学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問7
問題・正答・学習用解説
問題
照明に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
正解は(1)です。反射面から単位面積当たりに出ていく光束を「光束発散度」といいます。反射率は入ってきた光のうち反射する割合なので、光束発散度は入射する照度に反射率を掛けて求めます。輝度に反射率を掛けるという関係ではありません。
照度を、反射率を、光束発散度をとすれば、反射光についてです。例えば壁への照度が500 lx、反射率が0.8なら、1平方メートルへ500 lmが入り、その80%の400 lmが反射するのでです。輝度は、その面をある方向から見たときの光の強さに関係する量で、単位はです。
どの方向から見ても輝度が等しい均等拡散面なら、全方向へ出る光をまとめることでとなり、例の輝度は次のように求められます。
「入る光の密度」「出る光の密度」「方向を指定して見る面の明るさ」を区別すると、式を取り違えずに理解できます。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)不適当です。反射率を掛ける相手は、その面に入る光を表す照度です。輝度はすでに面からこちらへ向かう光の量に関係しているので、さらに反射率を掛けるという説明は光の入出力を混同しています。例えば照度100 lx、反射率50%なら、反射の光束発散度は50 です。均等拡散面の輝度はそこからで割って求めます。この最後の関係は、鏡のような方向性の強い面にはそのまま使えません。
選択肢2
(2)適当です。文字の輪郭は、文字と背景から目に入る光の差で見分けます。白い紙に黒い文字なら輝度の対比が大きく、同じ大きさの薄い灰色の文字より識別しやすくなります。そのため一般に対比が大きいほど、小さい対象を識別する能力としての視力が向上します。ただし、背景を際限なく明るくすればよいわけではありません。まぶしさや目への散乱光が増える場合もあるので、ここでは適切な照明条件での対比を比べています。
選択肢3
(3)適当です。光のエネルギーが同じでも、人の目はすべての波長を同じ強さには感じません。明るい場所では黄緑付近への感度が高く、赤や青の端の方では低くなります。光束は、放射エネルギーの流れにこの比視感度を掛け合わせ、人の視覚に対応する量としてまとめたものです。単位はルーメンです。電球の消費電力Wが同じでも光束lmが違うのは、発光の効率や光の波長構成が異なるためです。
選択肢4
(4)適当です。照度均斉度は、作業面の明るさのむらがどの程度小さいかを表す比です。例えば最小照度を平均照度で割る定義なら、平均500 lxに対して最小100 lxでは0.2、最小400 lxなら0.8です。1に近いほど極端に暗い場所が少なくなります。最小と最大の比を使う場合もあるため、計算では定義を確認します。均斉度が高くても面全体が暗ければ必要照度は満たさないので、絶対的な照度と併せて評価します。
周辺知識
光の量は、水の流れを例にすると区別しやすくなります。光束は全体を流れる量、照度は受ける面の1平方メートル当たりに入る量、光束発散度は面から出る量です。ただし輝度は向きも含む量なので、水量だけの例では表しきれません。鏡が特定の方向だけまぶしいのは、反射光がその方向へ集中するためです。
照明設計では、机に照度計を置いて必要な照度を確かめるだけでなく、人から見える窓、照明器具、壁、画面などの輝度の関係も見ます。机上が適切な明るさでも、目の前の裸の光源が強く光っていれば不快なまぶしさを生じます。また、黒い机と白い机では同じ照度でも反射する光が異なります。
本問の視力と均斉度も別の観点です。文字と紙の明暗差は対象の識別を助け、作業面全体の照度のむらを抑えることは、視線を動かした際の明暗への適応を楽にします。必要照度、対象の対比、周囲との輝度差、均斉度を合わせて考えることが、単に明るいだけではない見やすい照明につながります。