学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅴ(施工) 問18
問題・正答・学習用解説
問題
ガラス工事及び金属工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢2です。軽量鉄骨天井下地の周辺部の吊りボルトは、端から150mm以内に配置します。本肢の200mmでは遠過ぎます。一般部分の間隔900mm程度は適切ですが、端からの距離について別の条件を満たしていません。
天井は、上のスラブ等から吊りボルトを下げ、野縁受、野縁を通じてボードを支える構造です。端に近い吊り位置が遠くなると、その外側へ下地が持ち出される部分が長くなり、端部のたわみや不安定さが増します。中央部で規定の間隔を守っても、最後の支持点から端までの距離が適切とは限りません。
例えば一定間隔で棚受けを付けても、棚の端だけ大きく張り出せばそこがたわみやすいのと同じです。ただし、天井には複数の下地部材があり、吊りボルト、野縁受、野縁それぞれの端部寸法を混同しないようにします。他の肢は、ガラスを保持するチャンネル構法、壁スタッドのスペーサー、手摺支柱の埋込み部の防錆について適切な扱いです。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:グレイジングチャンネル構法でセッティングブロックを使わない本肢は適当です。グレイジングチャンネルは、ガラスの周囲を包む溝形の弾性部材を介してサッシへ納める構法です。一般のシーリング構法ではガラス下端をブロックで支える納まりがありますが、その方法を全ての構法に同じように追加するわけではありません。採用した構法に合う支持と水抜き等を確保します。ガラスが直接硬いサッシへ触れてよいという意味ではなく、所定の部材で適切に保持します。
選択肢2
選択肢2:周辺部の吊りボルトを端から200mmに配置した点が不適当です。端から150mm以内とする必要があります。900mm程度という中央部の吊り間隔と、端部の距離は異なる管理項目です。最後の吊り位置から外側へ下地が長く張り出すと、そこを支える条件が中央部より不利になります。吊りボルトは天井荷重を上部構造へ伝える部材なので、図面で全体の配置と端部の位置を確認します。近くに別設備の吊り材があるから代用するという扱いはできません。
選択肢3
選択肢3:スペーサーをスタッド両端と振れ止め位置に設け、間隔600mm程度で取り付ける本肢は適当です。スタッドは軽量鉄骨壁下地の縦材で、スペーサーはその形状や位置を保つための部材です。両端や振れ止めの部分は、納まりと安定を確保するうえで外せない位置になります。中間だけを等間隔で取り付け、端部を省いてよいという規定ではありません。スタッド、上下のランナー、振れ止め等を一体として組み、ボードを支える下地をつくります。
選択肢4
選択肢4:手摺支柱のコンクリートやモルタルへ入る部分にも錆止め処置をする本肢は適当です。手摺の根元は雨水等が入りやすく、内部が腐食しても外から見つけにくい場所です。腐食で断面が減ると、人が寄り掛かったときに支柱が折れるなど安全に関わるおそれがあります。鋼材がコンクリートに接する一般論だけで、本問の手摺埋込み部の処置を不要とは判断しません。指定の防錆処置、根元の納まり、水の侵入を抑える処理を合わせて確保します。
周辺知識
軽量鉄骨下地は、薄い鋼材を形づくって組み合わせることで、少ない材料でボード等を支えます。一つ一つの部材は細くても、吊り材や横つなぎ、端部の固定がそろうことで安定します。部材名だけを暗記するより、荷重が上の躯体へ伝わる順序を考えると役割が分かります。
天井ではボードから野縁、野縁受、吊りボルトへ、壁ではボードからスタッドやランナー等へ力が伝わります。支持点間の距離と、支持点から端までの距離は別です。同じ900mmという間隔でも、端部の持出しが大きければ条件が変わるため、図面の最後の一本まで確認します。
仕上げ材の支持には、硬く固定する部分と弾性部材を介する部分があります。ガラスは縁の局部的な力で割れやすく、手摺は人の力を繰り返し受けます。材料の弱点と使われ方を考えれば、ガラスの納まりを構法ごとに変えることや、見えなくなる手摺根元にも防錆が必要な理由を理解できます。