学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅴ(施工) 問19
問題・正答・学習用解説
問題
内外装工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢3です。現場発泡の吹付け硬質ウレタンフォームの厚さは、本問では設計厚さに対して0〜+10mmの許容差で管理し、マイナス側を認めません。±10mmとすると設計より10mm薄い部分まで合格にするため、必要な断熱性能を確保できません。
例えば設計厚さが30mmなら、0〜+10mmは30〜40mmです。一方、±10mmは20〜40mmとなり、最低厚さが大きく変わります。同じ材料の断熱層では、熱抵抗は厚さに比例するため、30mm必要なところが20mmしかなければ、その層の熱抵抗は必要値の約3分の2になります。
厚いところと薄いところを平均して30mmになればよいという管理でもありません。薄い部分では局所的に熱が通りやすくなります。他の肢の目地幅や部材取付け位置には、中心の寸法から正負両側のずれを認める許容差がありますが、厚さで性能を確保する断熱材へ同じ考え方を流用できません。符号と測定対象をセットで読んで判断します。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:床シートの接着剤が硬化してから熱溶接で目地を処理する本肢は適当です。熱溶接は、隣り合うビニル床シートの継目を熱と溶接棒等で一体化する方法です。張付け直後で接着が安定していないうちに加工すると、シートのずれや接着状態への影響が生じるおそれがあります。そこで接着剤の硬化を見計らって目地を処理します。熱溶接した継目がきれいでも、床シート全体の下地接着が不十分なら適切な施工とはいえません。下地から順に品質を確保します。
選択肢2
選択肢2:外壁と連続するパラペットをALCパネル厚さの6倍はね出す本肢は、所定の範囲内で適当です。例えば厚さ100mmなら6倍は600mmです。はね出しは、最後の支持位置より先へ部材を張り出して使う部分で、風を受けると曲げの負担が生じます。そのため長さを無制限に取れません。縦壁ロッキング構法は、地震時の層間変形へパネルが小さく回転して追従する構法です。厚さ倍率の条件に加え、風圧や取付け部の性能なども計画上確認します。
選択肢3
選択肢3:吹付け厚さの許容誤差を±10mmとした点が不適当です。本問では0〜+10mmとし、設計厚さより薄い側を認めません。断熱材は厚さが不足すると、その部分の熱の通りにくさが不足するためです。例えば設計40mmなら40〜50mmであり、30mmでもよいとはなりません。吹付け面は見た目に凹凸があるため、所定の位置と方法で厚さを確かめます。厚過ぎれば他部材の納まりへ影響するので、必要以上に無制限に吹き付けてよい意味でもありません。
選択肢4
選択肢4:PCカーテンウォールの取付け目地幅の許容差を±5mmとする本肢は適当です。カーテンウォールは、柱梁などの主要構造に取り付ける外壁で、部材相互に目地を設けます。例えば設計目地幅20mmなら、この項目では15〜25mmが許容範囲です。目地は寸法誤差や建物の動きを受け、シーリング等の納まりにも関係します。狭過ぎると部材同士が干渉し、広過ぎると接合や防水に支障が出るため、指定した幅を中心に管理します。断熱厚さの片側許容差とは役割が異なります。
周辺知識
許容差は、設計値と実際の値の間に認めるずれです。±のように両側へ認める場合もあれば、0〜+10のように一方向だけ認める場合もあります。どちらを使うかは、ずれが機能へどのような影響を与えるかによって変わります。数字だけでなく符号も基準の一部です。
断熱材の熱抵抗は、厚さを熱伝導率で割ったで表されます。同じ材質で熱伝導率が同じなら、厚いほど熱を通しにくくなります。この関係から、設計より薄い部分を認めない理由が分かります。ただし建物全体の断熱性能は、窓や下地、隙間、熱橋なども含めて評価します。
目地の幅では、必要な隙間を確保することと、広がり過ぎないことの両方が重要です。ALCのはね出しでは、支持点から先へどれだけ伸ばせるかが問題です。床シートでは接着と継目処理の順序が品質へ影響します。内外装の数値をひとまとめにせず、熱、変形、支持、接着という機能ごとに整理して理解します。