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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和2年度 学科Ⅴ(施工) 問24

問題・正答・学習用解説

問題

建築工事に関する用語とその説明との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
用語説明
1.CLT切削機械により切削した単板を、主としてその繊維方向を互いにほぼ平行にして積層接着した木質材料
2.粉体塗装アルミニウム建材等に使用される塗装方法で、溶剤などの溶媒を含まず、VOC(揮発性有機化合物)の低減が図れる粉体塗料を用いて塗膜を形成させる塗装方法
3.ミルシート製鋼所で発行する鋼材の化学成分、機械的性質などが記されている試験成績書で、その材料がJIS等に適合していることを保証する規格品証明書
4.溶接ゲージ隅肉溶接ののど厚、脚長やビード幅、アンダーカット深度等を測定する器具

選択肢

  1. (1)
    CLT:切削機械により切削した単板を、主としてその繊維方向を互いにほぼ平行にして積層接着した木質材料
  2. (2)
    粉体塗装:アルミニウム建材等に使用される塗装方法で、溶剤などの溶媒を含まず、VOC(揮発性有機化合物)の低減が図れる粉体塗料を用いて塗膜を形成させる塗装方法
  3. (3)
    ミルシート:製鋼所で発行する鋼材の化学成分、機械的性質などが記されている試験成績書で、その材料がJIS等に適合していることを保証する規格品証明書
  4. (4)
    溶接ゲージ:隅肉溶接ののど厚、脚長やビード幅、アンダーカット深度等を測定する器具

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

最も不適当なのは選択肢1です。薄い単板を、主として繊維方向をほぼ平行にそろえて積層接着した材料はLVL、つまり単板積層材です。CLTは、ひき板を並べた層を、隣の層の繊維方向と直交させて積層した直交集成板であり、本肢の説明と一致しません。
単板は丸太等から薄く切り出した板、ひき板は製材した板です。木材は繊維に沿う方向と直角方向で、強さや伸縮の性質が異なります。LVLは主な繊維方向をそろえてその方向の性能を生かす材料です。CLTは隣接する層を直交させ、壁や床などの大きな面材として利用しやすくした材料です。
略称だけを見るとどちらも積層した木材に思えますが、「何を重ねるか」と「方向をどう並べるか」が違います。他の肢は、粉体塗装の溶剤低減、ミルシートの鋼材品質の証明、溶接ゲージの外観寸法測定について適当です。用語の見た目を暗記するより、材料のつくり方、書類で確認する内容、器具が測れる対象へ結び付けて区別します。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:本肢の説明はCLTではなくLVLなので、不適当です。LVLは単板積層材で、薄く切った単板を主として繊維方向が平行になるように重ねます。CLTは直交集成板で、ひき板を並べた層を直交させて重ねます。合板も単板の繊維方向を交互に変える材料ですが、CLTと同じ材料ではありません。「積層」という共通点だけで分類せず、単板かひき板か、平行か直交かという二つの観点で整理すると、似た木質材料を区別できます。

選択肢2

選択肢2:溶媒を含まない粉体塗料を使い、VOC低減を図れるという本肢は適当です。粉体塗装は粉状の塗料を材料へ付着させ、加熱等により連続した塗膜を形成する方法です。有機溶剤で塗料を液状にして塗る方法と比べ、塗料の溶剤由来の揮発性有機化合物を減らせます。VOCは空気中へ揮発する有機化合物のことです。ただし粉を付けるだけで塗膜が完成するわけではなく、前処理、付着、焼付け等の条件を管理し、所定の外観と耐久性を確保します。

選択肢3

選択肢3:ミルシートを製鋼所発行の試験成績書・規格品証明書とする本肢は適当です。鋼材の化学成分や降伏点、引張強さなどを確認し、指定する鋼種・規格と対応しているか調べるための書類です。現場で見た目だけでは強度や成分を判別しにくいため、材料の識別番号等と書類を照合します。別の鋼材の成績書がよい内容でも、納入品との対応がなければ品質確認にはなりません。また、工場出荷後の損傷や加工不良まで書類だけで保証されるものではありません。

選択肢4

選択肢4:溶接ゲージでのど厚、脚長、ビード幅、アンダーカット深さ等を測る本肢は適当です。隅肉溶接の脚長は表面側の寸法、のど厚は力を伝える有効な厚さに関係し、アンダーカットは溶接縁にできる母材の溝状の欠損です。ゲージはこれらの外観形状を所定の測定部で調べる器具です。内部にある割れや溶込み不足を直接見通す装置ではありません。外観寸法の検査と、超音波探傷など内部を調べる検査を使い分け、必要な品質項目を確認します。

周辺知識

材料の略称は、その材料をどのようにつくるかと結び付けると覚えやすくなります。CLTのCはCrossで直交、LVLのVはVeneerで単板に関係します。名前の意味から、ひき板の層を直交させるCLTと、単板を主として平行に重ねるLVLを整理できます。
木材は繊維方向により性質が異なるため、積層方向を変えることに意味があります。繊維をそろえるか交差させるかで、主に力を負担する方向や面材としての使い方が変わります。ただし、積層材ならどの方向にも同じ強さになるわけではありません。製品規格や構成に応じた性能で設計します。
品質確認には、証明書類を読む方法、寸法を測る方法、材料や接合部を試験する方法があります。ミルシートは材料の製造品質、溶接ゲージは施工した溶接の外観寸法を確認します。どちらか一方で全て済むのではなく、材料を選び、加工・接合し、出来上がりを確認する各段階に適した情報を使うことが重要です。