学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問12
問題・正答・学習用解説
問題
空気調和・換気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は(2)です。冷却塔フリークーリングは、外気が低温の時期に、その冷たさを利用して冷水を得る方法です。通常の冷凍機の圧縮機などへ投入するエネルギーを減らすことが中心であり、「冷却塔ファンを動かさない」という意味ではありません。冷却塔とポンプを運転して熱を外気へ捨てる構成も一般的です。
通常は、室内から熱を受け取った冷水を冷凍機で冷やし、冷凍機が放出する熱を冷却水で冷却塔へ運びます。ところが冬などに外気が十分冷たければ、冷却塔で得られる低温の水を熱交換器などに通し、冷凍機の大きな動力を使わずに空調用の冷水を冷やせます。室内に発熱機器が多い工場やデータセンターでは、冬でも冷房が必要なので有効です。
「フリー」は、全装置が無電力で動くという意味ではありません。水や空気を動かす動力は残り、外気条件や必要な冷水温度によって使える時間も変わります。何を停止し、何を運転し続ける方式かを、熱が移動する経路に沿って確認しましょう。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。ナイトパージは、夜の涼しい空気を建物へ入れ、昼間に壁や床へたまった熱を抜く方法です。翌朝には建物が予冷されているので、空調の立上げ時に取り除く熱を減らせます。昼の外気冷房は人がいる空間を冷やしすぎない制約がありますが、夜間はその制約が小さく、より低い外気温も利用しやすくなります。ただし夜なら常に有効ではなく、湿度、結露、防犯、雨、ファン動力なども考慮します。
選択肢2
(2)不適当です。省エネルギーの主対象は冷凍機の冷凍サイクルを駆動するエネルギーです。冷却塔で水を冷やすためのファンや、水を熱交換器へ送るポンプは動く場合があります。例えば外気が十分冷たければ、冷却塔で冷えた水と建物から戻る水を熱交換させて冷房できます。単に冷却塔ファンだけを止めても、その時の冷却能力が足りなければ冷凍機の効率を悪化させるので、フリークーリングとはいえません。
選択肢3
(3)適当です。デシカント空調は、水分を吸着する材料を使って空気を除湿する方式です。材料は水分を取り込むだけでは使い続けられないので、加熱して水分を放出させる再生が必要になります。コージェネレーションは発電と同時に排熱を利用する仕組みで、その熱を再生へ使えば、別の燃料で加熱する負担を減らせます。発電機の熱を捨てずに使うため、電気と熱を合わせた総合効率の向上につながります。
選択肢4
(4)適当です。放射暖房では、パネルからの赤外線を人や室内の表面が吸収して温まります。パネルは放射率が高いほど同じ温度で放射しやすくなります。一方、受ける側が赤外線をよく反射する面なら、吸収する割合が小さく、十分な加熱効果を得にくくなります。ここでの反射率は熱放射に対するものです。可視光で白く見えることと赤外線をよく反射することは必ずしも一致しないので、色の印象だけでは判断できません。
周辺知識
省エネルギー手法には、必要な熱量を減らすもの、自然の温度差を使うもの、捨てる熱を再利用するものがあります。ナイトパージは建物の蓄熱を事前に抜き、フリークーリングは低温の外気を冷熱源として使い、デシカントとコージェネレーションの組合せは排熱を除湿材の再生へ回します。方式名を暗記するより、熱がどこからどこへ移るかを追うと違いが分かります。
外気冷房と冷却塔フリークーリングも同じではありません。前者は外気を直接室内の空調に取り入れ、後者は主として水などを介して外気へ熱を捨てます。直接外気を取り入れにくい清浄度や湿度の条件でも、水を介した方式なら利用を検討できる場合があります。
また、温度を下げる顕熱処理と、水分を減らす潜熱処理は別の仕事です。涼しい外気でも湿気が多ければ、室内へ入れることで除湿負荷が増えることがあります。単に外気温が低いかだけでなく、温度と水蒸気の両方、そして運転に必要なファンやポンプの電力まで含めて効果を判断します。