学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和2年度 学科Ⅴ(施工) 問2
問題・正答・学習用解説
問題
工事現場の管理等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
最も不適当なのは選択肢4です。満18歳未満の者を足場の組立て、解体、変更の業務に就かせることはできません。地上又は床上での補助作業は例外ですが、本肢は枠組足場の1段目の上で組立て・解体を行うため、この例外に該当しません。
足場は作業する床を仮設する設備です。組立て途中には手すりや筋かいがまだそろっていない部分があり、完成した足場を通行する場合とは危険が異なります。解体でも、部材を外す順序を誤ると転落や部材の落下、倒壊を招きます。1段目だから安全とみなして年齢制限を外すことはできません。
本問では、騒音の敷地境界での管理、タイル割付けを躯体図に反映する順序、監理技術者が研修で短期間離れる際の体制も問われます。専任は、正当な短期間の離席まで一切禁ずる意味ではなく、必要な資格を持つ代理や連絡体制、発注者の了解などの条件を整えて対応します。安全上の制限と、条件付きで認められる管理上の取扱いを分けて判断します。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:指定地域内の特定建設作業について、作業場所の敷地境界で騒音を85dB以下とする本肢は適当です。重機のすぐ隣の値や建物内部の値ではなく、基準が指定する測定場所を確認します。dBは音の強さを対数で表す単位なので、数値の増加を普通の足し算の感覚だけで捉えることはできません。また、この騒音値だけを守ればよいわけではなく、作業時間や日数等の規制、地域の条件にも対応する必要があります。
選択肢2
選択肢2:タイル割りをコンクリートの躯体図より先に行う本肢は適当です。タイル割りは、タイルと目地をどの位置に何枚並べるかを決める作業です。端に極端に細い切物が生じたり、窓の位置と目地が不自然にずれたりする場合は、下地や開口の寸法調整が必要になります。コンクリートを造ってから検討すると修正が難しいため、仕上げの割付けを先に検討し、躯体の施工用図面へ反映させます。仕上げ工事が後でも、検討は先行します。
選択肢3
選択肢3:短期間の研修参加に際し、発注者の了解のもと必要資格を持つ代理技術者を配置する本肢は適当です。監理技術者の専任は、現場の技術管理を確実に行うための配置制度です。所定の条件を整えた短期間の離席についてまで、機械的に不可能とするものではありません。代理を置く目的は、その間の工程・品質等の管理と必要な対応を継続することです。名前だけの代理を決め、現場の状況や連絡方法を引き継がない扱いは適切ではありません。
選択肢4
選択肢4:1段目の枠組足場上で16歳の者に組立て・解体をさせる点が不適当です。満18歳未満に対する制限は、この業務では足場の高さだけを基準にしていません。地上又は床上で行う補助作業という例外を、足場の最下段ならよいという例外に読み替えることはできません。足場上では、部材を持つことで姿勢が不安定になることや、組立て途中の開口から落ちることなどが問題です。資格や教育の有無と年齢制限も、別々に確認する必要があります。
周辺知識
現場管理には、作業者を守る安全管理、周囲の住民への環境対策、図面と工程の調整、技術者の配置などが含まれます。一つの対策をしたから全て満たしたとはいえません。例えば防音シートを張っても、足場の組立作業に従事させる人の条件は別に確認します。
工事の順序と検討の順序は必ずしも一致しません。タイルは躯体完成後に張りますが、タイルの割付けは躯体を造る前に決めておく必要があります。家具を置いてから部屋の寸法を決め直せないのと同じで、後から納める材料の大きさを先に考えると、切断や手直しを減らせます。
「専任」「代理」「就業制限」は似た管理用語でも意味が違います。専任は仕事への配置、代理は一時的な職務の代行、就業制限は一定の人に危険な業務をさせないルールです。代理を置ける条件の話を、年齢制限の例外へ広げてはいけません。何の制度について、誰に、どの条件が付いているかを読み分けます。