学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅴ(施工) 問21
問題・正答・学習用解説
問題
設備工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢4です。一般配管用ステンレス鋼鋼管の横走り配管で、呼び径80以下の場合、吊り支持間隔は2m以下とします。本肢は呼び径80なのでこの区分に入り、3mでは支持間隔が広過ぎます。
横走りは水平方向に延びる配管です。管自身の重さに加え、中の水や保温材等の重さも吊り金物へ伝わります。支持点の間が広いと、その間で管がたわみやすくなり、接合部にも負担をかけます。特に一般配管用ステンレス鋼鋼管は、他の鋼管と管厚などが異なるため、同じ呼び径なら同じ支持間隔でよいとは判断できません。
例えば6mの直線部分を両端と中央だけで支えると、区間は3mずつとなり、本問の2m以下を満たしません。必要に応じて支持位置を増やし、バルブ等の集中荷重にも別途対応します。他の肢は、保温を含めたスリーブの余裕、PF管のコンクリート埋設、耐火性のある隔壁による高圧・低圧ケーブルの区画です。管種、向き、径、周囲の条件を一組で確認する問題です。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:保温を含む管外径より40mm大きい径のスリーブとする本肢は適当です。スリーブは、壁や床を配管が通る位置にあらかじめ設ける筒状の貫通孔です。管だけの外径で決めると、後から保温材を巻く空間がなくなることがあります。直径を40mm大きくすれば、中心が一致する場合は片側約20mmずつの余裕になります。片側に40mmという意味ではありません。貫通部の防水や防火区画処理が必要な場合は、この空間を所定の方法で処理します。
選択肢2
選択肢2:RC躯体へ埋設する合成樹脂製可とう電線管にPF管を用いる本肢は適当です。PF管は曲げられる合成樹脂製の電線管で、自己消火性を持つものです。コンクリート内に使う場合も、所定の配管位置、曲げ、接続、固定を守り、打込みでつぶれたり動いたりしないようにします。自己消火性のないCD管の使用条件と取り違えないことも必要です。管が使えるという判断と、鉄筋を切って通してよいという判断は別であり、構造を損なわない計画で納めます。
選択肢3
選択肢3:高圧ケーブルと低圧ケーブルの間に、所定の耐火性のある堅牢な隔壁を設ける本肢は適当です。両者を近接させる場合、事故時に他方へ影響が及ばないよう離隔等の措置を考えますが、本問では隔壁によって区分する条件を満たしています。隔壁のない状態でも同じように離隔不要とすることはできません。また、薄い板を置くだけでよいという意味でもありません。隔壁の材料、強さ、設置範囲等を確保し、各ケーブルの支持や施工の条件も守ります。
選択肢4
選択肢4:呼び径80の一般配管用ステンレス鋼鋼管を3m間隔で支持した点が不適当です。この管種の呼び径80以下では2m以下とします。「80以下」なので、80ちょうども小さい側の区分です。管が腐食しにくい材料であることと、支持点間でたわみにくいことは別です。水が入った重量や管厚、接続部を考慮して所定間隔を守ります。縦管の支持条件や、別規格の厚い鋼管の支持間隔を流用せず、管種と横走りという条件を確かめます。
周辺知識
設備配管では、流体を運ぶ性能だけでなく、その管を建物の中で安全に支えられることが必要です。空の管を持つと軽く感じても、水、保温材、弁などが加われば支持部へかかる力は増えます。直線部分の等間隔の支持に加え、重い機器や弁の近くの支持も検討します。
呼び径は配管のサイズを呼ぶための名称で、全ての管で実際の外径や内径がその数字と完全に一致するわけではありません。同じ呼び径でも材料や規格によって管厚等が変わります。スリーブを決めるときは実際の外径と保温厚さ、支持間隔を決めるときは管種と寸法区分を確認します。
建築躯体を貫通する部分や電線管の埋設位置は、構造、防火、防水、設備の施工性が重なる場所です。設備だけの都合で大きな孔を開けると、他の性能へ影響します。必要な余裕を確保しつつ、鉄筋や梁の位置、区画の処理を先に調整することで、現場の無理な加工や手戻りを減らせます。