理で生じるにおい、油煙、熱、水蒸気などがあり、これを客席へ広げないようにします。一般に排気量を給気量より少し大きくすると、不足分の空気が客席側などから流れ込み、厨房が相対的に負圧になります。ただし極端な負圧では扉が開けにくくなり、燃焼や排気フードの働きに支障を生じる場合があります。「排気は多いほどよい」ではなく、捕集に必要な量と適切な補給空気を計画します。
選択肢2
(2)適当です。置換換気は、比較的低い位置から新鮮な空気を小さな速度で供給し、人や機械の熱で上昇する空気とともに汚染物質を上部へ運び、上で排出する方式です。周囲より高温または軽い汚染空気なら、その浮き上がる性質を利用できます。室全体を強くかき混ぜる換気とは考え方が違います。重いガスが床にたまる場合や強い乱流がある場合は同じ効果を期待できず、汚染源の性質と位置に合わせます。
選択肢3
(3)不適当です。第二種換気は給気ファンで空気を押し込み、室内を正圧にする方式です。清浄な部屋への汚染空気の侵入を抑えるには有効ですが、排気ガスがある駐車場から周囲への流出を防ぐ目的には向きが逆です。駐車場は第三種換気などの機械排気で負圧とし、汚染された空気を所定の場所へ排出します。正圧・負圧は外や隣室との比較なので、扉や給気経路を含めた空気の流れを確認する必要があります。
選択肢4
(4)適当です。全熱交換器は、捨てる排気と取り入れる外気の間で、温度に関係する熱と水蒸気に関係する熱を交換します。例えば冬は暖かく湿った排気のエネルギーを冷たく乾いた外気へ戻し、暖房や加湿の負担を減らします。その分を設計に適切に見込めれば、熱源装置の必要容量も小さくできます。ただし空気を混ぜて換気を省く装置ではありません。必要外気量を確保し、臭気移行や凍結などの条件にも注意します。
周辺知識
機械換気の分類は、ファンをどちらに付けるかで整理できます。第一種は給気と排気の両方、第二種は給気側、第三種は排気側にファンを使います。第一種なら必ず正圧というわけではなく、給排気のバランスで室圧を調整します。第二種は清浄な空間を守る用途、第三種は便所や汚染源がある空間からの流出を抑える用途に結び付きます。
換気には、室内全体の濃度を薄める全体換気と、汚染物質が広がる前に近くで捕らえる局所排気があります。調理フードは後者です。汚染源を近くで捕集できれば、室内全体へ広がってから大量の空気で薄めるより効率的な場合があります。
換気量の計画では、排気だけを設けても同量の空気がどこからか補われることを忘れないようにします。給気経路が不足すると予定風量が出ず、隙間から予想外の空気を吸うこともあります。また省エネルギーのため換気を減らしすぎてはいけません。必要な空気の清浄度を確保したうえで、熱交換や適切な風量制御で負荷を減らすのが基本です。