学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅴ(施工) 問3
問題・正答・学習用解説
問題
材料管理、品質管理等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(3)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢3です。押出成形セメント板の積置き高さは1m以下とします。本肢の1.2mはこの上限を超えています。平坦で乾燥した屋内に置き、台木を設けていても、高さの条件が満たされなければ適切な保管とはいえません。
押出成形セメント板は、セメントなどを材料として押し出して成形した板で、外壁等に用いられます。長い板を高く積むと下の板や支持部分にかかる荷重が増え、荷崩れの危険も大きくなります。台木は板を地面から離して支えるための材ですが、台木さえあれば無制限に積めるという関係ではありません。
杭の荷降ろしでは長さ方向の支持位置、鉄筋では鋼種を示す表示、塗料では使用直前の状態を確認します。塗料のこし分けは、かくはんしても戻らない皮ばりや凝集物などを取り除く処置として本問では適当です。ただし、硬化して性能を失った塗料まで、こせば必ず使えるという意味には広げません。材料ごとの取扱方法と、所定の品質を確保できる状態の両方を確認します。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:杭の両端から長さの約5分の1の位置にある2点で支持し、衝撃を与えず荷降ろしする本肢は適当です。長い杭を両端だけで支えると中央がたわみ、中央だけで支えると両側が大きく垂れ下がります。端から少し内側の2点で支えると、中央部分と張り出した端の曲げを分散できます。例えば長さ10mなら各端から約2mの位置です。支持位置が適切でも、急激に吊り上げたり落としたりすればひび割れを生むため、衝撃を避けます。
選択肢2
選択肢2:出題時のJISにおける表示として、SD295Aは鋼種を示す圧延マークなし、SD345は突起1個と確認する本肢は適当です。異形鉄筋は表面に節がある鉄筋で、鋼種によって強度等が異なります。太さや外見が似ていても、必要な鋼種と取り違えてはいけません。ここで「表示がない」は、この鋼種識別用の圧延マークについての表現であり、製造者の識別や納入書類も一切不要という意味ではありません。表示と証明書類を対応させて管理します。
選択肢3
選択肢3:積置き高さを1.2mとした点が不適当です。本問の押出成形セメント板は1m以下に積みます。板の下に台木を置き、平坦で乾燥した屋内を選ぶ条件は適切ですが、それらを満たしても積む高さの上限は別に守ります。下の板の損傷や積荷の不安定化を防ぐためです。また、台木の位置や板の支持方法が悪いと、規定の高さ以下でも局部的に大きな力がかかります。高さだけでなく支持状態や保管中の水濡れも確認します。
選択肢4
選択肢4:かくはんしても再分散しない沈殿物、皮ばり、凝集物をこし分けて除く本肢は適当です。塗料は保管中に成分が沈んだり表面に膜ができたりすることがあるため、使用前によく混ぜて均一にします。それでも残る固まりをそのまま塗ると、仕上がりや塗膜の連続性を損ねます。こし分けは、このような異物状の部分を取り除く操作です。使用期限切れや化学的な硬化で塗料全体が使えない状態を、こすだけで回復できるという意味ではありません。
周辺知識
材料の品質は、工場の検査に合格した時点だけで決まるものではありません。運搬時の衝撃、保管場所の湿気、積み重ねた荷重、別の材料との取り違えなどにより、現場で必要な性能を失うことがあります。受入れから使用直前までの管理が必要です。
長い部材では「どこで支えるか」が大切です。細長い定規を両端で持つと中央がたわむように、杭や板も自重によって曲がります。支点を適切に設ければ曲げを抑えられますが、支持間隔が広過ぎたり上下の台木がずれたりすると、材料の一部に負担が集中することがあります。
確認方法も材料によって異なります。鉄筋は鋼種の表示と書類を照合し、板は欠け・割れと保管状態を調べ、塗料は種類・期限・かくはん後の状態を確認します。「見た目がきれいだから使える」という一つの基準にまとめず、構造材料では強度、仕上げ材料では付着や外観など、求められる性能から管理項目を考えます。